Ep-63 悪夢の中で(後編)
スキルレベルアップと新スキルゲット回です。
終わらせ方がちょっと強引かも...
「マグナ・カノーネ」はマグナ(多分ドイツ語が語源で偉大なという意味)とカノーネ(ドイツ語で大砲)という自分でもよく分からないハイブリッド技名です。
「マグナ・シュヴェーアト」も同様でマグナとシュヴェーアト(ドイツ語で剣)のハイブリッド技名です。
後感想が欲しいんですけど...
いいのか悪いのか知りたいので何でもいいのでいい点悪い点書いていただけると助かります
10人のアラドが各所に展開し、大剣を上に構えた。
「ハアアアアアアッ!」
大剣に緻密な模様が走り、魔力が集まるのを感じた。
何かしてくるな...!
俺は次の攻撃に備えて不沈盾を召喚し構える。
すると、アラドが一斉に、こちらに向けて大剣を構えた。
「マグナ・カノーネ!」
一瞬大剣が洞窟全体を明るく照らすほど発光し、大剣から魔力の塊が射出された。
そんなのありかよ!?
俺は内心突っ込みつつも全体防御を張りそれらを防ぐ。
しかし、すかさずアラドが俺に向かって一斉に跳躍する。
そして、着地と同時に振りかぶっていた大剣を...振り下ろした。
「マグナ・シュヴェーアト!」
剣と全体防御が拮抗し、ガリガリと凄まじい音が発生する。
この技がどれほどの威力なのかは分からないが、10人でガンガン殴られたら全体防御も長くは持たないな...
しかし、俺が全体防御を解こうとすると...
「動かれると面倒ですからなあ...やれ!」
氷の鳥が翼を畳み、一気に開いた。氷の羽が抜けてこちらへと飛んでくる。
「ラウンドシールド!」
こちらを動けなくさせる戦法だと気づいたので、大きく飛びあがりながら前方に盾を形成する。
「隙あり」
「っ!」
前方にだけ盾を形成していた俺に、後ろからアラドが斬りかかってきた。
「空転・逆行!」
俺はそれを空転術で躱す。
空転・逆行は自身にかかるあらゆる全ての重力を反転させるスキルだ。
緊急回避にはもってこいなんだよな...
地面に激突する直前でスキルを解除し、空転・略撃で着地地点を狙ってきた氷弾を躱す。
当たっても大したダメージは入らないだろうが、氷弾は命中した地点を凍らせている。
あれを食らえば足止めとなる。
足止めをされればアラドにボコられるか永遠に動けない氷像の完成だ。
俺は5人のアラドの分身の攻撃と、隙を逃さず飛んでくる氷弾を素早く捌く。
しかし、反撃する暇が全くない。反撃しようとすれば氷弾が飛んでくるわけだし、
氷弾を避けてオルドを叩こうとすればアラドの攻撃に当たる...
じゃあ、盾と剣が二つあれば行けるかな?
「クリエイトウェポン!フェイタルスピア!」
「マグナ・シュヴェーアト・リス!」
俺が槍を呼び出すと、アラドが剣を地面に叩きつける。
そこから地面が割れ、俺の足元に断裂を作る。
10人が同じことをするので俺の足元は完全な穴となった。
「マグナ・カノーネ・コンツェントリーレン!」
そこにアラドの遠距離攻撃が一斉に放たれた。
なるほど、確かにこれなら逃げ場はないな...相手が一般人ならの話だが。
俺は上から楽々脱出しようとして...
「ちまちまと氷弾を放つより、こうした方が効果的ですなあ」
上から迫る氷塊を見た。
だが、まだ俺の足元の穴は健在。底に降りて攻撃をやり過ごそう...
しかし、俺が穴に降りようとした途端、地割れと穴が何もなかったかのように閉じた。
ならばと盾で防ごうとした瞬間、盾にヒビが走る。どうやら今まで受け止めて来た攻撃は予想外の威力だったらしい。耐久値が限界だ
「ここは夢。現実の概念に縛られたお前に勝ち目は無い」
「くっ...!」
そうか、そうだよ。
ここは夢なんだから...
俺は、目を閉じた。
「目を閉じたか。諦めがいいのは感心ですなあ」
「さらばだ」
2人が余裕の表情で笑い、俺の視界は真っ白に染まった...
だが、いつまでも衝撃と激痛が俺を襲うことは無かった。
目を開ければ、そこには俺を囲むように盾を展開する10人のエッジがいた。
「「「展開完了」」」
衝突によって発生した閃光が収まり、エッジたちの姿がアラドたちにも見れるようになった。2人とも驚いているようだ。
「...直前に俺を真似たか」
「ですが、分身系スキルは制御が難しいと聞く。アラドの分身も夢とは言え制御が難しいのでしょう?」
「ああ。...付け焼刃の力など、俺の修練に比べれば...」
アラドの分身が再び活性化し、一斉に向かってくる。
俺は心の中で全員に指令を送る。
『エッジ...E1から10は各自展開し、アラドの分身と打ち合え。各個判断でドッペルシャドーで分身しろ』
『『『『了解しました』』』』
分身に分身スキルを使わせる。
この技術はゲームではスキルとして使うことができた。
その名を...〈ファントムミラージュ〉。
今、俺はウェポンマスターの力の一端を感じていた。
分身たちは一斉に向かってくるアラドへとぶつかり、その剣を押さえつける。
そして、制御の曖昧なアラドの持つ剣を弾き飛ばす。
「クリエイトウェポン、竜滅槍!」
「「「「クリエイトウェポン、竜滅槍」」」」
「スキルセットチェンジ、セットスピア!」
「「「「スキルセットチェンジ、セットスピア」」」」
俺のスキル発動に合わせて影たちも槍を構える。
その姿勢も各自違っており、ゲーム時代との違いを感じさせた。
「ですが、私もアラドの本体も残っていますよ?さあ、アラド!........無理そうですかな?」
「ああ。奴の制御が思ったより上手い。まさか同時に10人も操作できるとは...だが、俺と同じくあいつは思考を割かざるを得ないはず。頼んだ!」
「わかりましたぞ!氷の鳥よ...増えろ!」
俺の目の前で氷の鳥が3つの氷塊に分かれ、それぞれの氷塊が氷の鳥に戻り、先ほどのサイズまで拡大した。
「意識を割いた状態で私の鳥の攻撃が捌けますかな?」
そして、俺のもとに大量の氷弾が雨あられと降り注ぐ。
だが勿論、黙って受けてやるわけが無い。
「ドッペル・カレイドスコープ!」
俺から3人の影が生まれ、1人は盾を展開する。2人は槍を持ち、オルドの下へと向かった。
10人までは何の問題もなかったが、3人増やした瞬間脳の負荷が跳ね上がった気がする。
頭が痛い...。
「後ろがお留守ですぞ!」
いつの間にか俺の後ろへと回り込んだ氷の鳥が俺へと氷弾を放つ。
「ドッペル・ツインミラー!」
合わせ鏡を模したエフェクトと共に俺の分身が2体出現し、俺の背後を守る。
「クリエイトウェポン、ハンターボウ!」
「クリエイトウェポン、不沈盾」
「クリエイトウェポン、イージス」
「クリエイトウェポン、古代魔道書」
「クリエイトウェポン、呪王槍」
「クリエイトウェポン、バースト・レギオンクレイモア」
そして、5人の分身が反撃へと転じる。
俺もハンターボウを召喚してそれを援護する。
「スキルセットチェンジ、セットシューター!」
「スキルセットチェンジ、セットシールド」
「スキルセットチェンジ、セットパラディン」
「スキルセットチェンジ、セットスピア」
「スキルセットチェンジ、セットバーサーク」
各自スキルセットを変更し、氷の鳥へと挑みかかる。
「シルディアン・ブレストⅢ」
「...パラディウム・ベネディクト」
「狂戦士の号令」
更に、分身たちが個々に全体バフを掛けまくる。
これはアラドと戦っている個体にも有効なので、アラドはより苦労を強いられるだろう。
可哀想に...
そんなことを考えながら、よく狙って、弓使いのスキルで氷の鳥を爆散させる。
ふと、〈並列思考〉がレベル2になった気がしたが、頭痛はより酷くなっているのであまり関係なさそうだ...いてて。
「くっ...纏めて吹き飛ばしてやる!」
ついに分身との勝負に痺れを切らしたのか、アラドが分身を放置し何か大技を放つ姿勢へと変わった。やばい、纏めて分身を吹き飛ばされる...
と思ったのだが...
「「「「「ドッペル・カレイドスコープ」」」」」
...想像していたより数倍グロかった。分身から分身が3体...つまり総勢30体となったのである。
ゴキブリのようにわらわらと分身が湧き出してくる様は集合体恐怖症の方にはとても見せられない光景であった...
「クリエイトウェポン、ウッドシールド」×30
凄いうるさい...
まるで大合唱のような詠唱の後、全員がブロードソードと同じ初期装備の盾を構える。
何故初期装備?と思ったが、それはすぐに明らかとなった。
「マグナ・シュヴェーアト・ギガンティシュ・フリージェンド!」
「クリムゾン・シールド」
アラドが思い切り剣を振ると、そこから凄まじい剣圧が魔力を纏って放たれた。
それと同時に30人の影が一斉に盾系のスキルを使う。
多分これって、クリムゾンスラストと同様に代償を払って瞬間的に高い防御力を得る...っていうスキルだろう。なぜ今まで忘れていたのか...?
ズガアアアアン!
紅く輝く盾と斬撃が衝突し、鼓膜が破れるかと思うような鋭い轟音が響く。
そして、息を呑む数十秒の拮抗ののち、斬撃と盾は相殺のような形で互いに消滅した。
その光景に心奪われていた俺だったが、
「...隙あり、ですな」
「ッ!...空転・雷動!」
俺は3方向から飛んできた氷弾を慌てて避けた。
オルドも固まっていたようだが、俺より早く復活して攻撃してきたようだ。
この氷の鳥を先になんとかしないとな…
そう思って、まず手前の奴から破壊しようとした時、全体から念話が飛んできた。
『主様、攻撃エリアから退避してください』
「へっ!?」
慌ててエアーダッシュを使って後ろに下がると、後方から巨大な火の玉が飛んできて、オルドごと全てを燃やし尽くした。
新手かと思って後ろを振り向いたが、どうやらフレンドリーファイアらしい。
「あははははは!あたしの業火で全てを燃やし尽くしてやるわ!」
なんか魔導書持って高笑いしてる分身がいた。
ちょっとメニューを見てみると、並列思考がレベル3になり、並列個性とかいう謎スキルに分岐していた。
◇並列個性-Lv1
影が個性を獲得する。
しかし、このスキルはまだ役に立たない気がするな...
俺が現実に戻れば、出せる分身は1体だけ。
あんまり個性とか要らないような...
だが、分身は自分で思考できるとは言え機械側っぽい思考だし個性はいるのかなあ...
などと考えていると、今まで機械的に動いていた分身が一斉に攻撃を仕掛け始めた。
「オラァ!もっと楽しませろー!」
「行きますわ!メテオスラッシュ!」
「エアースライド!メテオアックス!止めだ!」
アラドも大技を無効化され、オルドも氷の鳥ごと攻撃を食らって消耗していて、
段々と押されていく。
「くっ...ここは撤退すべきか」
「...夢では我々の負け、か...」
そして、壁際まで追い込まれたアラドとオルドは、岩壁を開いて撤退した。
影たちが一斉に閉じた岩壁を攻撃するが、何のダメージも与えられないようだった。
しばらくすると、影たちも岩壁も薄くなっていき、後には暗闇だけが残った。
「これは...どうやって目覚めれば良いのだろうか...?」
まさか夢に閉じ込められるのか?
と懸念したが、夢は消え去りいつもの天井が見えた。
安心した俺は再び眠ることにしたのであった...
後で、「今日学校でしょ!」とベルがお母さんのような形相でやってきて、
俺はベッドから引きずり出された。
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