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討ち死になんて勘弁な  作者: 悠夜
15/554

 15 虎児を得る為に

 平野長治は、引っ越し準備のため帰っていった。

 そのまま蓮台へ向かってくれるようだ。


 俺たちは、津島から西にある次の目的地、下之一色村城を目指すわけだが、スカウト目的のため、少し寄り道をして進路を北西にとる。


 そして、着きました長束(なづか)村!


 長束といえば、五奉行の長束(なつか)正家。

 近江出身説が主流の正家だが、尾張説もあるため、一応確めておきたい。

 まだ本人は生まれていないわけだが、父親がいないかな?


 結論、いませんでしたー。父親の水口(みなくち)盛里(もりさと)さんは見つからず。

 やっぱり近江出身なのかな?


 仕方ない、正家はまだ生まれてもいないし親の代から囲いたかったのだが、気を取り直して次にいこう。



 第二弾、長束村のすぐ近く、増田(ました)村!


 同じく五奉行の増田(ました)長盛(ながもり)

 こちらも、近江と尾張両方に出身説がある。

 大本命なので、どうか尾張出身でありますように。



 寄り道番外編、中村。


 増田村の牢人、増田仁右衛門(にえもん)長盛を一行に加えて、秀吉の故郷の中村へと。

 別に秀吉に用事があるわけではない。ただここに住む鍛冶屋に興味があるだけだ。


 一軒の鍛冶屋に入り、奥にいる主人に話しかける。


「主人、刀を一振り打って貰いたいのだが」


 元は武士であろう、しっかりとした体格の男が出て来る。


「そりゃ有難いですが、某でよろしいので?」


  まあ、不思議だよね。他の村の者が突然やって来て刀を打てとか。地元か、評判の店に頼めばいいのに。


「ここで打って貰うと良いことが有りそうな気がしてね。勘みたいなものだよ」


  納得いってないような顔してるな。まあ、適当な事を言ってるわけだが。


「ところで、主人はどこかの武家の出だろうか?」


 少し表情を暗くして答えてくれる。


「はい。某、加藤正左衛門(しょうざえもん)と申します。

 元は美濃斎藤家に仕えておりましたが、織田家との戦で父は討ち死にし、所領も失いました。

 某も足を痛め、鍛治屋を始めることに」


「ご家族は?」


「十六になる弟がおります」


 ほう、これはいけるか?


「もし、どこにも仕えておられぬなら、当家へ、森三左衛門が家は、如何か?」


「はっ?」


 まあ、突然言われても、訳が分からんだろうな。


「今、当家は幾人か人を増やそうと思うておる。もし、不都合がなければ、是非当家にお越しいただきたいと。同じ美濃の出なれば、他家よりは仕官しやすかろうかと思うが、如何か?」


「よろしいので?」


「勿論。正左衛門殿は、如何か?」


「いえ、某は、とうに刀を捨てております。もし、男子が生まれれば、宜しくお願い致します」


 よし、加藤清正を予約した!

 未来への布石だから今回の目的とは違うけど。

 秀吉の遠縁に当たるかもしれないが、仕官は志賀の陣が終わった後になるだろうし、まあいいよね。

 本当に来るとは限らないし。



「では、刀は、翌年の五月頃に取りに参ります」


 弟さんにはすぐに手紙を出すらしい。

 念のため津島で買った五郎助の槍、いらなかったかな?

 まあいいか、父親の死後に叔父の五郎助を頼るかもしれないし。

 中村の鍛冶屋、正左衛門と別れを告げて、今度こそ下之一色村城へと向かう。



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― 新着の感想 ―
津島から西に行くと、木曽川を越えて伊勢国に行ってしまいますが?
[一言] 加藤清正ゲット‼️(予定)って事は、次は福島正則?
[一言] 引き抜きまくりだけど、養えるのかー? 死なずに頑張って稼ぐしかないな!
感想一覧
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