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討ち死になんて勘弁な  作者: 悠夜
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 50 傳兵衛可隆

 永禄七年(1564年)正月、元服して傳兵衛(でんべえ)可隆(よしたか)と名乗ることになる。


 元服の祝いとして、新しい馬と槍、それに森家伝来の刀を授かった。


 愛馬能丸は、戦場でも(おび)えない図太(ずぶと)さと乗りやすさはあったが、それ以外は普通の馬だからな。四尺二寸(約126cm)あったけど。

 新しい馬は河原毛(かわらげ)で、クリーム色をしていて少し目立つ六寸(むき)(約139cm)の木曽馬だ。

 親父が、ちゃっかり八寸(やき)(約145cm)の馬をキープしているのは内緒だ。

 新しい馬の名前は、浦主(うらぬし)だ。

 水辺に強いわけではなく、オリンピックの馬術で金メダルを取ったウラヌス号から名をもらった。

 (なま)って発音すれば、うらぬす。

 無理があるかな?


 槍は関兼定(せきかねさだ)無銘(むめい)の十文字槍。

 親父ばかりではなく弟も使う事となる森家十八番(おはこ)たる槍!

 森家と言えば十文字槍!

 でも俺、今まで素槍使ってたんですけど…扱い方を覚えろってか?


 森家伝来の刀は…うん、無銘の正宗だな。

 これが後に金千枚の値がついたという若狭正宗なのかな?


 大切に保管しておこう。

 宮内庁で保管されているような刀、怖くて使えないわ。



 ついでに俺の小姓たちも、一緒に元服する事になった。

 山内匠作が次郎右衛門康豊(やすとよ)、森小三次が小三次吉成(よしなり)、稲田梶之助が、次郎兵衛隆元(たかもと)と名乗りを変える。

 ついでに俺の乳母子(めのとご)でもある分家の勝三郎も元服して家臣となった。


 元服して戸田の領地が正式に俺の物になったので、親父に預かってもらっていた家臣に、俺が給料を払い直す。

 

 戸田の城代をしていた大叔父の越後守成恒は、面倒臭いので取り敢えずそのまま続投して城代を務めてもらう。

 その後どうするかは、親父が金山城を手に入れたら考えよう。

 そして、新加納の戦いで討ち死にした青木次郎左衛門行重の子が元服し、同じく次郎左衛門を名乗った青木次郎左衛門秀重も加わる。


 今の俺の家臣。

 渡辺半蔵守綱、堀尾茂助吉晴、尾藤甚右衛門重直、山田八郎右衛門宗重、増田仁右衛門長盛、加藤喜左衛門重清、森勝三郎隆恒、安食弥太郎重政、兼松又四郎正吉、加木屋久蔵正次、戸田三郎四郎氏繁、山内次郎右衛門康豊、渡辺新左衛門政綱、渡辺六左衛門直綱、鳥居四郎左衛門忠広、稲田次郎兵衛隆元、森小三次吉成。

 それから、親父に附けられた家臣が、森越後守成恒、平野大炊頭長治、青木次郎左衛門秀重、山田喜三郎宗清。


 こう見ると有名人も多くて高給取りような気がするが、一部を除いて、牢人あがりだったり、まだそれほど武功もなかったりで給金は多くない。

 たしか史実での渡辺半蔵の知行が、三河一向一揆の後に130貫だったか…低賃金でゴメンね…

 親父が金山城を手に入れたら、給料上げるからね…



 元服が終わるとすぐに、長妹の菊と青木次郎左衛門秀重の婚礼があった。


 新加納の戦いで亡くなった重臣の子である次郎左衛門に(はく)を付けるための婚姻だが、史実でも結婚して子供もいるようなので、そのまま何もしないで見守ろうと思う。

 本能寺の変の時に、奇妙様と共に二条城を守って死んでいるので、そこは回避してもらわないといけないが…

史実で稲田梶之助の諱は吉勝ですが、秀吉と蜂須賀正勝の諱っぽい(根拠ナシ)ので隆元としました。

乳母子の勝三郎は、可隆の討ち死にの話に出てきた人物で、苗字も諱も適当につけました。(たぶん架空の人物じゃないかな?)

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