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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都決戦編

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Ep-666 神殺し

「契約者、その武器は.......」

「フェイルノート。ミスティルティンの上位互換だね」


私はフェイルノートを構える。

ミスティルティンが神に特攻だとすれば、フェイルノートは”神の敵”にのみダメージを与えることのできる武器だ。

勿論、私が心の底から敵と思わない限りは効果を発揮せず、ただの弓と同じなので、ミスティルティンが使えない武器という訳ではない。


――――フン、神をも殺すか。やれるものなら、やってみるがいい!


直後、海神が巨大化する。

異空間に溜めていた海水を使っているようだ。


「せっかく大きくなったところ悪いけれど、行くよ!!」


弓を引き絞り、放つ。

光の矢が勝手につがえられて、飛んだ矢は海神の胴体の一部を吹き飛ばす。


――――その程度か、直ぐに再生して......何!?


大穴が開いた部分は修復しない。


「海神、お前が皆にしてきたことの償いをしてもらうよ!」


生贄を捧げるしかなかった海の民たち。

喜んで身を捧げた巫女たち。

そして、ハルファスから聞いた、上位神達の過去の過ち。

自分勝手で傲慢な彼らを、私利私欲、好奇心を満たすために魔族を虐げた彼らを。


「絶対に許すわけにはいかない! 〈光翼(アーラ・)輝片(フラックス・)投射(バースト)〉!!」


翼が輝きを放ち、砕け散る。

そして、無数の破片が海神に襲い掛かる。

海神は上に向けて逃げるものの、破片は螺旋を描くように海神に追い縋る。

逃げ場を制限した上で、私はもう一度矢を放つ。


――――貴様....!


ミスティルティンやフェイルノートにも言えるけど、これらは〈武器使い〉の補正が乗らないので、私の素の腕前が問われる。

海神は複雑な軌道を描きつつ、私に肉薄する。


「戻れ!」


直後、翼の破片が戻って来て、私の周囲を覆って結界を構築した。

そして、海神が目の前まで迫ってきた。


――――噛み砕いてやろう


「やれるものなら....!」


その顎が私を覆い隠すように開かれるけれど、牙は結界を破れずに止まる。


「これで、トドメだ!」


引き絞った矢を、私は海神の口内に向けて放った。


――――チィッ!!


海神は咄嗟に回避して、鼻先だけが消し飛んだ。


「ッ!」


連射ができないのが一番つらい。

威力は高いんだけど、引き絞らないと矢が装填されないのだ。

つまり、連続で放とうとすると矢が撃てない。


「空転・後爆!」


背後で爆発を引き起こし、前方に向かって吹き飛ぶ。

そして、ゼロ距離で海神に矢を放つ。


「ポイントアロー!」


――――チィ!


「外したっ!?」


スキル効果の影響を受けないんだ。

やっぱりミスティルティンの方が使いやすいかも.....

そう思った瞬間、腰に差した魔皇剣の底で、ミスティルティンの精霊が笑ったような気がした。


「でも、神特攻だしな...」


すると、魔皇剣がガタガタ震えだす。


「あーもう、仕方ないなぁ」


私は魔皇剣からミスティルティンを出す。

それを、水神に渡す。


「契約者、これは....? 随分禍々しい雰囲気ですが」

「それで援護して!」

「....はい!」


水神は分身や他の神より深い縁で繋がっているから、魔皇の武器が使える。

ちょっと言い過ぎちゃったので、水神にも頑張ってもらおう。


「行くよ!」

「は、はい」


――――ならば!


直後、私たちの真横をブレスが通り過ぎて行った。

どこに....?


「...まずい! 水神!」

「ええ!」


翼を広げ、私たちはブレスを追い越すように翔ぶ。

そして、実際にブレスを追い越した。


「合体技で行こう!」

「わ、わかりました!」


「「双手泡壁(そうしゅほうへき)!!」」


私と水神で手を取り合い、泡の壁を張ってブレスを防ぐ。


――――矮小なる者どもがあああああああああああっ!!!


「くっ.....!」



ブレスの勢いが増す。

海神は本気だ、やらなきゃやられる。


「水神、ありったけの聖力をあげる! 一人で守って!」

「あ、あなたは?」

「海神を殺す!」


フェイルノートを前に構え、水神の頭上へ跳び上がる。


「水神、みんなの”希望”を感じるよ!」

「それが神となるという事です! 人々の望み、希望、そして....願いを受け止めるという事です!」


鏃に神聖力をかき集める。

でも、それだけじゃない。


「し、信仰力?」


脳裏に、聞きなれない単語が浮かぶ。


「水神、信仰力って何!?」

「今は時間がっ......とりあえず全部使ってくださって構いません!」

「わかった!」


私はありったけの信仰力を鏃に込める。

更に、神聖陣と魔法陣を射線に重ねる。

スキルや魔術の効果が無いとしても、やれることはやる。


「け、契約者! もう、限界です.....!」

「わかった!」


弓を持つ手に震えが走る。


「ずっとやって来た事だ.....!」


幻獣にだって命があった。

仲間を傷つける奴は......


「――――倒すっ!!」


手を離した。

限界まで高まった力が、矢と共に私の身体から抜けていく。

矢は魔法陣と神聖陣を通って加速し。一直線に海神へと向かっていく。


――――そのような大ぶりな攻撃が....


「.......ッ!」


拳を握り締め、突き上げる。

すると、飛んでいった矢が光へと変わり、海神を包み込む。


「死ねッ!!」


怒りの全てをぶつけるように、矢の形状を変化させる。

海神を取り囲むように。


――――待て、やめるがいい.....これまでの非礼は


もう聞く価値もない。

私は弦を静かに弾く。


――グガッ、グガアアアアア!!


海神の身体の全てを、フェイルノートの矢が貫き、消滅させていく。

最後まで傲慢の限りを尽くした海神は、その命を終えたのだ。


「海神.......」


海神を倒したと同時に、私の中に声が響いた。


――――貴様に、永遠の呪いと祝福を

〈スキル熟練度が一定に達しました〉

〈スキル:竜殺しがレベル3に上昇〉

〈スキル:神殺しを獲得〉

〈スキル:海神の卵を獲得〉


海神の座を奪ったことで、海神の記憶が私に流れ込んでくる。

彼も孤独だったんだろう。

でも、だからといって同情はしない。


「本当に、呪いだね....」


ステータス的に見れば、祝福だ。

でも、この記憶と、新たな力....それはきっと、呪いだった。





















〈竜殺し:Lv3〉竜に対するダメージが増加

新スキル:〈竜鱗装甲:Lv1〉

〈神殺し:Lv1〉神に対して特攻を獲得

新スキル:〈神殺付与:Lv--〉

〈海神の卵:Lv--〉???

?????

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