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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都決戦編

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Ep-706 準備完了!

数日後。

私はペリエール洋服店を訪れていた。


「もうすっかり完成よ!」

「そ、そうですか」


服の入った箱を受け取り、頑張って稼いだ代金を支払う。


「一応、コンセプトを聞いておこうかな?」

「前回が黒だったでしょう? だから、今度は思い切って白にしてみたの」

「それって、ウェディングドレスじゃなくて?」

「あら、ウェディングドレスに決まった色や形はないわよ? 結婚するときに着ていれば、それがウェディングドレスになるもの」


それは初耳だった.....

確かに私は黒髪だから、黒でまとめるのも白でまとめるのも映えるはずだ。


「ただ、飲み食いは厳禁よ!」

「分かってますよ」

「汚れがすごく目立つから、転んだりもしないようにね」

「はい」


まあ、飲み食いする暇もないだろう。

多分、あちこちから引っ張りだこだろうし。


「それと、あなた.....これもお願いするわ」

「これは?」


箱を二つ受け取った。

それぞれ、「アルバン伯爵宛」、「チェスター子爵宛」と荷札が付いている。


「弟子の習作だから、代金は気にしなくていいわ。あなたのお友達のお洋服よ」

「ありがとう」

「ええ、前も注文してくれたから、そのお礼よ」


私は荷物を全てインベントリに入れた。

それを見たペリエールは、溜息をついた。


「冒険者って凄いわよねぇ、そういうのが使えて」

「? 魔法鞄があるじゃないですか?」

「高いのよ。燃費も悪いし、普段使いする物じゃないわ」


それを聞いて、私はペリエールにいつか高性能な鞄をプレゼントしてあげようと思うのだった。


「用事は済んだか?」

「リュート、ずっと待ってたの?」

「当然だ、この後も準備があるからな」

「だよね....」


パーティーまであと二日しかない。

馬車に乗り込み、街を行く。

閉めたカーテンをめくって見ると、見慣れないメイドや使用人の制服を着た人たちが、それぞれの荷物を抱えて街を行き交っていた。


「とにかくトラブルが多いみたいね」

「ああ、貴族の使用人の中には、虎の威を借りる狐もいるからな」


他にも、敵対する貴族同士の決闘騒ぎとか、面倒臭い問題が沢山起こっている。

貴族は選んだつもりだけど、流石に選別しきれなかったのが混じっている。


「まあ、パーティーで問題を起こすようなら....ね」

「ああ、ジェラルディンに殴り殺してもらおうじゃないか」


私たちは馬車に乗り、家へと戻る。

家へと戻ると、そこは既に戦場だった。


「追加要員の教育中かな?」

「そのようだ」


メイドや料理人も、兵士のようなものだ。

料理長、侍従長を指揮官として動く兵士だ、だから、指揮系統を確立するために訓練が必須なんだとか。


「このまま行こう」

「ああ」


私とリュートは、一緒に三階へと赴くのだった。







ついに、リストにある貴族たちが全員フォールオースへと到着した。

私たちは、彼らの泊まっている宿を調べ上げて、そこに当日の案内を送付する。


「大変だな、ユカリ」

「ジェラルディン.....気楽そうだね」

「実際気楽だからな。俺はそれが取り柄だっ」

「誇るな!」


ペンの頭を、背後にいるジェラルディンの脇腹に突き刺す。


「ぐはっ!?」

「ジェラルディン、もっと防御系を鍛えて」

「分かったよ!」


ジェラルディンはリュートを追い抜き、ぐんぐん成長している。

これまでどうして成長しなかったのかと思うくらいだ。

正直なところ、今回のパーティーで何かあったとしてもジェラルディンならなんとか出来ると思う。

だから、


「ジェラルディン、魔剣を預けるよ」

「んおっ!? どういう風の吹き回しだよ」

「パーティーでは帯剣できないでしょ? 何かあった時のためだよ」


私はジェラルディンに、ゼパルから預かっていた魔剣を預けた。

これで彼の持つ魔剣は三本、ルシファー達の時代でいう、見習い魔剣士くらいの所持数だ。


「...ちなみに、ジェラルディン。」

「あ、ああ」

「お父さんが用意してくれたパーティーだから。粗相をしたら、生まれてきたことを後悔させてあげるよ」


ジェラルディンが息を呑むのが聞こえた。

まあ、ジェラルディンは変なところはまともだから、一応信用はしてるけどね。


「じゃ、リュートにお茶でも持って行ってあげて」

「あいよ」


ジェラルディンは頭をかきつつ、去っていく。

リュートは、関係ないはずの私に結構協力してくれる。

愛人は作るつもりはないって知ってるはずなのに、どうして頑張るんだろうか?

友人の持ちつ持たれつの関係をすでに超えている気がするし。


「まっ、いいか」


疲れている時ほど変な事を考えてしまう。

私は呼び鈴を鳴らしてコルを呼び、お茶と適当なお茶請けを依頼した。

糖分でも取ってゆっくりしよう。


「あれ....?」


.....と思ったのだが、お茶とお菓子を持って入ってきたのはコルではなかった。

ヒショーだ。

執事風の服装だが、今回のパーティーのダンジョン枠で参加している。

確か、ブラックルーンドラゴン(猫)とグゥグゥガ・ブォーフォーオンの共同参加で、グゥグゥガはパーティー当日のために人化を習得してきたそうだ。

不安だ.....凄く不安な面子だ....


「ユカリ様、お話がございます」

「座って」

「はっ」


ヒショーは執事を気取っているわけではなく、本当に私を当主とみるような振る舞いをしている。

だからこそ、こういう時の彼の行動から、何かが起こっているのだと察する事が出来た。

使用人は、主が求めていない時は視界に入らないものだ。

だからこそ、ヒショーは私の傍にいる事は殆どない。

加えて、彼の声色は明らかに厳しかった。

これは、パーティーなどという雑事についての話題ではない、と。


「敵が動き出しました」

「! どこに?」

「分かりません、現在探知中ですが、何らかの符牒を用いた暗号化魔法通信が高頻度に行われています」

「分かった、警戒レベルを引き上げて。多分、このタイミングを狙っていたんだと思う」


貴族が集まり、パーティーが開かれる。

なんだ、素晴らしいタイミングじゃん。

私の権威を失墜させるなら、このタイミングしかない。


「それから、オーディンとゼパル、ヘビーブロー、ウル、シュキを呼んで。G・O・Sには待機命令を」

「はっ、直ちに」


ヒショーの姿が消える。

多分だけど、アビスに召喚されたのだろう。

転移よりずっと便利な移動手段だ。


「来るなら正面から来ればいいのに」


変な搦め手に逃げるから、こうやって潰される。

真正面から来る心が、幻獣たちには無いようだ。

そんなもの、とっくにわかってはいたけれどね。


「パーティーホストとして、わざわざ来てくれた皆には楽しんでもらわないと」


私は誰もいなくなった部屋で拳を握り締め、紅茶を飲んだ。

それはちょっと冷めていた。


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