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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都決戦編

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Ep-662 暴虐の海神

――――何者か


「......私はユカリ・A・フォール、こちらは」

「海神様、お初にお目におかかりします。私は」


――――水神か。代替わりしたのだな


どうやら、話は通じそうだ。

私は海神に交渉を試みる。


「海神様、お話したいことがあります」


――――何だ? 海神の巫女よ


「どうか、お怒りをお鎮めください。地上の民を襲うのをおやめください」


――――貴様が生贄となるのであれば、怒りなど


「生贄とは、どのようなものなのですか?」


――――我のもとに仕えよ。地上の話を聞かせよ


「......地上に帰ることはできますか?」


――――駄目だ。人間共は欲深い。特にお前のような美女が我の従者だと知れれば、襲われるかもしれん


美女ねぇ。

海神の基準が結構壊れてる気がするけれど、束縛系はちょっと....


「では、今までの生贄は?」


――――全員、我に仕えその生涯を終えた。見よ、この墓標を


海神の視線が、都市の外部に位置する碑石らしきモノに移る。

私が死んだらあれに入るわけね。


「私には婚約者がいるのですが.....」


――――では、その人間の住まう国ごと海に呑み込めばよい


「あなたが地上に出ることはできないのですか?」


直後。

凄まじい殺気が都市全体を埋め尽くす。


――――貴様、800年前の恐ろしき歴史をもう忘却したか!? 人間というのはこれだから....


「知っています、しかし、何故身をお隠しになられているのですか?」


そういえば、神々が言っていた。

上位神は800年前に起きた何かの事件でほとんどが死んだけれど、生き残った者もいた。

しかし、その神々も次々と姿を消し、人間の時代が始まったと。


――――上位神共は殺された。忌々しき魔王ではない、全く別の強者に! 我が身を隠すのはそれが理由だ


「あなたも狙われたのですか?」


――――否、我が友が危機を伝え、我は海の底に身を隠した。海の民どもは、我の棲み処を隠す礎となってくれた。人間にしては中々やると思っているぞ


「......そうですか、では....」


話が無駄らしいので、私は帰ることにする。

だが、帰る前に出口の扉が閉じる。


――――逃げることは許さぬ


「.......」


振り返れば、海神が廃墟より起き上がっていた。


「帰る家がある者を、閉じ込めるのですか?」


――――生贄となった時点で、お前に帰る場所などない


正論かぁ。


「ならば、戦うほかありませんね」

「契約者、不可能です」


うん、分かってる。

海神はヤバイ。

今まで出会ったどんな敵より、それこそ幻獣よりも恐ろしい気配を、エネルギーを感じる。

四氣相克の力が、まるで象を前にした蟻のようだ。


「私にはやるべきことがあるので、ここで死んでもらいます」


――――人間ごときが、死ね!


直後、周囲の水が鉾となり、私に襲い掛かる。

だが、鉾は何かに抵抗を受けるようにして、その鋭さは失われる。


「水神....?」

「契約者、貴女の選択を尊重します」


――――貴様、代を変えてもその愚かさは健在か


「....あなたに言わなかったことが一つあります、契約者」

「なに?」


水神は微笑むと言った。


「精霊は記憶を継承します。私はあなたを知っているのですよ、ルシファー」

「......!」

「魔族を守るため、全てを懸けて戦ったあなたの選択は、精霊如きである私よりも重い物。最後までついていきましょう」


この人....いや、神は。

同族を、人間を殺して回ったルシファーに憎しみはないのか。

そう考えた私を察してか、水神は笑みを消して言った。


「人間は愚かでした。彼らに魔族から奪うよう命じたのは、我々神々なのですから。あなたの行為は正当防衛です」

「そういう言葉で罪を塗り替えるのは違うけど」


私は魔皇剣を抜く。

それに、海神が反応する。


――――その剣は....貴様、大魔王か!


「〈替智魔術時針(オーグマクロック)〉!」


私の真横にオーグマクロックが出現する。

それに6つの魔術を並列登録する。


――――ルシファー、ルシファァアア! 滅ぶべき魔族共が! 魔神に魂を売った愚か者共め! 悉く死ね、死ねぇ!!


「流水盾オハン!」


海神の口腔に閃光が宿る。

そして、光の奔流が吹き荒れる。

盾で防ぐが、重い。

オハンに宿る精霊が、悲鳴を上げている。


「空転・跳躍!!」


盾が砕ける前に離脱して、武器をミスティルティンへと変更する。

これを使いたくはなかったけれど、勝負は一撃必殺で終わらせるべきだ。

弓を引き絞り、矢を放つ。

矢は水をものともせずに飛び、海神の胴体を吹き飛ばした。


「.....やった!」


――――その武器は効かぬよ


直後、海神の身体が水と化す。

水神と同じだ。

海水がその身体となり、即座に再生する。


――――神を殺す。そのために作られた弓か、しかし....同じ手は二度と喰らわぬ


「.......!」


一度戦ったことがある?

それなら、手の内は殆ど見せているようなものだ。

どうする、どうすれば...?


「...こういう時はまず、バフ!」


最高戦力で勝てないと踏んだら、底上げから始める。

一通り終わったあと、私はオハンを魔皇剣へ戻す。


「〈次元(ディメンジョン・)レンド〉!!」


そして、一直線に振るった。

しかし、次元を切り裂いても海神の身体には傷一つつけられない。

まず海水をなんとかしないと。


「プロメテウス!」


私は炎魔法を使いながら魔皇剣に触れ、その属性を変化させる。


「〈蒸発(ヴェパー・)起点(ポイント)〉!」


海神の周囲の海水を蒸発させ、そこに斬り込む。

魔皇剣をバルムンクへと変化させ、因果を切り裂く一閃にて海神の体を切断する。

いや、しようとした。


「き、斬れない...!」


――――――因果を捻じ曲げるか。して、上位の神に通じると思うか?


バルムンクの刃が通らず、私は後退を余儀なくされた。

そうだ。

相手は上位神、因果を操る存在にこの剣で対抗するには、それを上回るしかない。

魔神の分身だったルシファーと違い、私ではこの剣で上位神に勝つことはできない。


――――膝を折れ、絶望せよ


「くっ!」


急に周囲の水が重くなる。

慌てて空転・雷動で離脱するが、すぐにまた周囲の水が私を押し潰そうとしてくる。


「契約者...っ!」

「ありがとう、水神!」


水神が周囲の干渉を断ち切った瞬間に、私は急いで離脱する。

だが、そのせいで隙を作ってしまう。


――――――絶望の只中で死んで行け!


膨大なエネルギーが、海神の口腔に集う。

私は慌てて飛び退く。

そこに、一直線に飛んだブレスが突き刺さり、白熱化した地面が水と接触して爆発を起こす。


「――っ!?」


吹き飛んだ私は、一瞬意識を失った。

次に目を開けた時、既に目の前にブレスが迫っていた。

オハンは間に合わない、間に合ったとして盾が砕ける。


「...契約者!」


直後。

私の前に影が躍り出る。

水神が両手を突き出して、ブレスを正面から防いだ。

ダメ。

あなたでは防げない、逃げて。

そう言葉を紡ぐ前に、全ては完結した。


「がっ......」


私の目の前で。

ブレスを防ぎきれなかった水神が。

胸を貫かれ――――その姿が、ぼやけて...


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