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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都王宮編 前編

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Ep-74 稚拙な案と阻止

昨夜謎の眠気と腹痛に襲われ間に合いませんでした。

アイディアが足らずこのようなストーリー展開になってしまいました、申し訳ありません。

謁見が始まったが、

俺は対等に椅子に座って話していた。

ただ、アレックスとクレルは今まで通り跪いているが。


「ユカリよ、余はお前に渡したいものがあるのだ」

「はい。...一体なんでしょうか」


俺の無礼な口調を咎める騎士はいない。何故なら、そもそも騎士がいないからだ。

宰相っぽい奴は控えているが、時折口を開こうとして国王に制止されている。


「それはな...勲章と爵位と領地だ」

「お断りします」


王子様...ジルベールだったかな?は少し溜めてそう言ったが、勿論お断りだ。

爵位なんぞ貰ったらこの国から動けなくなるからな。

クラン活動にも大きな影響があるだろうし...

勲章なんぞ更に嫌だ。もうハンス解放団関連で裏には名が知れてるが、王都全体に名を広める気は毛頭ない。これで王家とつながりが出来ようもんならフラグ関連が一気に崩壊して下手に行動できない。領地も全く同じ理由でお断りでーす。


「ゆ、ユカリ!?」

「それはまずいって!」


後ろでクレルとアレックスが騒ぎ出す。

まあ、天上人である王子のお誘いを蹴るってのは貴族社会に入り浸った奴にとっては終わりと同義だろうな。


「どうせ、勲章、爵位、領地とくれば私のような下賤の冒険者に余った領地を押し付け、勲章を与えて内外的に王家に従っていると見せつけ、爵位を頂いた私に適当に選んだ貴族を婿として押し付け、囲うおつもりでしょう?」

「.......その通りだ」


完全に全部俺の予想でカマかけのつもりで聞いてみたのだが、やっぱりそうか...

ちなみに、これも王子様が人払いをしてくれてるお陰だ。

そうじゃなかったら今頃俺は騎士に襲われ反撃し、国家反逆罪で処刑だな。

ここは裏口を除く唯一の王族居住エリアに続く道なので、人払いをやると影響がデカいんだよな...それはそうと、王子様は何やら困った様子でこちらを見つめてきている。


「しかし...それではどうやってユカリを縛り付ければよいかな?わが身を差し出すか?それともこの王城でも差し上げようか?」

「どっちも必要ありません。持つべき者が持つ物ですから。」


だ~か~らっ!

俺はクランを成長させて異界の呪文書を...

あ、そうだ


「ジルベール様、ならば”異界の呪文書”を探していただけませんか?それさえ手に入れば多少の要求には答えましょう」


物凄い失礼な言い分だが、成功すればタダで異界の呪文書が手に入る代わりに王家と関係ができてしまう。失敗すれば王家との関係は断絶するが、その代わり自由に行動できる。

俺はあまり気にしていないが、メニューで使える”狭域マップ”では常に自身の周囲に...流石に王宮ではいないが、解放団の者が潜伏している。俺に手を出そうとしても解放団の奴らにボコられるか俺自身に撃退されるかの2択なんだよな。3択目は存在しない。


「異界の呪文書......か。わかった、探させよう。だが、多少の要求とは...?」

「我が身体を差し出せ...と言われたら無理ですが、多少のお願いを聞くくらいなら...」

「おお!それでいい!...ユカリにも自由がある故余は無理に迫ったりはせぬ。それに、大恩あるユカリの父上...ソウジロウ・アキヅキ子爵にも申し訳が立たぬからな」

「えっ!?子爵ぅ?!」


うちで毎日刀振って飯食って書類とにらめっこしてる奴は子爵だったのか...

てっきり男爵かと思ってたぜ。


「ユカリ、まさかお前...」

「自分の家の爵位を把握してなかったのか!?」


それを聞いて、初めて王が喋った。

それだ、と言わんばかりの表情で。


「ふむ、それだな...。ユカリ本人は勲章や爵位、領土を欲していない。ただ、ユカリは女性にして長女なので、権限はすべて実家に集中する...つまり、フォール家に爵位と領土を渡せばユカリは縛られるというわけだ」

「おお!それが最善です、父上」

「あ、待ってください!」

「反論はさせぬ!おい、オスカー!」

「はっ」


俺が反論するよりも早く、後ろから1人の騎士が動き、下へと走っていく。


「思い付きの策だが、これでユカリは余の願いを聞く以外無くなったな」

「爵位と領地を私の父が素直に受け取るとでも?」

「さあてな。結果は明日には届こう。魔導飛行船は速くて助かる」


やられた~....

何で気づかなかったんだろう。

俺自身になんかしてくると予想していて、実家には何一つ伝えていない。

定期的に帰っているが、その際もこの話は一切しなかった。

だからきっと、ソウジロウにとっては寝耳に水である。

あの父親なら...きっと混乱のまま承諾してしまうだろう...

俺は最悪の未来を想像したが、よくよく考えたらテレポートがあるんだし、今から話を伝えに行けば——————


「おっと、そういえば.....もう昼時であるな。ユカリよ、余と昼食を供にせよ。これは王令だ。」


げっ...

単なる偶然なのか、俺の能力を知っての時間稼ぎなのかは知らないが、

昼食に誘われてしまった。

王令まで出してくればもはや断ることは出来ないので、仕方なく俺は従った。


◇◆◇


私の名はオスカー。

王宮騎士でも筆頭の地位と思っている。

現在は王子の命によりエルドルム地方フォールランド領へと向かっている。

あの少女には申し訳ないことをしたが、我らも必死であるからな。

もし仮に、上がっていた報告が全て真実であるならば...

もし仮に、帝国に取り込まれれば...

強者を求める帝国では、強ささえあればそこそこの地位を築ける。

これほどの強者、並大抵ならぬ修練を積んだはず。

そしてその修練を積むには、上昇欲、野心、求道心...並大抵ならない熱意が要るのだ。

つまり、野望があるということ。

帝国はそういった燃え上がるような野望を持つものを取り込み、時に乗っ取られ、大きく成長して来たのだから。

最近はそういった分かりやすい強者は現れていないので、嘗ての様な勢いで侵略を行ったりはしていないが…仮にあの少女が帝国に行ってしまえば、直ぐにでも侵略を開始するだろうという直感はしっかりとあった。

ならば、我らは我らで出来ることをするまでなのだ。

そう思いつつ、私は角を曲がった。

しかし、次の瞬間全てが黒く染まった。


「何!?」


何だこれは…?

私は真っ暗な場所にいた。…いや、転移ではない。これは…何だ?

混乱する私に、後ろから静かな声が響いた。


「13:22、対象を拘束完了」


私は後ろを振り向き…そして息を呑んだ。

心臓が止まるかと思ったほどであった。

何故なら、私の後ろに立っていたのは、少女…ユカリ・アキヅキ・フォールその本人だったのだから。


「馬鹿な!陛下ぁ!」


私は慌てて王宮騎士に配給される通信魔石を起動する。

今頃ユカリは王宮で昼食を取っているはず。王に背いてまで王宮を脱する方法など無いはず…


『んん?どうした、オスカーよ』

「陛下!そちらにユカリ様はいらっしゃいますか!?」

『勿論居るぞ。それよりオスカーよ、ユカリは実に不思議であるな。叛逆の疑いのある貴族家のリストを作って渡してくれたのだ。お前が帰り次第調査をして貰うぞ』

「は...はっ!」


私は身も凍るような悪寒に襲われた。

ユカリ様は確かに王城にいる...ならば、ここにいるのは誰だ?

影武者の類か?しかし、それだとユカリとどうやって連絡を取った?

それに、私は普遍的な顔つき、鎧も派手でも無く豪奢でも無い。どうやって私を見つけたのだ...?

はっ、そうか!


「ふふふ、私は騙されません。...遠隔地に自身の幻影を作り出す魔道具ですか。随分と手が込んでいますが...むしろ私を狙うより、父親に早く手を回したほうがよかったのでは?」


少し混乱させられたが、何とも杜撰な時間稼ぎだ。

ユカリは転移の類は使う気配はないと聞く。こんな方法で3時間ほども時間稼ぎができるとでも?バカらしい。


「何を勘違いしているのですか?クリエイトウェポン、五芒剣ペンタゴン」


分身は報告の通りに武器を呼び出す。

まあ、それも幻影なのだろうがな。

私はゼロ距離から一気に加速し、ユカリに肉薄する。


「幻影如きが、私に勝てるとでも?」

「幻影だから、出来ることもあるのですよ」


そして剣を振るった。しかし、それは空を切る。

確かに右肩を狙ったはずなのに、もうそこに肩はなかった。

そして、次の瞬間走る痛み。

私は右肩を逆に切り裂かれていたのだ。

バカな!?王宮筆頭騎士に傷をつけるなんて...どこまで強いのだ!?


「ふふ、不覚を取った。だがここは一度引かせてもらうぞ」

「ええ。いいですよ」


ユカリは優しく微笑むと、冷たい声で言った。


「出来るものなら」

「転移魔石、発動!」


しかし、最重要緊急事態用の転移魔石は発光しただけで魔力を失った。

何故だ!?何故発動しないのだ!?

しかし、慌てている時間はなかった。


「ぐっあぁぁぁああ!」


次の瞬間、私の左脚と左腕が切り裂かれた。

斬られた部分が発光している。

何らかの効果のある魔剣か...だが、恐らく最後は頭を確実に狙ってくる!


「そこだあぁぁぁぁ!」

「軽微な損傷...ですが、任務完了です」


私の剣が脇腹に突き刺さったユカリは、そのまま頭を切り裂いた。

そして、私は全身が爆発するような感覚と共に気絶した。




ユカリ...ではなくエッジは、五芒剣を消して姿勢を元に戻し、そして詠唱した。


「エンド・オブ・ドリーム」


全ては現実へと戻り、エッジとオスカーは街中へ戻ってくる。

そう、これこそが相手を夢の世界へと閉じ込めるスキルの終わりであった。

エッジが踵を返すと、角を曲がった時そのままの姿勢で直立していたオスカーは、支えを失い崩れ落ちた。


「任務完了」


エッジはそのまま自身の胸を五芒剣で貫き、その場を後にした。


ドッペルシャドーで作り出された分身は、自身のHPの1%に当たるダメージを受けると消滅します。


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