222 於勝への課題
上洛前に色々やっておかねばならない事ばかりで疲れが溜まる。
美濃国可児郡の領地(久々利など4村)は乳母子の森勝三郎と増田仁右衛門に任せ、伊勢国三重郡の領地は、海側の4村を前野将右衛門に、山側の11村を斎藤内蔵助、名取将監、堀尾茂助等に任せる。
尾張国海東郡の戸田村は変わらず大叔父上に放り投げ、葉栗郡柳津村もそのまま竹腰摂津守に押し付けておく。
残るは蓮台だが、ここは森家の本貫地なので下手な人材には任せられない。
俺自身は、此処は少領なので別段気にしていないが、中には気にする親族もいるので面倒臭い。
「於勝、父上に頼んでみたが、元服の許しは貰えなんだ」
俺の言葉に於勝は、あからさまにガッカリする。
「だが変わりに、一つ条件を取り付けてきた。これより一年の間、蓮台の城代として領地を任せる。その役目を熟せば、その翌年に元服を認めると」
於勝は、ガバッと顔を上げ、驚いた表情でこちらを見る。
親父と相談した上、於勝に蓮台の城代を任せてみる事にした。
於勝は未来で言われている奇行が目立っているが、ちゃんと内政もできるのだ…恐らく。
流石に内政の得意な家臣に任せて、槍を振るっていた訳ではないと信じたい。
「真か、兄上!」
「無論。だが、領内の政を不足なく行う事が条件だ。お主も元服すれば領地の政をせねばならぬ。父上に、お主が充分一人前である事を示せ。出来るな?」
於勝は、俺の言葉にブンブンと首を振りながら頷く。
「おう!必ず親父に認めていただく!」
「まあ、父上や俺の家臣を付ける故、その言葉に従っておれば良い。お主がする事は、政を学ぶ事と家臣の意見が割れた時の判断だ」
「おう、任せろ兄上!」
御目付け役として乾作兵衛と堀田新右衛門を付け、親父の家臣からも平井宮内卿、それに隠居中の爺ちゃんも付ける事になっている。
隣の柳津を任せている竹腰摂津守にも、くれぐれも頼むと念押ししてあるので大丈夫だと思う。
だが、まずは言葉遣いを直さないといけないかな…
各領地への家臣の振り分けを終え、後は途中で放り出す事となってしまう伊勢の長野工藤家の調略。
此方は親父の家臣の稲田掃部助(景継)が昔、長野工藤家の元で陣借をした事があるので、その伝手を使って調略を頼んである。
それと、真宗高田派の僧を通じて織田家への臣従を促してもらっている。
これは、公家の松木家や飛鳥井家を通じて、高田派の権僧正である尭慧にお願いしている。
この仕事の続きは、伊勢に残した家老の斎藤内蔵助に丸投げしておこう。
内蔵助も伊勢で仕事をしていれば、京に居るはずの明智光秀に会って引き抜かれたりする事もないだろう。
後は京へ連れていくメンバーだが、小姓の森源八郎と藤堂与吉。
公家への伝手がある加木屋正次。
親戚が三条家に匿われている飫富新兵衛。
謀略担当の本多弥八郎。
地味に役立つ奥田三右衛門。
引き連れた兵を指揮する為の渡辺半蔵。
新しく加入した近江衆。
後は半蔵の下で、京の見廻りにでも使おうかと思い、脳筋共の中から適当にチョイスして連れていく事にする。
こいつ等は、領地に置いていくと何か仕出かさないか心配なので、目の届く所に置いて使おうと思う。
今回、護衛役の仙石新八郎、岸新右衛門、野中権之進の3人は、美濃金山にいる野中伯山先生の元で再修業させよう。
ちなみに、可児才蔵と加治田新助は、宝蔵院胤栄の元へ修行に出していて不在です。




