44 新加納の戦い
永禄六年四月、織田の軍勢5700は木曽川を渡り、加賀見野へと攻め込む。
対する一色軍3500は、新加納村に布陣して迎え撃つ。
第一陣、池田勝三郎殿、坂井右近殿。第二陣、親父(森三左衛門)、柴田権六様。第三陣、丹羽五郎左衛門殿。そして本陣に織田上総介様。
数では勝る織田軍だが、第一陣は壊滅し、第二陣も奮戦はしたが不利な状況に陥り、ついに全軍撤退となった。
この戦い、一色軍で活躍し名を馳せたのが、竹中重虎。
まだ重治ではなく初名の重虎だが、間違いなくあの竹中半兵衛だ。
この活躍で、一色家中での半兵衛の評価が上がるのではなく、相変わらず扱き下ろされている所が、龍興君の国主としての限界なのだろう。
稲葉山城を落ち延びてからの執念深さは認めてあげてもいいが。
しかし、この戦いで森家にも犠牲者が出てしまった。
祖母の弟である青木次郎左衛門行秀が討ち死にしてしまった。
未来に全く名の残っていない人の死を回避する手段などなく、どうしようもない事だとは思うが、少しショックを受ける。
次郎左衛門の息子が元服した後、俺の長妹である菊との婚姻を結ぶ事が決まった。
史実でも次郎左衛門の息子(次郎左衛門秀重)は妹と結婚しているので変わらないのだが。
次郎左衛門秀重は本能寺の変の時、二条城での戦いで奇妙様と一緒に討ち死にしている。
妹の為にも本能寺の変を起こさないように、若しくは、森家が巻き込まれないようにしないと!
「兄上!」
叫び声を聞いて振り向くと、ウチの猛獣君が棒を振り上げて打ちかかってきているのが見えた。
余裕を持って、於勝が振り上げている棒を掴み、出足払いを掛けると、べちゃっと弟が潰れるのが見えた。
ちょっと可愛い…
結構上手いこと決まったな。
さすが学生時代に体育で習った柔道技だ。
「こら、於勝!不意討ちするのに声など出してはいかんぞ!」
全く、態々相手に打ち込みを教えてどうするんだ。
「小太郎様、そうではなく、背後より襲いかかるのをお咎めください!」
乳母の於立が文句を言ってくるが、お前の教育のせいじゃないの?って話だが…
於立に任せると鬼武蔵ルートに行ってしまうのでは?という思いがあるので、逆の事をしているのだが、ここは於立の言が正しいような気がするのは、おそらく錯覚だろう。
まあ、鬼武蔵となって欲しいわけではないが、そうなったとしても、もう少しだけでも常識というものを考えてくれればいいなぁ。
実行しなくてもいい、考えてくれるだけでもいいから…というか生き延びてくれればいいから…
そしてオリキャラはいなくなった…




