Ep-713 天灼
空に飛び上がった私は、南の空を見る。
そこには、巨大な円盤と封竜の群れ、小型の戦闘飛空艇が飛んでいた。
全部魔族のものだ。
「幻獣が魔族と組むなんて.....まあまあ珍しいね」
そして、眼下にはハルファスが形成した魔力の要塞と、その最上部に位置する砲台が反撃を続けている。
「..........ハルファス、攻撃中止。結界を強化して」
『はい』
人のパーティーに乱入してケチを付けまくった上に、人の父親を散々ボコってくれた責....
「その命で、償ってもらうから――――雷龍化!」
雷を纏って、私は一気に加速する。
まずは封竜から片付ける。
「水神の名を継ぎ、海神の宝冠を継ぎし我が命じる――――雷神の領域たる雷霆を今高め、神に弓する者どもを打ち据える神罰と成れ! 雷神天霆!! 〈黒王纏雷撃〉! エレキブースト!!」
ただひたすらに雷強化を重ね掛けする。
ほんとは勝手に他の神の属性に手出ししちゃいけないんだけど、今は仕方ない。
それほど.....怒ってるんだよ。
「まず一匹!」
雷龍刀で封竜を突いて吹き飛ばす。
更に加速して、真下にいる封竜に襲い掛かる。
それを殺したらまた次の封竜へ。
見れば、封竜がこちらを向いている。
気付いている、でももう遅い。
「死ねっ!!」
また一匹。直ぐにまた一匹。
一匹、一匹、一匹、一匹、一匹、一匹、一匹!!!
「これで――――終わりだっ!」
私は再び、フォールオースの真上に舞い戻り、雷龍刀を消し去った。
直後、空に無数の白い爆発が巻き起こる。
「クリエイトウェポン、絡繰機弓ガジェット・リカーブボウ! スキルセットチェンジ、セットボウ!」
次は船をやる。
私は右手に機械の弓を呼び出し、スキルセットを変える。
「ブラストアロー、ディヴァインクイヴァー、サージバースト!!!」
歯車が回転し、私の膂力の数百倍の力を蓄積する。
そこに、「神の矢」を装填して引き絞る。
そして手を離した。
「成功、かな」
私が呟いた直後、視線の先の飛空艇が爆発した。
結界を貫通した矢が内部で爆発して、魔導機関を破壊した。
それだけの事だ。
「次」
また矢を番えて放つ。
回避しようと動き始めているけれど、〈弓使い〉のスキルはそんなもので外すほど弱くないよ。
放った一撃は、回避しようとしていた飛空艇を打ち貫く。
爆発、墜ちる船。
「.......ウル、プレアデスを投下。森に落ちた魔族を殺せ」
『了解です』
フォールオースの周囲に作られたバンカーが地面からせり上がって、そこからプレアデス=シヴが無数に飛び出す。
魔族はどうせ身を護って生き残ってるだろうから、プレアデス=シヴに殺してもらえば後が楽だ。
.....卑怯かもしれないけど、私が手を汚したくないと言ったら批判されるだろうか?
私は飛空艇を打ち落としながら、そんな事をふと思った。
「..............リンドなら怒るだろうな」
気付けば、飛空艇は全て墜ちていた。
私はそれを見て、戦闘の終わりを確信した。
あとはあのデカいのを落として、終わらせる!
「天を制する聖なる力よ」
私は左手に神聖陣を浮かべる。
右手を翳し、次の譜を読む。
「この地に満ちる魔を司る力よ」
右手に浮かべた魔法陣と神聖陣を合わせて、そこにぺっ、と唾を吐く。
それらの力が、私の生命力に反応して独自の力へと変わっていく。
神魔力、とでも呼べばいいだろうか。
神にも魔族にも扱えないエネルギーだが、どちらの力も併せ持つ私になら使える。
「天に唾を吐く愚か者に怒り狂え。魔を蔑む愚者に罰を与えたまえ。...その二つの力を以て、天魔を見下ろす超越者に力を与えたまえ」
神様特有の傲慢さと、魔族特有の誇り高さ。
二つの性質を合わせ持つことで、その力は生まれる。
「我流神聖魔術...〈天魔之聖典〉!」
神魔力を扱うためのツールを、私はここに完成させる。
これは私だけの技術じゃない、魔皇ルシファールが完成させようとして、間に合わなかった力。
そして...魔族に対しても大きなアドバンテージを持つ力でもある。
「よし...じゃあ、悪いけど...死んでもらうよ!」
私は聖典を握り潰し、その術式をそのまま作り変える。
クリエイトウェポン...亜種!
「アドベント・ウェポン! 七天破魔剣...セブン・ヘブンズ!」
私の記憶に新しい、あの剣に近い形状の剣が生み出された。
...似てはいるけれど、明確には違う。
あの武器はレベル1500相当の武器で、今の私には扱えない。
だからこれはあくまで、伝説の模倣に過ぎない。
「おっと」
その時、円盤上の要塞がこちらに向けて魔導砲撃を連発してきた。
「...バンク中を狙うなんて卑怯な!」
いいもんね。
そこまで死にたいなら、纏めて吹き飛ばしてやる。
「超位神聖魔術! 〈神之名於終ノ宣刻〉!」
セブン・ヘブンズを媒体に発動したそれは、私の背後...というよりはフォールオースの背後に超巨大な魔法陣型の時計を生み出した。
その針が、少しずつ終わりへ向かって動き出す。
魔族達は躍起になってそれを攻撃しているけれど、無駄だ。
古代魔族の兵器、そんなものが本物の神の力に対して効くわけがない。
「...神の名において発動された、最後通牒の刻は終わりを告げた。この私に赦しを請わなかった愚か者共に、死を!」
詠唱だからしょうがないんだけど、長い上にやたら偉そうだから嫌だ。
あんまり優しくすると神聖力の方が反発するし。
「ハァアアア...」
私が掲げたセブン・ヘブンズに、時計から一気に神魔力が集まってくる。
私とセブン・ヘブンズに幾何学模様が下から上に向けて走るのが見えた。
「クリムゾン...スラスト!」
私は全力を込めて、剣をブン投げた。
それは真っ直ぐに要塞へと飛んでいって...
凄まじい極光を顕現させるのであった。
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