Ep-55 学院の闇と襲撃者
よくよく考えたらユカリ、襲撃されすぎ主人公ですね
自分から仕掛けに行くのが滅多にない…
ユカリ達が楽しく学園生活を過ごしていた頃…
学院4階にある会議室にて密会を行う者達がいた。
深夜の闇が学院を包むように、その場には錚々たるメンバーが集まっていた。
「で、俺に何をして欲しいんだ?校長を辞めさせて欲しいのか?それとも時期生徒会長を抹殺?」
部屋の奥に座り、机の上に足を組むのは、理事長…アスキー。
「あのー。私を勝手に野心家にしないでいただけますかー?」
その対面に嫌そうな顔をして座る金髪ツインテールの女は…
生徒会長メリア。
「何を言ってるんだ。メリア…お前は前生徒会長を排除して会長になっただろう」
メリアの2つ横の席に座るのは、黒髪長身の美丈夫…
アラド。
「フゥ〜…仲がよろしい事で…何か言ったらどうかね?《出資者》どの…」
険悪そうに睨み合う3人を睥睨し、自分の斜め前に座る人物へと尊大な口調で話しかけるのは
金髪の恰幅のいい男性、オルド。
そして、話しかけられた男は目を開け、口を開いた。
「はあ…このメンバーで学院を乗っ取れるかは微妙ですが…一応は権力という面では充分ですね…皆さん、計画は順調ですか?」
全員が全員バラバラに言葉をぶつけ合っていたが、その声を聞いた瞬間全員がピシッと前を向いた。
「…はい、学院長の親族と思われるエルフを森都壊滅に乗じて確保いたしました」
「えっと…次の生徒会長選挙では私の工作により票が私に集まるようになってます」
「俺は特に進展はないが…強そうな奴を見つけた。戦いたくて仕方がない」
「問題ないですな。ただし、設置した呪王の仮面が破壊されましたが」
各人の報告を聞いていた《出資者》だったが、オルドの報告を聞いてピクリと眉を上げた。
「オルド、どういうことですか?」
「どういう事も何も…伝手で入手した呪王の仮面で学院で事件を起こし、学院長の責任問題にして地位を失墜させる計画でしたが失敗しました。それだけですな」
「え〜っ!?だって呪王の仮面って伝説級アイテムでしたよね?それを破壊できるってことは…」
「帝国の皇帝レベルの強さということだ…是非戦ってみたい」
一同は何のことはないといった風にオルドが喋った情報に一同は驚愕する。
しかしオルドは一切慌てることなく、《出資者》へと発言した。
「問題はありませんな。あくまで『計画』のうちの一つが潰れたのみ。次の計画を成功させれば何の問題もありませぬ」
「ふむ、では問題は無いですね。オルドが言葉を違えるとは思えません」
「えぇ〜!何で!?そんな強いヤツが学院にいるなら計画の邪魔に…」
「いや、待て。」
《出資者》はオルドの話を聞き何でもないことのように頷き、話を進めようとした。しかし当然メリアが立ち上がり、仮面を壊した人物について追及した。
だが、メリアの前にアラドが立ち塞がった。
「《出資者》、言外に俺に潰してこいと言うのだろう…既に見当はつけている」
「いえ、そのようなことは…」
「えっ!?誰誰!」
アラドの発言に《出資者》は否定の意を示そうとしたが、メリアの声に阻まれ誰もその声を聞くことはなかった。
《出資者》の意思に関係なく、アラドは自分の標的について話す。
「…名をユカリ・フォール。噂では片手ひとつだけでヒュドラを討伐したという女だ。」
「…アラド、ちょっと盛ってない?流石に片手ひとつだけでヒュドラはアラドでも無理でしょ」
「おお!その噂は私も聞きましたな!確かエルダートレントを指先一つで討伐したとか…眉唾かも知れませんがね」
メリアの声はまたもやオルドに阻まれた。
《出資者》はその話を聞き、少し考え込んだのちに喋り出した。
「……では、アラドはユカリとやらの排除に、他は引き続き計画を続行してください。オルド…失敗は一度までですよ」
「はいっ!」
「わかりました」
「わかった」
「了解ですな」
その言葉に各員は一斉に頷いたのだった。
◇◆◇
はぁ〜
俺はバルコニーで一息付いていた。
昨日、強制装備された超可愛い服を学院でも着ることになってしまったからなあ…
あの…羞恥プレイですか?
前世でゲームばっかりやってた俺への天罰ですか?
確かに親不孝だったけど…
女装どころか女性になって可愛い服着て皆にジロジロ見られるとか…
針で串刺しより辛いじゃねえか!
「ああああ〜ゴクゴク」
俺はインベントリから出したコーヒーを飲む。
何故かは知らないがインベントリ産のコーヒーは全部美味しいんだよなあ…
この世界にもコーヒーはあるけど基本砂糖もミルクも入ってないから苦くて飲めないんだよね…
「ああ、早く日本に帰りたい…」
最近クラン活動してないな…
早く異界の呪文書手に入れて帰還の手掛かりを探りたいもんだ。
俺はまたコーヒーを啜る。
…何でもいいけど冬だし夜だし寒いな。
そろそろ部屋に戻るか。
俺が部屋に戻ろうとしたその時。
「ッ!?クラフトウェポン、オリハルコンシールド!」
ガァン!
バルコニーの向こうの暗闇から何かが飛んできた。
慌てて知ってる中で1番硬い盾で弾く。
「誰だ!」
「…俺の全力にして必殺の一撃を受け止めるとは、想像以上だな」
声は眼下に広がる暗闇…中庭から聞こえた。
俺は武器を大剣に切り替えて地面へと降りる。
「お前は誰だ?」
「…名乗りたいが《出資者》の為にも名乗るわけにはいかぬ。ユカリ・フォール、俺は無名の戦士として貴様に、挑む!」
「おわっ!?」
誰かはわからないが、暗闇で何かが動いたと思ったら何かを叫んだ。
それが言葉だと脳が理解した瞬間、男?は俺に向かって一気に距離を詰めてきた。
慌てて剣で受け止める。
ガキィンと大きな音が中庭中に響く。
まずい、このまま戦ったら明日授業なのに生徒が起きちゃう!
「ドッペルシャドー!…閉鎖領域を!」
俺は分身を出して指示を送る。
後方で出現したエッジはクラフトウェポンを使用し魔道書を呼び出す。
「閉鎖領域展開!」
そして、俺と謎の男を魔法の光が包み込んだ。
これでエッジがやられない限りはこの空間は外部から隔絶される!
これでなんでも使えるぜ!
「貴様…」
「悪いが手加減はしない。瀕死で済ませる」
あーあ。夜の運動は睡眠に堪えるんだけどなあ…
面白いと感じたら、レビューや感想を書いて下ると嬉しいです!
もしよろしければブックマークや評価もよろしくお願いします!




