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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都決戦編

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Ep-654 幻想の終わる時

後で再度更新します。


「はぁ、やっと着いた.......」


私たちは計三千段の階段を上り、最上階へとたどり着いた。

サラっと言ったけれど、普通に二日くらい掛かっている。


「.......どういう技術なの、これ」


そして私たちの前には、どう見てもガラスにしか見えないドームがあった。

その下に、台座と例の装置がある。

重要なのは、上のガラスドームっぽい場所。

上から見たときは、透明になっている部分なんてなかったはずだ。


「契約者、恐らくは外からは石壁にしか見えない鉱石で作っているのでしょう」


といっても、そんな鉱物なんて聞いたこともない。

岩神も多分知らないから、古代の希少鉱物かなにかだと思う。


「この部屋には、文字が一切ないね」

「そのようですね」


周囲を取り囲む壁はなく、吹き抜けになっているのだ。

海風が入り込んでくるのだが.....


「なんで塔の内部の空気が循環してないの? そもそもあそこは壁だし....」

「契約者、深く考えてはいけません」

「....だよね」


今はまず、ここに来た目的を終わらせなければならない。

私は中央の台座に、あの時回収した宝玉を載せた。


「.......!」


そして。

それは起こった。

塔全体に蓄えられた聖力が装置へと向かい、装置が空へと光を放った。

直後。

吹き抜けから見えていた霧が、一斉に晴れた。


「幻想海域が.....!」


そのおかげで、遠くに停泊しているキールたちの船が見えた。

そして、周囲の吹き抜けから、七つの神殿が放つ光の柱が、こちらに向かって傾くのが見えた。

七つの光が、見上げた塔の直上で集まり、こっちに向かって落ちてくる。


「......っ!」


慌てて身構えたが、光は私ではなく宝玉へと集った。

直後、塔が激しく振動し始める。

私の周囲に、無数の古代文字が浮かぶ。

そして、装置から出ていた光が一瞬止まり、私に向かって放たれる。


「うわっ!?」

「契約者!?」


特にパワーアップとか、そういう事はなかったが.....

右手の甲に、謎の紋章が現れた。


「.....契約者、塔が!」

「うん!」


役目を終え、塔は再び海底へと沈んでいく。


「〈魔皇之翼(エール)〉!」


私は翼を広げ、空へ舞い上がる。

.....ところでこれ、ただの聖女だったらどうする気だったんだろう。

水神が受け止めてくれるのかな。


「契約者、柱が!」

「えっ?」


七つの神殿から上がっていた光が消失している。

だが、霧が元に戻ることはなかった。

幻想海域は、完全に消失したのである。


「契約者、これからどうするのですか?」

「....皆に伝えてくる、今日の所はいったん帰ろう」

「わかりました」


海神の場所は、強化された宝玉が教えてくれる。

私は帰還する事を決め、海へと降りるのであった。







「それで、海神の神殿の位置はわかったのですか?」

「ええ」


翌日。

私はユージーンの下を訪れていた。


「それは良かったです」

「それから、私は...儀式の最後を知りました」

「! .....それは、一体?」


翻訳された儀式の最後とは、私の予想を上回る意外なものだった。


「海神の巫女は、棺へと納められ...水底へと沈まなければなりません」

「ですが...それは」

「はい、死ぬと同義です」


だが、そうしなければいけないのなら私は......


「もし柩が沈んだまま何もないのであれば、私は海底から帰ってきます。もしなんらかの方法で海神に会えるのでしたら、交渉を試みたいと思うのです」

「神との交渉...なるほど、たしかに貴女は聖女ですね」


もし、神秘的な手段で命を奪われるなら、私はそれを受け入れる。

受け入れるしかないから。

でももし、棺が海神の元まで辿り着くのであれば、私は海神と交渉する。

彼の怒りを鎮める手段があるかもしれない。


「分かりました、王妃様。力無きこの身をお許しください」

「はい」


全てはドミニクの野郎から始まったこと。

あのろくでなし一族の尻拭いを、リリアーナの代わりに私がやる。

そう考えると、胸が軽くなった。


「...? はい、何の御用でしょう?」


私がお暇しようと思ったその時。

扉がノックされた。

出てきたのはメイドだった。


「王妃様、ユージーン様。伯爵様がお呼びです」

「行きましょう、王妃様」

「...ええ」


何かがおかしい。

今日は何かの用事があるわけでもなかったはずだ。

一抹の不安を抱えながら、私たちは伯爵の執務室へと向かう。


「何の御用でしょうね?」

「さて...私にも分かりませんね」


ユージーンが首を傾げている。

つまり、これは...とても嫌な予感がする...


「父上、参りました」

「入れ」


扉が開くと、私は目を見張った。

執務室自体は普通だが、壁の中に人の気配がする。

明らかに、何かをしようとしている気配だ。


「.........ユージーン、お前には失望した」

「...何のことでしょう」


直後、壁が開いて数名の騎士が現れ、退路を断つように移動する。


「王妃と組んで、セスティアを我がものにしようとするとはな」

「な、そんな事をするわけが...」


やっぱりね。


「嘘を吐くな! 聖力を持つ家系だからと、優遇してやったが...恩を仇で返すとはな。やはり王に近いものなど信用できないのだ」

「お言葉ですが」

「女狐め」


ダメだ話通じない。

この人には、私を邪悪フィルターを5重にして見えているんだ。


「神聖なる先祖の遺跡を、私と息子の排除のために使うとは。やはりお前も、私を裏切るのだな」

「違います父上、私は海神様を...」

「お前はっ! まさか、海神を利用しようとしたのか!」


もう無駄だ。

この人は、いかに私たちが邪悪かを考えるようにしか脳みそができていない。


「お前たちを拘束させてもらう! 王妃よ、調子に乗ったのが間違いだったな! 王に助けてもらおうなどとは考えるな、セスティアで幽閉する!」

「お断りです」

「拘束しろ、殺しても構わん!」


アルベルトが叫ぶと同時に、騎士たちが剣を抜く。

その時すでに、私は刀を振り終わっていた。

騎士たちの剣が根本から斬り飛ばされ、床に転がる。


「逃げますよ!」

「...ええ!」

「〈魔皇之翼(エール)〉!」


私が広げた翼を見て、アルベルトが騒ぎ出す。


「その黒い翼...やはり貴様、魔女だったのか!」

「魔女...あながち間違いでもないのかな」


魔法を使う女だったら、魔女でも合ってるよ。

そう思いつつ、私はユージーンを抱き抱えて窓から飛び出した。

執務室から声が聞こえてくる。


「誰か、誰かいないか! ユージーンと王妃が逆心を起こしたのだ! 騎士団を街中に配備しろ、捕まえるのだ!」


ああ困った。

このままだと、セスティアを離れなくてはいけなくなる。

しかも、私のせいで何とか続いていた交流も途絶えてしまう。


「どうすれば良いでしょう?」

「......分かりません、父上がこのような疑心暗鬼に陥るとは...」


私を女狐呼ばわりもするしね。


「こうなったら...ユージーン、彼の妄想通りにしてしまいますか?」

「私が伯爵に? はっ、エルドリアンの方が相応しいですよ」


ユージーン、いい性格だなぁ。

ここまで軽視されてるのに、それでもなお、エルドリアンを推すんだから。


「とりあえず、私の宿まで向かいます!」

「分かりました!」


私たちは宿へ向け、一気に降下していくのだった。

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