527 勝手に売らないで
まだ25時になってない!間に合った!(ゴメン)
雨滝城を治める安富盛定は塩ノ木で寒川家と交戦中、残る兵も大半はウチの三河衆と鶴羽湊で釘付けにされている。
三河衆に合流して、鶴羽の敵を討ってから雨滝城を攻略するのも手だが、今更俺がアイツ等に合流したりしても、逆にアイツ等は不満に思うだけだろうしな。
まあアイツ等の事だ、俺が居なくても何とかするだろう。
とは言え、官兵衛が言う通りに兵が少ない雨滝城を落とす事にするべき?
本当は火攻めとかしたいんだけど、アレはその後の統治が難しくなるんだよなぁ。
領主だけじゃなくて、周辺住民の反感も買っちゃうからな。
大和国で城を焼き討ちしたのは、俺には関係ない土地だし、霜台の悪名に俺の焼き討ちの反感が加わったところで大した事ないからだったし。
後始末をするのは霜台だし。
直近に土佐への下向も控えているし、どうなるかは分からないが御近所付き合いもあるので、今後の事も考えるとあまり反感を買いたくない。
う〜ん、たまには力攻め…まあ、何とかなるだろう。
雨滝城は山城だし、兵が戻って来ない内に落としておきたいしな。
鶴羽湊の直ぐ近くだし、三河衆と対峙している兵が戻って来るかもしれないが、それはそれで構わないしな。
「よし!備前国の備え以外、出せる兵を全て率いて雨滝城を落とす!弥八郎!直ちに船の手配を!」
「はっ!既に整えて御座います!」
流石は弥八郎!頼りになる。
「当家も出陣の用意は整っております!」
官兵衛が勢い込んで名乗りをあげる。
だから何で?
「宜しいのか?」
「当然に御座る」
小寺家に何か思惑があるのだろうか?
それとも官兵衛がゴリ押ししたんだろうか?
気になる…
鶴羽湊の直ぐ近く、津田湊から四国へ上陸して雨滝城へ。
鶴羽の敵兵からは丸見えだっただろう。
何せ同じ湾内にある湊だしな。
俺達が雨滝城へ向かうのを見て引き返して来ても、三河衆等の追撃を受けてかなりの被害を出す事になるだろう。
アイツ等が黙って敵を見逃すはずがないからな。
そうなれば楽に勝てるだろう。
「城へ使いを!大人しく城を明け渡せば身の安全は保証すると」
流石に降伏はしないだろうけどね。
さて、まだ敵兵が戻ってくるという報告は受けていないので、攻城戦に取り掛かる。
「城に篭る兵も少なく、力押しで落とせそうに御座いますな」
林助蔵(能勝)が城の様子を眺めながら余裕そうに言ってくる。
「ふむ。ならば後の事は助蔵殿に任せて良ろしいか?」
すると弥八郎が助蔵に対して任せて良いかと問う。
え?助蔵に後を任せるって事は俺が不要かって事だよね?
これから何処かに連れていかれるの?
「弥八郎、何を企んでおる?」
官兵衛と2人で何かやってたんだろ?
「安富筑前守(盛定)に恨みを持つものがおりまして、殿にはその者に会うていただきたい」
え?危ないから嫌ですけど。
「その者は信頼が置けるのか?」
「此方に味方するに、殿の確約が欲しいと。会えば間違いなく寝返りましょう」
でも、三好家の重臣や国人衆の大物じゃないよな?
そんな奴なら既に俺が調略してるし。
「成る程。儂は構わぬぞ」
助蔵が自信満々で答える。
いや、勝手に俺を売らないでくれない?




