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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都決戦編

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Ep-664 前線防衛

その頃、セステラロッカーネでは。

数を増し続ける魔物に、戦線は街の中へと押し込まれていた。


「くっ、なんなんだ! ずるいだろうが!」


冒険者の一人が、槍でクラーケンの触手を弾き飛ばして叫ぶ。

クラーケンは浮遊する水球の中から、冒険者を攻撃してくる。

水球は本来魔物が持っている力ではないもので、中に入った人間は逃れられなくなってしまう。

槍も勢いを失ってしまうため、その冒険者は苦戦を強いられていた。


「やべ...」


その時、冒険者は咄嗟に気付いて回避する。

背後から触手が迫っていた。

スキュラのものだ。


「ちっくしょお!」


冒険者は死を覚悟する。

Cランク冒険者がパーティ単位で挑む相手二体に囲まれているのだ。


「誰か助けてくれよ!」

「では、遠慮なく」


冒険者が叫んだ時、その場に声が響く。

雷弾がスキュラを一瞬で黒焦げにし、地面から生えた柱がクラーケンの顔のあたりを串刺しにして止めた。


「助かる!」

「ええ、それから...人間、あなたは彼方の方へ。サハギンが多く、騎士団が突破されそうです。槍は喜ばれるでしょう」

「わかった!」


魔術を放った魔族...つまりハルファスは、轟雷砲を海の方へ向ける。

そこから大型の巨人が現れ、その歪んだ腕に掴んだ石を、ハルファスに向かって投げる。


「愚かな」


ハルファスの権能により、高速で小さな塔が建造される。

その上にハルファスは乗り、轟雷砲で巨人を撃つ。

だが、巨人はそれを耐え、襲ってくる。


「海坊主ですか...手強いですね」


ハルファスは次の魔術の魔法陣を構築し、放つ。


「〈氷礫(グレイス)剣雨(ソードレイン)〉」


海から上がってきた他の魔物をも巻き込み、氷の剣が降り注ぐ。

だが、氷の剣といえどもとどめにはならない。

次の魔術の繋ぎとしての意義しか持たないのだ。


「〈侵瑕(ウーンズ・)疵魔爆(エクスプロード)〉」


ハルファスが放った魔術により、魔物達の傷口が爆発する。

先ほど氷の剣をぶつけた際に、自分の魔力を傷口から侵入させていたのだ。


「あなたには可哀想ですが...〈万物創築(デミウルゲイン)〉」


ハルファスは魔術で大振りな鎌を作り出し、それで瀕死の海坊主の頭を刎ねた。

彼に建てられない建造物がほとんど無いのと同じで、彼が作ることのできる武器は魔法の武器以外の全てであった。


「〈万物創築(デミウルゲイン)〉!」


この魔術はハルファスの使える魔術の中でも低位に当たり、あまり大きなものは作れない。

しかし、ハルファスにはハルファスしか出来ないこともある。


「〈迅築戦塔(ビルドタレット)〉!」


ハルファスの周囲に複数の柱が構築される。

その柱は、赤、緑、青、黄の四つの色の素材でそれぞれ構成されていた。


「〈戦闘塔(オフェンスタレット)〉、〈進軍(フォワード)〉!」


二つの赤い柱が消え、海中に出現した後に水柱が立つ。

赤い塔からの魔法砲撃が魔物に直撃しているのだ。


「ゴアアアアアアア!!」


「〈防衛塔(ディフェンスタレット)〉、〈防衛(プロテクション)〉!」


海から飛び出したのは、ケルピー。

馬のようなその体躯を生かし、ハルファスに襲い掛かるものの、緑の柱が展開した結界に阻まれる。


「〈回復塔(メディックタレット)〉、〈援護塔(サポートタレット)、〈進軍(フォワード)〉〉!」


ハルファスの周囲に残っていた黄色と緑の柱が消え、遠くで戦っている冒険者の一段の周囲に現れる。


「頑張ってくださいね、貴方達にも見せ場を持たせるべきでしょうから」


緑の柱が冒険者たちを緑の光で包み込み、その傷を癒していく。

黄色の柱は敵に光を纏わせ、その動きを阻害する。

冒険者たちは一斉にサハギンの集団に吶喊し、動きの止まったサハギンらを倒していくのだった。







「ハァアアア!」


私は音速を超えて飛翔し、海神のブレスを回避する。

ブレスが海面を薙ぎ、水柱が膨れ上がる。

海神の身体はあの後すぐに再生したけれど、治りがだんだん遅くなっている。

急速再生は、連発できない。


「それがわかれば、十分!」


オーグマクロックを使い、そこに三つの多重魔法陣を組み込んで動作させる。

蒼い火花を散らしながら、魔術が完成する。


三重(トリプレット・)大規模戦闘用魔術(レイドマジックスペル)、〈ドラゴニックエッジ〉!」


三つの大規模戦闘用魔術が放たれ、同時にオーグマクロックが弾け飛ぶ。

竜のような形の巨槍が三本現れ、それが海神に向かって飛ぶ。


――――――愚者よ、潰えよ!


海神も負けじと、密度の高い大波を巻き起こして対抗する。

良い加減にして欲しくなる。


「謝りもしないくせに、人を愚かと断じるんだね!」


オーグマクロックが海中から出現する。

さっき隠しておいたやつだ。


「〈重力(グラビリオン)圧角(・キューブ)〉」


生まれ出た黒い正方形を、私は波にぶつける。

全ての面が引力で水を引き寄せ、波は瞬時に消し飛ぶ。


――――馬鹿な!


「喰らえ...!」


波を突破した三本の槍が、真っ直ぐ海神に突き刺さる。

そのうち一本が、頭に直撃した。

けれど、その一撃は海神が槍を咥えて止めたことで無力化される。


「......」


――――――まさかっ


指を鳴らした直後、槍が海神の至近距離で大爆発を起こした。

海神の頭が吹き飛ぶ。

そして、頭を失った身体が海へと落ちて水柱を上げた。


「...やった!」


ガッツポーズをしようとして、私は動きを止める。

直後、ブレスが海中から飛んでくるのに気づいて、私はそれを魔皇剣で弾き飛ばした。


「〈万軍界滅〉!」


――――死ね!


私の一閃を回避して、海神が海中から襲いかかる。

再生途中の口が開いて、私に噛みつこうと海中から飛び出した。


「〈聖炎烽火(ホーリービーコン)〉!」


攻撃に見せかけて、海神に追跡のための魔力を付与する。

そして、魔皇剣を炎属性に切り替えた。

剣が私に使えと言ってくる、力強い魔術を放つ。


「〈真炎解放〉!」


まずは、前提として炎の力を目覚めさせる。

プロメテウスに最適化される前の魔術が残っていたため、私にも使えるのだ。


「〈金炎災禍〉ッ!」


そして次に、並列で構築していた魔法陣を発動させて魔術を放つ。

海神につけた印を追って、炎の渦が海神を包み込む。


「はああああっ!」


そのまま翼を広げて、一気に加速。

炎の渦を突っ切って、魔皇剣で刺突を放つ。


「〈金炎刺突〉!」


――――馬鹿め!


「くっ!」


炎を纏った刺突は、硬い牙に阻まれる。

なんとか剣を抜こうとしていると、背後から何かに殴られた。


「がっ...!」


予想していない衝撃に、肺の空気が口から吐き出される。

なんとか剣を抜いて抜け出すが、続けて放たれたブレスまでは回避できなかった。


「ぐっ、うう...」


一瞬だけ〈金炎防御〉で防げたが、貫通されて左腕が消し飛んだ。

すぐに〈慈愛の癒光〉で治癒する。


「収束燐光!」


翼を輝かせ、震わせる。

落ちた羽根が光に変わり、伸ばした手の先に集う。

私はそれを、海神のブレスに正面からぶつけて弾き飛ばした。


「まったく...どうやったら倒せるんだろうね...」


いまだ疲弊する様子を見せない海神に、私は打開策を考え続けるのであった。

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