215 甲賀で人探し
新しく召し抱えた家臣達がいる。
1人目は、上洛前から予約していた藤堂虎高の次男の与吉くん、後の藤堂高虎だ。
長男は浅井家に仕えているのだが、藤堂家は没落して貧乏なので、正直次男を養っている余裕なんてないのが幸いしてスカウトに成功した。
史実では、伊勢攻めで長男は討ち死にしているので、このタイミングでしか与吉をスカウト出来なかっただろう。
それに与吉は、小姓としての採用なので俸禄が安くて助かる。
2人目は、同じく予約済みだった多羅尾光俊の次男の彦市光太。
こいつも、史実では後に長男が亡くなって家督を継ぐので、今回スカウト出来たのは運が良い。
親父は豊臣秀次に仕えて8万石の大名となるので、伝手としては十分だな。
でも、秀次に仕えたせいで、連座して改易されてるがな。
そして3人目、三雲家より一族の三郎左衛門資持という奴が送り込まれてきた。
正直よく知らんが、三雲家とのパイプ役なのだろう。
甲賀衆との連絡役は欲しいところだったし、有り難く頂いておく。
元は資隆という諱だったらしいが、俺の諱である可隆の隆の字に遠慮して、資持に変えたそうだ。
そして最後に、長束安芸守正盛。
やっと巡り会えた。
本当はお前じゃなくて、息子が目的なのに…
息子の長束正家の成長を楽しみにしている。
この4人に、賭けで勝って家臣にした青木所右衛門重通を加えた5人が、新規加入のメンバーだ。
他にも蒲生家が紹介してくれる人材もいるが、そっちは誰が来るかもわからんし。
知ってる人ならいいなぁ。
新しい家臣を召し抱えた訳だが、他にも今回の戦で牢人となった近江衆から、新しく家臣をスカウトしたい。
流石にこのまま誰も召し抱えずにスルーするのは勿体無い。
昨年の伊勢攻めでの報酬をケチッていたので、今回は家臣達の知行を多少加増した上でも、もう少し余裕があるはず。
しかも、小笠原長時を射殺すという一番の武勲を立てた大島鵜八が殿に引き抜かれたので、鵜八の移籍料分も込みで、大物は無理でも中堅クラスの武将を1人くらい狙いたい。
とはいえ、流石に合計で1000貫も出せないが…
有名武将は、既に殿に降伏していたり、知行の関係で勧誘出来ない奴が殆どだしな。
城持ちは選択から外れるとして、やはり牢人狙いしかないだろうな。
でも、そんな奴が今何処に居るかなんて知らないしなぁ。
妥協して仲良くなった山中家、伴家などの甲賀衆に有能な牢人を紹介してもらうか…
名前を聞いたら思い出せるくらいの人物を紹介してくれるかもしれないし。
「三郎左衛門、早速だが、お主に頼みたい事がある」
三雲家から押し込まれた三郎左衛門に仕事を頼む。
「甲賀の瀧家より孫平次という者を探しだしてもらいたい」
「孫平次に御座いますか?」
取り敢えず、新人の三雲三郎左衛門くん。
君の最初の仕事は、甲賀衆の瀧家?…多喜家?から、孫平次という人物を探し出して連れてくる事だ。
「甲賀で、孫平次は優れ者だという噂を聞いたのだ。その時は上洛の事で頭がいっぱいであった故、別段気にも留めなかったのだが、上洛を終えた今、ふと気になってな。真に優れ者であれば、是非とも召し抱えたい。だが、何処に居るかも分からぬ故、探してもらいたいのだ」
少々苦しい言い訳だが、神のお告げだとか、偉い人が夢枕に立ったとかの妄言を吐くよりマシだろう。
「はっ、承知致しました」
甲賀衆にも協力してもらって、絶対見つけて来てね!
コイツが今回の目玉商品だから絶対ね!
宜しく頼むよ!
「他にも見込みのありそうな者なら数人召し抱えても良い。あまり知行は与えられぬがな」
安月給で働いてくれる牢人がいるなら、2、3人くらいなら雇ってもいい。
声を掛けたい武将って誰かいるかな?
流石に条件に合いそうな甲賀出身のマイナーな武将など、パッと思い浮かばないけど。
参考にならないかなぁと、家臣の姓を思い浮かべながら考える。
稲田…堀尾…増田…山内…山内一豊ってどうしてるんだろう?
安食…兼松…山田…山田は平凡すぎて逆に思い浮かばん。
平野…奥田…加藤…




