101 郡上郡の騒乱
俺の歴史の知識は、今世で知った尾張や美濃の木曽川周辺の知識と、前世で知り得た織田信長や豊臣秀吉などが活躍した有名な地域が中心だ。
同じ美濃とはいえ、郡上郡の地理まではうろ覚えで細かい所までは分からない。
確か、郡上郡の坂本には峠があったと記憶しているが…
でも、きっと何か問題のある土地なのか、くれてやっても問題のない程度の土地なのだろう。
あれ?でも、なんかあった気がする…
まあ、土地を貰うか貰わないかは親父に使いを出して判断してもらうとして、少し考える。
坂本の名は聞いた覚えがあるかのような引っ掛かりがあるのだが、今は思い出せない。
畑佐にも少し覚えがある様な気がする。
史実で六郎左衛門殿に反乱を起こした武将に、そんなのがいた気がする。
ということは、反乱が起きたので、織田家の力を借りるために、早く和睦したいのかな?
そして、その反乱を起こした奴の土地をくれるって事だろうか?
確か反乱を、起こした奴のバックには飛騨の姉小路氏がいたような?
ならば、貰える土地は飛騨への通り道という可能性もあるな。
正直イラネ~。
温泉とかあれば別だけど。
領地を与えて、飛騨との壁に使いたいってことだよね?
「実は、美濃の混乱に乗じる形で、飛騨の姉小路家が兵を集めております。それに唆されて、幾人かの者が蜂起いたしました。中には織田家への臣従拒否を理由に謀反した者もおりますれば、是非ともお力添え頂きたく」
ほら、やっぱり…
だが訂正するならば、織田家への臣従が嫌なのではなく、どさくさ紛れに下剋上を目指しているか、姉小路家に高値で売り込みたいか、或いは旧主である東氏に帰って来て欲しいかのどれかだと思うよ?
元々、この地を治めていたのは東氏で、遠藤氏はその家臣でしかなかった。
しかし、当主である東常慶の子である常堯が、大隅守の父である遠藤胤縁を殺害した。
原因は、常堯の素行が悪く、娘婿の遠藤盛数に家督を継がそうとしたとか…遠藤氏の言い分だから怪しいけど。
あと、胤縁の娘を常堯に嫁がせようとしたが断られ、畑佐なんとかさんに嫁がせたのを恨んだとか…
胤縁の弟である六郎左衛門殿の父、盛数は兄の敵討ちを名目に東常慶を討ち取り、常堯は飛騨へと落ち延びた。
常慶の娘を妻としていた盛数は、東氏の後継となり、遠藤氏の家督も継いだ。
飛騨へと逃れた東常堯も、今回領地を奪った遠藤大隅守も、六郎左衛門殿の父である盛数に家を奪われている。
大隅守の場合、家督を取られたが、領地はそのまま残っているが。
今回の事は、どう考えても織田家のせいではなく、盛数のせいだろ?
まあ仕方ない、敵の本隊が来る前に、親父に援軍を頼むか。
一先ず休憩をして、家臣と協議させてもらう。
ウチの主力連中の大半は蓮台と久々利に待機させている。
なので、今ここに連れてきているのは、稲田次郎兵衛、山内次郎右衛門、青木次郎左衛門、渡辺半蔵、渡辺新左衛門、渡辺六左衛門、鳥居四郎左衛門、森小三次、岸新右衛門、谷野大膳、斎藤内蔵助、乾作兵衛、その息子の彦作と七郎左衛門。
谷野大膳と斎藤内蔵助を連れて来ていてよかった。
軍事は、二人に任せよう。




