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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都決戦編

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Ep-650 第一の神殿

翌日。第一の神殿のあるであろう場所に、私たちは辿り着いた。

でも...


「全然深そうには見えないね...」

「契約者、わずかですが流れを感じます、恐らく割れ目が閉じてしまい入る手段がなくなってしまっているのです」

「じゃあ...」

「海底洞窟のどれかが神殿に繋がっているのだと思います」

「了解」


どうやら今回も簡単にはいかなさそうだ。

私はいつも通り水着に着替えて、船縁に腰掛けた。


「ユカリさんよ、大丈夫なのか?」

「カイゴンさん」


どうやら昨日の事をまだ心配してくれていたみたい。

でも大丈夫、私が悪になった時は神たちが罰してくれるから。


「...大丈夫です」

「そうか、ならいいが...」


あの時水神は、私に黒龍が干渉したと言ったけれど、

あれは本当に干渉のせいだったんだろうか?

そんな疑問を抱きつつ、私と水神は海中深くへと潜っていく。


「契約者、あなたは葛藤していますか?」

「え? ううん、何でもないよ」

「あなたの心に乱れを感じます、在るべきではない歪みがあなたの心を乱しているのです」

「歪み...」


もしかして、私...

もう、邪悪側の思考に染まってるのかな。

干渉でなかったとしたら。

殺せばいいという選択肢を即座に選び取ったのが自分の意思だったとしたら。

考えるだけでも体が震える。


「では、洞窟を探します。海の索者よ」


水神が右手に泡を浮かべ、息を吹きかけた。

息は無数の泡になり、泡にぶつかると泡が弾けて泡の小魚の群れになった。

それらは一斉に散っていく。


「しばらく待ちましょう、入り口を見つけてくれるはずです」

「...水神はすごいね」


偵察系の魔術か、探せば私も使えるかな?

分身たちは偵察に出させると不満そうにするし。


「貴女の賞賛は何よりの宝です、心にしまっておきましょう」


何やら重い事を言いつつ、水神は笑った。

その微笑みの美しさに、私はつい硬直してしまう。

ああ、神って本当に神様なんだ。


「頬を染めるその姿も可愛らしいですよ、契約者」

「んなっ、ちょっと...!」


見惚れていた事を指摘され、猛烈に恥ずかしくなった時。

水神が全く別の方を向いた。


「...見つかったようです」

「......本当?」

「ええ、こちらの方角に洞窟が」


水神がその方向へと進み始める。

私もそれに続き、泳ぎ出した。




海底洞窟は暗く、そして冷たい。

このあたりに火山があったらしいのだが、数百年前に死火山になってマグマの通り道だけが残ったのだそうだ。


「太陽神の権能が使えてよかった」


今は昼なので、ミニ太陽を水神の権能で泡で包み、光だけ利用する形で道を照らしている。


「魔物はいないんだね」

「契約者、ここはもう既に結界の中です」

「そうなの?」


第六の神殿は魔物だらけだったけど、こっちの結界はきちんと機能しているようだ。


「あ」

「海の索者よ、正しき道を探りなさい」


今度は、複数の道に分岐した。

再び水神の権能で正しい道を探す。


「調査隊はどうやってこの道を進んでたんだろうね」

「契約者、道中に骸がいくつかありました。彼らには試行錯誤という手段があったのです」

「ああ.....」


私は立ち止まって、道を切り拓いた人たちの冥福を祈った。


「契約者、こちらです」

「.....うん」


いくつかの分かれ道とハブを抜け、私たちは着実に進んでいく。

そして。


「わぁ.......」

「到着です」


私たちは第一の神殿まで辿り着いた。

ここから装置までは一直線だが、何やら神殿の前に朽ちた人工物が落ちていた。

近寄ると、どうやら潜水艇らしいという事が分かった。


「凄いね......」

「魔力を利用したのでしょうか? 何故二重の扉になっているのでしょう」


歪んだ球体のこの潜水艇は、内部に酸素が残っていなかった。

そして、白骨死体がロケットを握りしめて中にいた。


「これは.......」

「契約者、どうしたのですか?」

「いや...ここまでして、どうして装置を起動させるんだろうな...と思って」


私は疑問に思った。

危機が迫っていないのに、どうして?

海神の怒りを買っていない状態で、どうして潜水艇まで作って装置を起動しようとしたんだろう。


「装置を起動させなくていいのですか?」

「待って」


私はロケットを死体に再び握らせて、潜水艇を回収する。


「帰りに死骸も拾って行こう。彼らを埋葬してあげたい」

「........海とは、人間の踏み入るべきではない領域。そこに踏み入れば、そういった末路を辿るのは必然です」

「.......ごめんね」

「――――しかし、迷える魂を導くのもまた聖女の御業。契約者、あなたの好きなようにすればよいと、思います」

「....うん」


私は材質不明の階段を一段ずつ上がり、装置の場所まで登る。

装置に聖力を充填して、難なく起動させることができた。


「後は、神殿の内部調査だね」


私は結構簡単に終わったことに安堵していた。

ベルたちには苦労を掛けるけど、これであと神殿は三つ。


「....契約者!」

「えっ?」


その時。

装置が起動するのとは別の振動が襲ってくる。

そして。

轟音と共に神殿都市を破壊し、バクナワが姿を現した。


「........まずい」


このままだと神殿を巻き込んでしまう。

そうなったら次のヒントもわからなくなってしまう。


「クルルルル.........」

「水神、防御をお願い!」

「ええ、お任せを」


水神が両掌の間に泡を浮かべ、その泡が神殿を包み込む。

バクナワは神殿に向かって真っすぐ突っ込んでくるが、泡に阻まれ弾き飛ばされた。


「行くよ!」

「ええ、契約者!」


不安要素をなくすため、バクナワとは決着を着けないといけない。

そんな思いで、私と水神は泡から飛び出した。




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