第26話 ミスリル(2)
洞窟の底でミスリルを発見した。
銀のように美しく、鋼をはるかにしのぐ強靭さを持つと言われる伝説級の金属である。
「これで装備を作れればかなり強いぞ」
しかし、発見したミスリルは『2』だ。
ミスリル・ソードを作ろうとすると5は必要。
そこで俺はどうにか同じ輝きを持つ鉱物がないかこの岩の裂け目の先を掘り進めてみる。
すると、ザックザックとまではいかないが、1見つかり2見つかりとして『12』のミスリルを集めることができた。
しかし、やがていくら掘ってもミスリルが出て来なくなってしまう。
「もう見つからないかな」
そう手を休めた時にはかなり時間がたっていた。
キリもよいので、今日は拠点へ引き返すことにするか。
「さてと……」
で、仮家へ帰り、メシと風呂を済ますと、俺はミスリル・ソードを作ろうと工作BOXを開いた。
頭で剣の形を思い浮かべ、『部材の工作』でその図形を描いていく。
「いや、待てよ」
しかし、そこで俺はふと頭を止める。
ミスリルが12あれば、ミスリル製の防具ができるんじゃないか?
まあ、防具を作ってしまうと剣を作れなくなりそうだけど……
攻撃力はパワーストーンによって2000近くにまで上がっているのだから、まだ400ほどしかない防御力を高めるほうが先決かもしれない。
そこで俺はそれまで鉄でこしらえていた防具を、ミスリル製に代えてみる。
具体的には、鉄で作った鎖帷子や籠手などの図形データを、ミスリルの工作に引用して作るのだ。
「よし、できた!」
名付けてミスリル・プロテクタ。
「余裕があればソードも作ったんだがなあ」
一方、ミスリル原料は残り1になってしまい、やはりソードを作ることはできなくなってしまう。
残念だが、まあ仕方あるまい。
それからこの夜も鉄道機関部の試作を行ってから眠りについた。
翌日。
洞窟にもぐると、やっぱりソードがあきらめられなくて、俺はまたミスリルを探し始めてしまう。
やっぱ、剣はカッコイイしね。
できればミスリルの剣も振るってみたい。
あの岩の裂け目の先にはもう無いみたいだったけど、このフロアの別の場所にはまだ眠っている可能性がある。
「うーん、ないなあ……」
しかし、だいぶ探し回っても、なかなか追加のミスリルは発見できなかった。
伝説級の貴重な鉱物だしな。
このフロアとは言え、さすがにあれしか埋まっていなかったのかもしれない。
「なんなら、防具の一部を省略して、剣の方に回すか……」
そんなことを考えていた、そんな時だ。
ギャゴオオオ!!!!
ふいに背後からドラゴンの声が鳴り響いたのは。
「えっ……」
鉱物探しに気を取られすぎていたのがよくなかったのだろう。
近くまで寄って来ていたのに気づいていなかった。
急に近距離にあらわれた敵の攻撃に、俺はまったく反応できない。
「ぅあああ!」
不意打ち気味に襲いかかるグリーン・ドラゴンの爪が、俺の肩を袈裟懸けに薙いだ。
あっ、死んだ……
トホホ。
こんなことなら一回くらいセーラのおっぱい揉んでおくんだったなぁ。
「…………って、あれ? 生きてる??」
しかし、次の瞬間。
俺にはまだ俺の意識があった。
つーか、全然痛くないし。
・HP550/562
ステータスを確認すると、HPは最大から12しか減っていない。
ぐ、ぐぐぐ……???
グリーン・ドラゴンは自分の攻撃を受けた俺がケロっとしていることが不思議でにわかにたじろぐようである。
・守備力 1012
そうか。
ミスリル・プロテクタを装備してるからじゃん。
「ふふっ、これならお前とも戦えるな。おらああ!!」
そう言って俺はグリーン・ドラゴンへ打撃を加えた。
ギャオオオオン!……(汗)
ただし、さすがに敵はドラゴン級。
一発で仕留めるというわけにはいかなかった。
でも相手の攻撃を受けても俺のHPは10前後しか減らない。
殴り、殴られを3ターンほど繰り返すと、グリーン・ドラゴンは倒れ、光の玉となって消えていった。
同時に。
ドラゴン級の経験値によって俺のレベルは10上がった。
・レベル51→61




