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討ち死になんて勘弁な  作者: 悠夜
237/554

229 御着城【地図あり】

 糟屋玄蕃頭に案内されて、御着城へと向かう。

 御着城では、小寺政職と上野紀伊守との話し合いの後、無事に赤松政秀の娘を返してもらえた。

 小寺家のお偉いさんが並ぶ中、黒田官兵衛…今は小寺官兵衛か…を探すが、それらしい人物は見当たらない。


「傳兵衛殿、如何された?」


 バレない様に、官兵衛を探していたつもりだったが、俺の挙動が不審だったのか、紀伊守が尋ねてくる。


「いえ、噂に聞く小寺官兵衛殿は居らぬかと見回しておりましたが、どうやらここには居られぬ様に御座いますな」


 俺と紀伊守の話が聞こえたのだろう、小寺政職が話しかけてくる。


「はて?官兵衛の名が、京にまで届いておるとは…?官兵衛は、野盗討伐に向かわせておる。三好家が阿波へと逃げ帰った為、この辺りも野盗が増えたのでな」


 一瞬、野盗が増えたのはお前達のせいだと責められているのかとも思ったが、どうやらそんな感じではなさそうだ。

 ただ事実を言っただけなのだろう。


 しかし、官兵衛に会えなかったか…残念だな。

 この仕事で、官兵衛に会う事だけが楽しみだったのだが。

 いないものは仕方ない。


「官兵衛殿に宜しく御伝え下され」


 官兵衛に、森傳兵衛という者が気にかけていたと伝えてもらって、俺の存在をアピールして名前を覚えてもらいたい。

 今後、何かの役に立つかもしれないからな。



 小寺家より赤松政秀の娘を返してもらい、御着城を出て糟屋家の加古川城へ向かう。

 しかし、山陽道を東へ、法華山谷川に架かる橋の手前まで戻った時に、背後より何者かの襲撃を受ける。


「三右衛門!又蔵!鉄砲を!」


「「はっ」」


 奥田三右衛門と木村又蔵の二人に鉄砲を撃つ様に命じる。

 ダダーンと三右衛門と又蔵の銃声が響く。

 鉄砲の音を聞きつけて、近隣の者が加勢に来てくれるかもしれないから撃ちまくれ。


「御二方を守れ!敵を通すな!」


 赤松政秀の娘と上野紀伊守は守らないといけない。

 家臣には、二人を守る様に命じる。

 ざっと襲撃者達の得物を見渡して、鉄砲は持っていない事は確認出来る。

 弓を持っている兵も、あまりいないな。



「六左衛門!七郎左衛門!十兵衛!四郎左衛門!三弥左衛門!射手優先!」


 渡辺六左衛門、乾七郎左衛門、雨宮十兵衛、鳥居四郎左衛門、本多三弥左衛門に弓兵を優先的に攻撃させる。青木所右衛門や一柳市介も突撃したがっていたが、ここはまだ待機だ。


「残りの者は、紀伊守殿が逃げる時を稼ぐ!」


 残りは弓兵を狙いに行った奴らの援護だ。

 家臣に命令を出すと、上野紀伊守と糟屋朝正が寄ってくる。


「傳兵衛殿!我等は橋を渡り加古川へ向かう!殿は、傳兵衛殿にお任せする!」


 糟屋朝正は、紀伊守等を連れて、先に橋を渡り逃げる様だ。

 自分達は、さっさと逃げるんかい!と文句でも言おうかとも思ったが、やめておく。

 まあ、それが正解なのだろうし。


「承知致した!玄蕃頭殿は、下野守殿の娘を頼みまする!此奴等の狙いは下野守殿の娘を討つ事に御座る!」


 赤松政秀の娘を守る様に念押しして、先に橋を渡らせる。

 しかし、改めて敵を観察すると、違和感を覚える。


「喜内!上野介!此奴等、野盗に見えるか?」


 近くで俺の護衛をしている横山喜内と大平上野介に尋ねる。


「…いえ、言われてみれば、野盗にしては身綺麗に御座いますな。それに、数こそ多いが、あまり此方を襲おうとの気概を感じませぬ」


 喜内の言葉に、やはりという思いが強くなる。

 これは野盗が襲ってきたんじゃなくて、やはり敵勢力による計画的な襲撃だな。

 ならば…


「三右衛門!暫し指揮を頼む。喜内!上野介!新兵衛!市介!所右衛門!橋向こうへ急ぐ!待ち伏せされておるやも知れぬ!」


 奥田三右衛門に殿の指揮を任せ、護衛の横山喜内、大平上野介、飫富新兵衛と待機させていた青木所右衛門、一柳市介を連れて、急ぎ紀伊守殿の後を追う。


挿絵(By みてみん)

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