表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
討ち死になんて勘弁な  作者: 悠夜
115/554

111 この茂助は知らない

「隼人正殿と半右衛門を丁重に本陣までお連れせよ。手柄は二人で分けるがよい。あと殿に、右兵衛大夫が、(すで)に城を捨てておるやも知れんとお伝えせねばならぬ」


 三郎四郎と茂助と共に、長井隼人の遺体と息子の半右衛門を織田本陣へと連れて行き、殿の沙汰を待つ。


「しかし、右兵衛大夫を逃してしまいましたな」


「潔く、まだ稲葉山城に篭っておられるやも知れぬがな」


 三郎四郎は一色龍興が逃げ出したと思っている様だが、まだ分からんけどね。

 まあ、逃げ出しているとは思うけど。

 稲葉山城落城時に捕らえられて、殿に偽物呼ばわりされて逃がされるなんてゲームみたいな展開は、流石にないだろう。


 先の戦いで稲葉山城に逃げ帰った者もいるので、もう一戦しなければならない。

 龍興が逃げ出していれば、素直に降伏して城を明け渡してくれるかもしれないが…


 稲葉山城の攻略は、秀吉が搦手から攻めて火を着けたって話があったよな。

 本当のところは知らんが。

 狙ってみるのも良いかもしれない。


「茂助、城の者に見つからずに搦手門を攻める道を知っておるか?」


 一応念の為に茂助に聞いてみる。


「はっ?生憎存じませぬが…」


 まあ、知らんよな。

 だって茂助、牢人して稲葉山城の麓で猟師生活なんてしてないもんな。



「殿、只今戻りました」


 父親の来訪に蓮台に戻らせた斎藤内蔵助が戻ってくる。


「して、如何な話であった?」


「はっ、道哉殿が所領を捨て、奥州へ落ちられると。京の様子も聞いて参りました」


 ああ、やっぱり蜷川新右衛門さんは奥州へ逃げるのね。


「京の様子は、後で話してもらおうか」


 うん、京で三好家の動きとか大事だからな。


「それと道哉殿の末子を、養子とする事となりました」


 へぇ~…そんな人いたかな?

 ああ、謎の弟の斎藤親三の事か。

 まあ、いいや。


 内蔵助が戻って来たんだから、兵の指揮は任せて、俺は稲葉山城への潜入を試みてみようかな。



 稲葉山城への道には幾つかのルートが存在する。

 正面の道で最もなだらかな七曲口。

 秀吉が攻め入ったと云われる百曲口。

 七曲口の裏側にあり、距離は遠くて沢を横切るが歩きやすい水の手口。

 他にもあるが、今回チャレンジしてみたいのは、現代で鼻高登山道と呼ばれる北東からの城の東に出るルートだ。

 

 このルートは龍興が長島へ逃れるのに使ったと云われるルートだ。

 まだ逃げていなければ、鉢合わせになるかもしれない…まあ、ないだろうけどね。


 稲田次郎兵衛、奥田三右衛門、山内次郎右衛門、森小三次、安食弥太郎、兼松又四郎、本多三弥左衛門、仙石新八郎、岸新右衛門、加治田新助、可児才蔵、野中権之進の若さ溢れる9人の脳筋を含む、家臣12人と共に稲葉山城への突入を敢行しようと思う。


 まずは、殿にお許しを貰わないとな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ