126 北伊勢のネタを探せ
どうやら北伊勢攻めに加わる事が、本決まりになってしまった様だ…
だが、俺が参戦する事になるとは思っていなかったので、何の情報収集も工作もしていない…
前世の知識も大したものはない…伊勢攻めなんて、滝川一益がいつの間にか攻め込んで、養子ラッシュで乗り切った印象だ。
急いでネタを仕入れなければならない。
誰か、情報を持っていそうな人物を探さないと。
ウチの家で知っていそうなのは、伊勢に近い津島出身の平野右京進、戸田を任せている大叔父の森越後守、伊勢での戦に陣借した事のある稲田掃部助と加木屋久蔵…他に誰かいたかな?
伊勢出身の者を家臣に欲しいなぁ。
「伊勢に詳しい者…なれば某に心当たりが御座いまする」
家臣を集めて聞いてみると、前野将右衛門に当てがあるらしい。
「流石は将右衛門、顔が広いな」
「ははっ、某の親族ゆえ、顔の広さとは関係御座いませぬが」
感心すると、笑って否定してくる。
はて?親族という事は、前野家か坪内家に誰かいるのかな?
「某の伯父の娘婿に森小一郎という者がおります。この者、元は伊勢桑名の中江城の城主でありましたが、先代信秀公に攻められ落城し、小折へと落ち延びました。この者ならば北伊勢の諸家に詳しかろうと思いまする。たしか殿の同族で、元々は大和へ移り住んだ一族が伊勢へ流れて来たのだとか」
へぇ~、そんな親戚おったんか~。
「北伊勢の話を聞きたい。将右衛門、その者を召し出せ。無理ならば連れてくるだけでもよい」
「はっ、お任せくだされ」
将右衛門は、威勢良く答える。
情報がないと仕掛けようがないからなぁ…ホンマ頼んますわ。
さて、森小一郎が来るまで、編成でも考えるか。
今回は、一向門徒は除外されるので、こいつらは親父の手伝いで上洛の準備をさせておこう。
伊勢攻めを外されても、上洛出来るなら文句は言わないだろう。
上洛出来るとは限らんがな…
義弟の青木次郎左衛門も、今回は留守番に回す。
今のうちに領地経営とか勉強させて、俺がいなくても何とか出来る様になってもらわないと。
折角、元斎藤六宿老の一人である竹腰摂津守を召し抱えたのだから、ノウハウを学んでもらいたい。
加木屋久蔵と平野右京進は、公家や幕臣との繋ぎの為に残しておきたいし、斎藤内蔵助や奥田三右衛門、前野将右衛門は六角が裏切った時の事を考えて残しておきたい。
六角が裏切る前提で考えているけど、大丈夫だよな?
美濃一色家が無くなってしまったから、裏切らなくなるって事は流石にないと思うんだけど。
浅井家と仲が悪いので大丈夫だとは思うが…
武田から引き抜いてきた奴等は全員連れて行ってやろうか…
武功を立てるチャンスは、与えてやらないと…それ目的でやって来た奴もいるからな。
暫くして、将右衛門は約束通りに、森小一郎正久と次男の甚之助正成を連れてきてくれた。
長男は、1556年に一色義龍が明智城を攻めた時に、防衛側の明智方について亡くなったらしい。
小一郎のお陰で、なんとなく北伊勢の国人衆の事がわかった。
大きな所は、鈴鹿郡の関氏、三重郡の千種氏、河曲郡の神戸氏、朝明郡の春日部氏で、春日部氏以外は六角氏と手を結んでいるらしいので、目標は自然と春日部氏+弱小国人衆となる訳だが…調略出来るのって誰だろう?
親父に水野信元の家臣である稲生重勝の協力を仰げないか聞いてみよう。
元は伊勢の稲生氏の出で、現当主の大叔父らしいから、調略の手伝いをしてもらいたいのだが。
稲生氏って神戸氏よりも更に南にいるから、出番は無いかもしれないが…




