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討ち死になんて勘弁な  作者: 悠夜
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181 永禄十年

 永禄十年正月(西暦1567年2月)になった。

 周囲の状況を整理してみよう。


 三河の松平家は当主の松平家康が朝廷に働き掛け、源氏から藤原氏となり、従五位下三河守を授けられて徳川家康に改姓した。


 駿河の今川家は、氏真が楽市を開いたり、徳政令を出したりして何とかしようとしているが、やっぱり駄目そうかな?


 武田家では上野国に侵攻して箕輪城を攻めて、長野業盛を切腹に追い込んでいる。

 そろそろ駿河を攻めそうな感じがする。


 南伊勢の北畠家は、あまり変わりがないが、中伊勢の長野工藤家は、親織田派と反織田派で分裂している模様。


 越前の朝倉家は、加賀の一向衆との戦の真っ最中。

 史実通り3月辺りに堀江景忠が謀反を起こすかもしれないし、上洛など出来よう筈もない。(する気があるかどうかは知らないが)


 若狭の武田家は内乱が収まっていない上、当主の武田義統の具合が悪いらしく(史実では今年の四月に死去)、次期当主も幼く、とてもじゃないが上洛などする余裕はない。


 京にいる三好家は、足利義勝を左馬頭に任官させ、それを旗頭にする様だ。

 恐らく、この数日中に任官して義栄と名を変えるのだろう。

 となると、当主の三好義継はそれを不満に思い、松永久秀と手を組んで、三好家が割れるんじゃないかな?


 大和の松永久秀は、相変わらず三好家や筒井家と戦っているが、こちらへ擦り寄ってきている様だ。


 ついでに能登の畠山家の当主と息子が、家臣に追い出されて近江の坂本にいるらしい。


 そして織田家は今年、足利義秋を美濃に呼んで、今度こそ上洛を目指す予定である。

 史実なら越前朝倉家で元服を終えてから美濃へやって来るのだが、織田家にて元服を執り行う事になっている。

 越前から幕臣達がやって来るだけでなく、京から公家連中もやって来る事になっている。

 その上、烏帽子親となられる殿が無位無官では体裁が悪いと、何やら官位を授けられるらしい。

 その為、今織田家は大忙しだ。

 他にも上洛の為に各大名家への根回しや出兵要請、寺社勢力への通達などもしなければならない。


 俺も宴会用の酒の調達、村井民部丞殿の下で幕臣や公家との調整などをしなければならない。

 まあ、酒の調達は山田去暦や増田仁右衛門等に任せてしまえば良いが、公家連中の相手は俺がやるしかない。

 う~ん、何で俺がそんな大役をやらねばならないのか…他にもっとやるべき地位にいる人がいるだろう。

 うん、親父がやれば良いと思うのだが…まあ、寺社の相手はやってくれるので、宗教屋の相手をしなくて済むのは助かる。

 まあ、この時代の宿と言えば、お寺なので全くの無関係とはいかないが。



 幕臣は兎も角、公家の相手をするのはちょっと不安だな。

 平野右京進を始め、数人任せられるメンバーもいるが、もっと年長者の指導が欲しい所だ。

 なので助っ人を呼ぶことにした。

 伊勢楠城の城主である楠木兵部大輔正忠。

 この人は山科言継の友達なので、そこを任せておけるので大分楽が出来るはず。



 兵部大輔殿を蓮台の屋敷へ呼び出し、手伝いを頼む。

 呼び出された兵部大輔殿は、一人の若い男…俺より歳上だが…を連れてやって来た。


「傳兵衛殿。拙は此度、ここにいる孫娘の婿の庄三郎を養子に迎え、これに当主の座を譲り、出家する事に致しました。西蓮院実浄を名乗っておりまする」


「庄三郎正邦に御座います。宜しく御願い致しまする」


 ああ、確か神戸家が降伏するまでに息子の七郎左衛門殿を織田家に降る様に説得出来なければ、七郎左衛門殿を廃して別の者に後を継がせると言っていたな。


「しかし、隠居して出家までするとは…」


「拙も歳に御座います。幸い神戸家も降伏し、神戸家に仕えておった庄三郎を迎える事が出来ました。これを期に愚息も隠居するのが良かろうかと思い、出家致した次第」


 神戸家に仕えていた孫娘の夫である村田庄三郎盛邦を家に入れ、当主を譲り隠居して出家したのだそうだ。

 庄三郎は養子になると盛邦から正邦に改名したそうだ。

 まあ、それはどうでもいいか。

 当主でなくなったのなら、楠城へ戻る必要もないだろう。

 ついでにウチの家臣も何人か、公家との付き合い方をレクチャーしてもらおう。

 平野右京進ばかりに負担を掛けるのは心苦しかったし。

 直ぐに使えそうな奴等を呼び出し、兵部大輔殿に引き合わせる。


「兵部大輔…いや、実浄殿、此奴等の事を宜しく御願い致す」


 兵部大輔殿に、森勝三郎、堀尾茂助、奥田三右衛門、増田仁右衛門、山内次郎右衛門、青木次郎左衛門の指導も頼む。

 俺の古参や身内枠なので、公家との付き合い方も覚えてもらわねば…俺も楽がしたいし。

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