表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
討ち死になんて勘弁な  作者: 悠夜
25/554

 25 やっちまったものは仕方ねぇ

 結局、服部友貞を捕虜にしてしまった。

 面倒臭い事になってしまったかもしれない。

 もともとは、逃げ帰ってもらうつもりだったのにね。

 俺もテンション上がって普通じゃなかったし、皆も手柄を立てるチャンスだから見逃すのもなぁ。

 でも要らんことしたかなぁ…


 捕虜が服部友貞だと確認出来てすぐ、親父の所へ堀尾茂助と加藤喜左衛門を向かわせた。

 信長に呼び出しをくらうより早く、親父に知らせないと大変だからな。

 あとは、信長の判断次第か。

 まだ蓮台には帰れそうにないな。

 本当は逃げ帰りたかったのだが、さすがに図書助殿に止められた、当たり前か。

 俺自身は面倒だから左京進の捕縛は図書助殿の手柄にして、口止め料で手を打ってもよかったのだが、周りがそれを許さないだろう。

 このまま待機か清須へ呼び出しか、憂鬱だ。


 爺ちゃんにも知らせないとマズイだろうな?

 増田仁右衛門には蓮台へ帰ってもらって、そのまま山田喜三郎の手伝いをしてもらおうか。



 服部左京進友貞は荷ノ上の領主であるとともに、一向衆の僧でもある。

 尾張と美濃にも一向衆の寺は沢山、本当に沢山ある。残念なことに、うちの母も一向衆。

 後々、面倒臭い事にならないように切り抜けないとな。

 恨みは全て、加藤図書助殿に受け持ってもらわないとな。

 一向衆のブラックリストに載るのだけは避けたい。


 出来れば、一向衆の寺を高田派をはじめとする真宗の他派に鞍替えさせるのは当然として、一向衆と本願寺派の分断工作もやりたいところだ。

 まだこの頃、一向衆と浄土真宗本願寺派はイコールじゃない。

 顕如の父、証如の時代から、みだりに一揆を起こすなと呼びかけているし、信長が上洛した時に矢銭を要求した時も、ちゃんと払っている。

 顕如も初めは、浄土真宗の王法為本(俗世では仏の教えより法を優先しろ的な)の教えに則り、権力者の信長と協力体制を取ろうとしたが、エスカレートする無茶振りにブチ切れて、信長を仏敵に指定している。


 そこで今の本願寺派から一向衆を異端として対立する派閥を組織して、後々敵対する本願寺派の数を減らす作戦(もう東西に分裂しちゃった作戦)を立案中なのだが、宗教なんてさっぱりだから、どうなることやら。

 最終的に一向衆側についた顕如に、目を覚ませと呼びかけ、新派閥の長に据えることが出来ればなぁ。

 せめて、尾張美濃近江に伊勢辺りは、なんとかならないかな。

 伊勢も近江も厳しいよなぁ。


 母と母の実家である林家の者が情報漏洩で処罰されるのだけは防がないと。

 親父が志賀の陣で討ち死にした為に、見逃してもらえた可能性大だし。


 どうせ顕如と仲良くしても、信長が無茶な条件突きつけて対立するだろうし。

 宗教問題は面倒くさいな、関わり合いになりたくない。


 待っている間、暇潰しに宗教問題を考えていると、梶之助が呼びにやって来た。

 どうやら服部左京進の処遇が決まるまで時間がかかるので、いったん蓮台に帰れということのようだ。

 呼び出されるな、これは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ