496 親戚の集まり?
一条内基に脅迫紛いの交渉を受け、仕方なくどうするか考える。
どうせやるなら俺に利益がある様に、そして一条内基が損する様に動きたい。
恨みを買わない範囲で…
土佐国下向対策の為に先ずする事は海路の安全確保だな。
淡路島周辺をテリトリーにしている安宅水軍を味方に付ければ、村上水軍と敵対する事になっても背後を突かれる心配がなくなる。
安宅水軍の長である安宅信康に会う為に、松永霜台(久秀)…は、何やら大和国で筒井家相手に忙しそうだし、何より巻き込まれたくないのでやめておいて、和泉国に居る三好義継に面会を求める。
面識がないとはいえ、直接安宅信康に会いにいっても構わないんだが、手順を踏んだ方が結果的にスムーズに事が運ぶ事が多い。
安宅信康の紹介を三好義継に頼むのが正解かは知らんが、四国関係の事で義継をハブって拗ねられて、足を引っ張られるのも嫌だしな。
四国の事は義継さんに相談してから決めようと思ってるっス、って態度を示しておけば、義継も悪い気はしないだろう。
一応、安宅信康とは従兄弟になる訳だし。
阿波三好家の三好長治とも従兄弟だけどな。
従兄弟だからといって仲が良いとは限らんけど。
「久しいな、兵部少輔殿」
「御無沙汰しております、左京大夫(三好義継)様」
義継を尋ねると、そこには他に知らない2人の人物が居た。
「松浦孫八郎(光)に御座る」
和泉国の松浦光かぁ。
確か義継の弟だったはず。
孫八郎の松浦氏は守護代の家だから、仲良くしておいて損はないはず。
「安宅神太郎(信康)に御座る」
義継から紹介してもらう前に、目的の人物である安宅信康に出会ってしまった…
義継と弟の松浦光、それに従兄弟の安宅信康。
親戚の集まりでもやってたのかな?
「森兵部少輔に御座る。しかし、此処で孫八郎殿と神太郎殿に御会い出来ようとは…。丁度皆様の許を訪れようと思うておったところ。手間が省けましたな」
「兵部少輔殿が我等に?」
松浦光が首を傾げるが、すまんがアンタには用はない。
「一条様の土佐国への下向の話は、御聞き及びになられておりましょうか?」
3人は顔を見合わせると、代表(?)で義継が答える。
「噂程度であれば」
「此度、某が下向についての諸事を任されまして、御三方に海路や四国の事で御助力いただきたいと思い罷り越した次第に御座います」
松浦光には別に何の用もないが、安宅信康と三好義継には阿波三好家の切り崩しも含めて力を借りたい。
そして三好義継には、一条内基の嫌がらせも頼みたい。
三好義継の母は九条稙通の娘だが、その九条稙通には男子が居らず、二条晴良の長男の兼孝を養子に迎えている。
一条内基と九条兼孝は次期関白候補のライバルだ。
現在の官位は互角、官職の差で紙一重で一条内基の方が有利かもしれない。
だから三好義継を通して九条兼孝の力を借り、九条兼孝の功績を増やして一条内基をビビらせてやろうという嫌がらせを試みてみよう。
関白なんて五摂家の人間が上から順番になっていくんだから、いずれはなれるものなんだけど。
まあ、俺なんかが画策しても影響なんてないだろうけど。
でも、史実では関白になった順番は九条兼孝の方が先なんだよな。
これは関白だった近衞前久が足利義昭によって追放されて、九条兼孝の実父である二条晴良が再任した事も影響あるのかな?
でもこの世界では近衞前久が関白のままだし、二条晴良が再任する事もなさそうだから、果たして関白の順番はどうなるかな?
まあ俺には関係ないし、どうでもいいけどな。




