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討ち死になんて勘弁な  作者: 悠夜
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191 甲賀衆と合流【地図あり】

 親父と別れ、布施山城へ兵を向かわせると、俺は更に南、甲賀郡にいるはずの神戸家の軍を探す。

 伊勢からの軍は、二手に分かれて西にある美濃部家、青木家と南にある望月家、山岡家を攻めているはずで、ウチの兵は神戸家と共に美濃部城の方へ向かったはずだ。

 進軍予定ルートから、最初の目標となっている美濃部城へ向かうと、既に城は落とした様で次の目標に進軍開始しようとしている所だった。


「おお!傳兵衛殿!御早い御越しに御座るな。しかし観音寺城の方はよろしいので?」


 出迎えてくれたのは勿論三七様ではなく、まだ神戸家当主である神戸蔵人大夫殿。

 幼い三七様は神戸城で留守番だ。

 他にも調略した甲賀衆も揃っている。


「既に観音寺城は落としました」


「なんと!流石ですな、傳兵衛殿。まさか一日で観音寺城を攻め落とされるとは…」


 既に織田家に付いている甲賀衆の山中大和守俊好が、あっさり観音寺城が落ちた事を驚いている。


「それは、箕作城を攻め落とした佐久間半羽介殿、木下藤吉郎殿等の手柄ですな。まあ六角家が、既に近江の方々の信を失っていたというのが一番の要因に御座いますが…」


「で、ありましょうな…」


 六角家にまだ人望があれば、大和守とこうして話をしている事はなかったのだから。


「甲賀の方は如何に御座ろうか?無事、美濃部城は落とせた様に御座いますが。此方は残念ながら中務大輔を取り逃がしました。此方へ逃れては来ませぬか?」


「いえ、此方に逃れて来てはおられませぬな。今、我等は美濃部家との戦の最中にて、別の城を目指されたのでは?」


 まあ、そりゃそうだな。

 戦闘中の城へ逃げるとか無いわな。

 現在、神戸家の兵が鈴鹿山脈を越えて、甲賀の山中家や頓宮家、大野家と共に、美濃部家の城を絶賛攻撃中だったので、城に入るのを諦めた可能性はあるな。

 此方に逃げてきた六角一族を潰す為にやって来たのだが、来ていないとなるとここにいる意味がないな。

 三雲家の方へ向かったのかな?それとも望月家か?次の攻撃目標である青木家もあるな。


「三雲家の動きは如何に御座る?」


 山中大和守殿に尋ねる。


「目立った動きはありませんな。どちらに加担する事もなく、門を閉じております」


 う~ん…中立っぽいのかな?

 六角に付く訳でもなく、織田方に味方する訳でもなく。


「某は三雲城へ参ります。蔵人大夫殿、大和守殿は蒲生家の事を御願い致す。我らが承禎殿と右衛門督殿を捕らえたと知れば、抵抗を続ける青木家や、頑なな左兵衛大夫(蒲生賢秀)殿や下野守(蒲生定秀)殿とて降って頂けよう」


 実際史実でも神戸蔵人大夫殿の説得で降伏しているし。


「しかし、三雲城へ向かうのは些か危のう御座るが…」


 山中大和守が心配してくれるが、ここまで六角家に加勢する動きがないとなると、多分大丈夫だとは思うんだが…ちょっと心配になってくるやんけ。


「では、某の弟に道中の案内をさせましょう」


 いきなり、その他大勢の中から護衛をくれると名乗り出る男が一人。

 大和守もそれに同意する。


「それが良い。太郎左衛門殿、御願い出来るか?」


「無論に御座る。傳兵衛殿、御初に御目にかかる。某は伴太郎左衛門と申す」


「森傳兵衛に御座る。伴家当主である太郎左衛門殿に御会い出来て嬉しゅう御座る」


 伴太郎左衛門…確か伴家の当主の伴資家だったな…神戸蔵人大夫殿等に甲賀の国人衆を教えて貰って良かったよ。

 誰あんた?とか言わなくて済んだよ。


「これは某の弟の常陸と申します。案内させます故、存分に扱き使って下され」


 太郎左衛門殿が、弟を俺に紹介してくれる。

 うん、国人の当主の弟が一緒なら、三雲家にも無下にはされないだろう。


「太郎左衛門殿、誠に忝ない。有り難く。某は自陣に向かいます故、後程そちらへ。望月家を攻める長門守殿にも伝令を御頼み致す」


 伴常陸資則に後から森家の陣に来るように頼んで、自陣に向かう。


挿絵(By みてみん)

青木氏の城には他にも東丸岡城、東正福寺城、青木氏館とかありますが、細かくなるのでカットしました。

それぞれ、丸岡城、正福寺城、菩提寺城とセットという事で…近すぎるし、セットの城もあるので…

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