閑話 第4回定例会議
尺が足りない感じがしたので間に挟みます。
学院地下…
校長の監視結界の及ばぬ場所に、5つの人影があった。
「ねえ、『出資者』さん。わざわざこんな暗くて寒い所で集まらなくとも良いのでは?」
「寒くて暗いとは何だメリア!オルドが裏でこっそり作ってくれた地下室だぞ」
「私は貴族として、穴掘りをすべきと思ったまでですなあ?アラド」
「…9割俺にやらせて隅でワインを飲んでいたのはお前ではなかったか?」
「使えるものは使いますな、それが仲間でも。」
「........」
それをじっと見つめるのは、いつもの豪奢なローブに身を包み、顔を仮面で隠した男…《出資者》だ。
《出資者》は見かねたように手を額に置くと、言った。
「本日集まってもらったのは、ユカリとその仲間を排除するのに打って付けの支援物資を受け渡すためだ」
その言葉で、騒がしくしていた面々が黙りこくる。
そして、オルドが恐る恐るといった風に発言する。
「しかし、《出資者》殿。あなたは以前物資の支援はなさらないと言っていたはずですが...」
「余りにもあなた達の策が稚拙すぎるので...始末する『方法』を教えるのではなく『ナイフ』を渡して始末させることにしたのです」
「何ですって!?それは私の配下による作戦が幼稚だと言うのですか!?」
「まあ事実、俺とオルドの作戦も失敗しているしな.......」
全員が怒り狂う中、1人だけ沈黙する人物がいた。
《出資者》はそれに目を付け、言った。
「アスキー、あなたは何もしないのですか?」
「........俺の役目はこいつらの支援ですから」
事実、アスキーは情報をユカリ陣営に流すと同時に、メリア陣営に金銭的な支援を行っていた。
そんなアスキーに、《出資者》はとある物を渡した。
「これは?」
「勿論、毒薬ですが?」
それを聞いた瞬間、アスキーは渡された...透明の液体が入った瓶を取り落とした。
しかしそれは地面に落ちる前にふわりと浮き上がり、アスキーの手に戻る。
「知っていますよ、あなたの裏切りは」
「!!」
「その毒薬でけじめを付けなさい?それを誰に盛るかは自由です。ユカリか、それともあなたか」
「く...くそっ!」
アスキーは素早く瓶の封を切り、中身を《出資者》へと掛けようとした。
「おや、誰に盛るのも自由とは言いましたが......」
しかしその中身はすべて落下せずに固まり、《出資者》の掲げた手のひらに集まった。
それを《出資者》は反応できていないアスキーの口へと投げ入れた。
「私に盛れとは指示していませんね」
◇◆◇
床に倒れたアスキーを尻目に、残りの面々は話を続ける。
もはや死んだ者の話をしてもしょうがないからだ。
「しかし、支援物資とは?私の次の計画は、庭園ごと奴等を焼き払う計画で...」
「私は特に無策ですが....貰えるものは使っておきましょう」
「俺は直接頭を叩く。ユカリをこの大剣にて始末する。今度こそな」
しかし、勇ましく計画を話す彼らに《出資者》は無情な一言を叩きつける。
「余り舐めないことですね。奴等はもはやあなた達のような弱い者が相手をできる領域を超えています」
それを否定できないのか、面々は俯く。
《出資者》はそれを見て、溜息をつきながら3つの宙に浮くモニターを前方へ展開した。
地下室が明るく照らされる。
モニターは全員の目の前へ移動し、それぞれ別々のものを映し出した。
「これは...?」
「この人は....?」
「俺には古びたバンドだけか......」
3人はそれぞれ感想を言う。
アラドは不満顔だが、支援物資である以上ただの古びたバンドではないと分かっているので、それ以上何か言うことは無かった。
「さて、支援物資はそれぞれ指定した教室に置いておきました。オルドに渡すものは少し特殊なので、後で私と一緒に来てください」
《出資者》がそう言うと、面々はやっと解放されたという面持ちで帰って言った。
「それでは《出資者》殿、一緒に行きましょう」
「ええ」
オルドが《出資者》の手を取り、一緒に転移していった。
後に残されたのは、アスキーの身体だけであった。
面白いと感じたら、レビューや感想を書いていただけると嬉しいです。
もしよろしければ、ブックマークや評価もよろしくお願いします!
※感想をできる限り参考にしたいのでログインユーザー以外も書けるようにしたので感想をお願いします!
↓ 小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします!




