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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都学院編

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Ep-57 勉強会

学院は中〜大学の組織です。

(22/06/03)アレックスがなんか変なこと言ってたので修正。

「え?今日はテスト勉強?」

「当たり前だろ…定期テストまで後2週間だぞ」


放課後、俺がクレルをレベル上げに連れ出そうとすると、クレルはテスト勉強があるから…と言って断った。

俺は定期テストは全く心配いらないから忘れていた。

数学、魔法学、言語学、王国史、世界史、道徳、薬学、武道(家庭科)、美術、地理があるのだが、基本全部5年オークストーリーやってりゃ自然と身につく知識ばかりだ。数学は若干不安だが、前世でも70点より下は取ったことないから大丈夫だろ…多分。


「えー…一緒にレベル上げに行こうよー!」

「…そんなに余裕があるなら勉強教えてくれよ」

「…教えたらレベル上げ行くのか」

「ああ。」

「じゃあ教えてあげるよ!」


なんでここまでクレルに執着するかと言うとクレルの戦闘シーンを見たことがないからだ。アレックスもシュナもユイナもリンドもベルも何の武器を使うのか、どういうスキルや魔法が得意なのかもわかっているが、何故かクレルだけ戦ってる所を全くと言っていいほど見ていないのだ。

クレルのスキル構成や武器などが知れれば勉強を教える手間など大したことは無い!


「え?いいのか」

「勿論」


俺はさっさと勉強を教えて、クレルのスキルを聞きたかったがために、

考えていなかった。この世界での女が男に勉強を教えるということの意味を...


◇◆◇


俺が寮の部屋に戻り、資料をまとめてインベントリに突っ込んでいると、

ベルが話しかけてきた。


「どこ行くの?しかも教科の資料なんか持って」

「いや、クレルに勉強を教えようと思って...」

「だっ、駄目よユカリ。クレルにはシュナさんがいるでしょ」

「...どういう意味?」


いや、本当にどういう意味?

マジでわからん。勉強を教えることとシュナがどう関わってくるんだ。


「まさか、勉強を教えてくれなんて言われて裏があるなんて考えもしなかったというの!?」

「でも、クレルにはシュナがいるからそう言うことは考えないでしょ?」

「…貴族は側室を持てるって忘れた?」

「クレルは純愛派だと多分思うんだけど」

「…はあ、なら他の奴も呼んで勉強会しましょう」


…ということで、勉強会を開くことになってしまった。

もっとも、これは実に有意義なイベントだったわけだが…

何故なら、いつもの会議室に集まって(アスキーに頼んで即日予約)勉強会を開いたわけだが、

まず自分の苦手教科を言う番になって俺はこいつらの成績の危うさを知った。

まずアレックス。


「えーと、俺は数学と魔法学と世界史と美術が全然わからん」


次にクレル。


「薬学以外は全部出来る。故郷で女にモテるために色々やってたからな」


そしてクレルの発言を聞き咎めたシュナ。


「…クレル、失望したわ…。それと、私は数学と道徳と家庭科と美術がダメだわ」


次にユイナ。


「えーと、私は数学と地理が苦手ですわ…いつも精霊に頼ってばかりで地図を使う事がないもので…」


最後にリンド。


「範囲を見たが、人間どもはこんな下等な問題すらも分からぬものなのだな…ただ、数字は我も少し苦手でな…竜の里では数算など使わないものだから、ユカリに各地を偵察しろと言われたときに少しずつ身につけたのだ」


というわけで、全員共通して数学が苦手なようだ。

数学に関しては俺も教えようがないので特別講師ベルさんに一任し、俺は他の教科を教えることにした。

まずはアレックスだな。


「どこがわからないの?」

「魔法はさっぱりだし世界史は人物名が覚えられない!美術はそもそも芸術が子供の頃からわからん…昔、高名な芸術家が描いた絵を見せて貰ったことがあるが、何が素晴らしいのかがわからないんだ」


あー…あるあるって奴だな。

魔法に関しては任せっきりで悪いけどベルに任せよう。

俺は世界史と美術を教えることにした。


「まず、世界史はどこがわからないの」

「…古王国の変遷と竜の怒りのところだ」


あー。古王国は滅びたのだが、ある程度この世界では理由の解明が進んでいるようだ。ゲーム時代も古王国廃墟関連のクエストが沢山あったわ。

ただ、古王国の人たちの名前は複雑なのばっかりで滅茶苦茶覚えにくいんだよな。

竜の怒りは今から150年前(ゲーム時代の説明では148年前だったのだが微妙にズレている…)に愚かな王が竜の卵を盗み、その卵を焼いて食って竜の怒りに触れたとかいうギャグみたいな話だ。愚かな王のせいで竜の軍勢と竜自身のブレスによってその国は3日3晩焼かれ続けたという…まあこれは伝説だけど。

史実は普通に竜に喧嘩売ったらボコボコにされたという結果に過ぎない。

俺はそれを懇切丁寧に教えた。アレックスは時々質問を挟んだが、回答に困るようなものは無かった。美術は…俺にどうしろと?

壊滅的な芸術のセンスは彼が純粋な戦士であるが故に仕方がない事なのだろう…


「…アレックスには随分丁寧に教えるんだな」

「別に誰でも同じだよ?どこがわからないの…?」

「回復薬の製造過程だよ。ユカリのせいで先生の期待を裏切れない…!」


えー…回復薬なんて普通製造過程なんて理解できないなんて事あるか?

薬草すり潰してお茶と同じ原理でお湯に出して終わりだよ。

しかしクレルは本気で理解して無いようなので、詳しく話を聞いてみると、使う器具や薬草の名前を訊かれる問題も出るらしい。

…それでも別に間違えないよね…?

まあ放置も可哀想なので全部しっかりと教えてあげた。


「クレルは私のものよ!」

「何の争い…?とりあえずわからないところを教えて欲しいんだけどなあ」

「あっ、そ、そうね!道徳は…自分で頑張るわ。家庭科はユイナに教えて貰えるから殆ど大丈夫だけど、美術が不安ね…。アレックスに教えたように私にも教えて頂戴?」

「アレックスに聞けば?」

「それもそうね」


誠に嬉しいことにシュナはあまり教えて欲しいことは無いようだ。

なんだかんだで才女だからなあ…

次はユイナ&精霊ズだが…


「クラフトウェポン、精霊の杖(エレメンタルワンド)Ⅳ…分からないところを教えてくれない?」

「えっと…縮尺の計算と地図記号が分かりませんわ」

『ユイナは立派だよー!私たちが答えを覚えて教えてあげるって言ったら断ったもん!』

『ユカリにも教えてあげようかー?』

「いや、いいよ…」


こちらは別に教えてもらわなくとも全部わかってるんで…

俺は80以上ある(もっともテストに出るのは40くらいだろうけど)地図記号と縮尺の計算法を3時間かけて教え切った。

精霊達がしょっちゅう理解の助けになるようなことをしてくれたり、お茶を汲んできてくれたりしたお陰で捗った。

これで全員教え終わったわけで、ベルは全員に数学を教えることになったのだが…

結局2時間もかかって誰も完全に理解ができず、俺が教えることとなった。

それでも理解が出来たのはリンドだけだったのだが…


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