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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都決戦編

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Ep-709 破られた誓い

「ユカリ!?」


メイドを殺した後、真っ先に駆け出していくユカリ。

それをリュートは目で追ったが、すぐに事態が動き出す。

自分を取り囲んでいた令嬢たちが、一斉に抱きついてきたのだ。


「きゃあっ、怖いですわ!」

「助けてくださいまし、アルバン伯爵!」


彼女たちは必死な目でリュートを見るが、目に光がない。

操られているのかと、リュートは察する。

だが、振り払うことはできない。

ここは衆人環視だ。


「令嬢方! ここは俺が守る、俺の周囲に集まれ!」


リュートはわざと声を大きくし、なるべく多くの令嬢を自分の元に集める。

その影響で、ジェラルディンの周囲にいた令嬢は一斉に離れていく。


「ジェラルディン、皆を守れ!」

「ああ!」


ジェラルディンが叫ぶと同時に、会場の扉を破って白い髪の獣人が何人も現れた。

幻獣だ。

剣を抜くジェラルディンと、宝具を展開するコル。

会場にいた護衛数人が剣を抜くが、リュートは叫ぶ。


「よせ、逃げろ! 敵う相手ではない!」

「しかし...」

「避難を誘導しろ!」

「はっ!」


護衛らは貴族たちの避難誘導を開始した。

ブラックルーンドラゴンとグゥグゥガがそれを支援し、獣人の攻撃から貴族らを守る。


「さて、幻獣ども...」

「よくもユカリ様のパーティーを! 許さない!」


コルがその手に狐火を浮かべ、投げた。

幻獣たちはそれを回避し、狐火は壁に激突して破裂した。


「じゃ、俺もいっちょやるか...」


ジェラルディンは腕に嵌めていた腕輪に指を添えた。

彼の魔力に反応し、腕輪は魔剣へと変わった。


「ファナ....いや、レイジオブハート!」


ジェラルディンの心臓の辺りから、赤黒い光が噴き出す、

それと同時に、ジェラルディンの背後に幻獣が回り込んだ。


「邪魔だっ!!」

「ぎぃぃっ!?」


ジェラルディンはそのまま反転して剣を振るった。

本来ジェラルディンの実力では斬れない相手だが、魔剣の魔力が幻獣の衣服と薄肌を切り裂いた。

その横では、コルが宝具を受け止められて焦っていた。

コルの相手はフェンリル、少し分の悪い戦いだった。


「くっ...!」

「蒼炎瀑槍!」

「...流動行脚!」


フェンリルの放った青い槍を、コルは武術を使ってかわした。

そしてそのままフェンリルの背後へと回り込み、肘鉄をその背に食らわせた後蹴りを放った。


「っ、やるな」

「道具頼りではダメだと、知ったからだ!」


殴打のみのコルには決定打が無いが、ダメージが入っていない様子では無い。

それ故に、コルは踏み出す。


「狐火っ!」


その手に浮かべた火球を、高速回転させて...


「無駄だ」

「そうか?」


コルは火球を握り潰して腕に纏い、そのままフェンリルを攻撃した。

凄まじい爆発が巻き起こり、フェンリルは致命傷を負った様子でコルを見た。

身長の半分以上ある巨大な拳鍔を両腕に、コルはフェンリルを睨み付けていた。







私がお父さんのところに向かうと、そこでは折れた刀を手にしたお父さんが幻獣と向かい合っていた。

でも、私の知っている幻獣じゃ無い。


「誰だ! ...ユカリか、ここは俺に任せて」

「任せられるわけない!」


私は黒龍刀を抜いて、お父さんと幻獣の前に立ちはだかった。


「ウフフ、親子の絆。泣けるわぁ」

「お前は...?」


お父さんにはもう戦わせない、そんな誓いはあっさり破られた。

それが出来る存在、こいつは一体何なんだろう。


「私は幻獣騎士団、ネメア...まあ、冥土の土産に覚えておきなさい、数多の同胞の仇、ユカリ・アキヅキ・フォール!」

「ああ、そうだね...私も忘れないよ、お父さんを傷つけたお前を...!」


黒龍刀から、憎悪が混じった悪意が流れてくる。

だけど私はそれを、神気で押さえつける。


「ユカリ、ダメだ! お前の敵う相手では無い」

「...お父さんは、強くなった私を一度しか見てない。だから、今度は私が見せる番だね」


私はもう立派に自立して、お父さんを心配させない娘になったんだ。

それを証明するべく、私は刀を仕舞う。


「武器なしで戦う気? それとも余裕かしら」

「そのどちらとも違うかな」


私はその手に、バルムンクを呼び出した。


「これは、見栄だよ! 空遷・天月!」


月夜を舞うように、私はメチャクチャになった会場を飛び回り、確実にネメアとの距離を詰めた。

そして、その隙を見抜く。


「取った!」

「いいえ、誘いよ」

「その誘い、お断りだね!」


私はお父さんとしか踊りたく無いから!

バルムンクが因果を捻じ曲げ、ネメアの肩を切り裂く。


「...な、何故!!」

「さあね、私にもよく分からないから」


脳内で解説を入れる気も起きない。

それほどに。

怒っているんだよ、幻獣。


「だけれど...残念ね、私に物理攻撃は効かないのよ」

「!?」


お父さんが負けた理由がわかった。

こいつは、物理的な衝撃を完全に無効化している。

さっきの攻撃は魔力をほとんど含まない斬撃だったから、弾かれたらしい。


「そこのつまらない男と違って面白いじゃない、ユカリ」

「お父さんを...バカにするなっ!」


私は速度を維持したまま、ネメアに迫る。

だけれど、魔力を帯びた斬撃は彼女に届かない。

もともと見切られていたのかもしれない。


「(どうしよう...)」


お父さんの手前、魔王の力は使えない。

魔族と同じ波長を感じ取られたら面倒だ。

私一人では、使える魔力なんてたいしたことがない上、杖を呼び出す時間がないので魔法攻撃が出来ない。

仕方ない、


「我が元に...くっ!」


ダメだ。

魔皇の杖を呼び出そうとしたが、武器の精霊がそれを拒否した。

なんでもいいから魔杖があれば、魔法が使えるのに...いや、そもそも。

魔法である必要、ないか。


「アルビオン・スラスト!」


私はインベントリに入れてあった海聖水を撒き散らす。

そして、海神の力でそれを無数の弾に変えて飛ばした。


「ユカリ...その力は?」

「ちょっと神様継いだだけ! 後で話すから!」


私は叫びつつ、ネメアがアルビオン・スラストを回避するのを見た。

これなら、行ける。

私はそう踏んで、前へと跳躍するのであった。

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