203 バイバイ鵜八【地図あり】
前話の前半部分が200話と重複していたので削除し、後半に文章を追加しました。
投稿日(8/7)の18:00に変更。(少し会話が増えただけです)
申し訳ございませんでした。
芥川城を柴田源吾殿に任せ、織田家の本隊がいるはずの普門寺城へと向かう。
本隊に合流すると、既に普賢寺城、高槻城は落とされており、既に敵の姿は見えない。
まあ後は、逃げていく三好を追撃しながら、摂津の国人衆を脅していけば良いだけだ。
もう、何もしなくても大丈夫だろう。
「傳兵衛、殿が御呼びだ。鵜八も共に参れ」
自陣で一息吐いていると、親父がやって来て、鵜八と共に殿の元へ向かえと命じられる。
殿から呼び出しとは…
鵜八と一緒という事は、小笠原長時の事だろうか?
それ以外に鵜八が呼び出される理由は思い浮かばないしな。
直接お褒めの言葉でも貰えるのだろうか?
素直に親父と共に鵜八を連れて、殿の元へ向かう。
「鵜八、此度の小笠原信濃守を討ち取った事、見事であった。弓の腕で高名な小笠原信濃守を弓で射殺すとは、お主の様な者が家中におるとは、儂も鼻が高い」
「はっ!」
殿のお褒めの言葉に鵜八も殊勝に答える。
「ところで傳兵衛、鵜八を儂の直臣にと思うが、お主は如何思う」
なんだ鵜八を引き抜きたいのか…
う~ん、鵜八を引き抜かれると、その穴を埋めるのは大変なんだけどなぁ…
「鵜八の出世を御約束いただけるのであれば構いませぬ」
だからと言って、鵜八の引き抜きを断わって不興を買うなんて事はしませんけどね。
引き抜くのは良いけど、出世はさせてあげてね。
あと、他家へ与力に出すのは止めて欲しい…
「左様か」
「はっ。鵜八は何れ、どこぞの城持ちにと考えておりましたが、当家で小勢を相手に戦うよりは、殿の直臣として大舞台で活躍させた方が織田家の為になるやも知れませぬ。殿の元で出世させていただけるのであれば、その方が鵜八本人の為にもなりましょう」
何れ城を持たせる予定だったんだから、それくらいの出世は約束してくれるよね?
「良かろう。鵜八、直ぐに本陣に出仕せよ」
う~ん、後任はどうするかなぁ…
「殿!」
自陣に戻ると、鵜八に呼び止められる。
「鵜八、お主の腕があれば、直ぐにでも頭角を現せよう」
「しかし…」
「そうでなければ、殿の話でも断っておる。お主であれば、何れ万石を超える知行を得る事も出来ると確信しておる。しかし、今の儂では、お主の働きに十分に報いてやる事は出来ぬ」
大丈夫、大名になれるさ!
「殿…承知いたしました。殿に仕えてよりの御厚遇、決して忘れませぬ」
鵜八は感謝を述べ頭を下げる。
そうだぞ、恩を忘れるなよ!
出世して、森家の役に立ってくれよ。
鵜八を引き抜かれる事になったが、後は三好家の残党狩りくらいだろうし、大丈夫だろう。
また一人、森派閥の武将を送り込めたのだから良しとしよう。
出世して、大名になってくれよ。
あっ…此奴が大名になったのは、織田家が滅んでからだったわ…
再び自陣に戻り、一息吐いていると、またもや親父がやって来る。
「父上、次は何の御用に御座いましょう?」
流石にもう引き抜きはないだろうし、本当に何の用だろう?
「傳兵衛!吹田の地にて三好家と決戦となりそうだ。急ぎ支度をせい!」
は?
あれ?
戦い有るん?
…まだ、鵜八を手放すんじゃなかったかな?




