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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都学院編

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Ep-54 防具を買おう(後編)

ユカリ(恭介)は女性になって2ヶ月ちょっとですが絶対に女物の服やリボンなど装飾品は身につけないと決めていますが、ベルによる日常での本人の言葉による洗脳で徐々に女性側に傾いて来ています。

しばらく王都を散策(と言っても散々見慣れた街並みなので間違い探しみたいに見て回っただけだが…)したのち、夕方に戻ってくると…


「おう、出来たぞ!完成だ」

「うわ…ガチ可愛い奴だこれ」


もうだいぶ慣れたけどこう言う服着るのって女装してるみたいで羞恥が…

にしても鍛冶屋いいセンスしてるな!?

伊達に装備ばっか作ってるわけじゃ無いってことだな。

普通の可愛い服に見えるが、「魔力視」という〈探索者(サーチャー)〉の職業スキルで見てみれば、全体に凄まじい魔法付与がなされている。


「悪いが俺にはこれくらいが限界でな。王都なら魔術ギルドの婆ちゃんに金払えば強力な付与をかけ直して貰えるぜ」

「いや、これでいい。…お値段は?」


充分な出来だ。

こっちもそんなに被弾する気は無いので気休め程度で充分だ。

さっさとお金を払って受け取ろう。


「972万オルクだ」

「わかった。…白金貨使えるか?」


白金貨というのは、大きな金額のオルクをやり取りするとき、大量の貨幣を交換するのは大変だろうという運営の粋な計らいで作られた白金の貨幣だ。

俺はそれを10枚出す。1枚で100万オルクになるので…


「おし、わかった。28万お釣りでもいいんだが、28万オルクで何か見繕ってやろう…そういえば、さっきショルダーガードがいるって言ってたな?」

「あ、忘れてた」


この服を着る決断と可愛さに見惚れてショルダーガードの存在を忘れていた。


「丁度黒鋼製のショルダーガードがある。16万オルクだから…12万オルクお釣りだ」

「ありがとう店主」

「なに、お前さんみたいな若くて綺麗なお嬢さんに使ってもらえるなら本望だ。俺からしたら可愛い女性の死は世界の損失だからな!」

「…」


あの、息を吐くようにセクハラ発言するのやめていただけますか?

事実だけど中身が男だから顔を赤くしてそれにまた恥ずかしくなる無限ループが起きるんだが…

はあ、早く男に戻りたい。

何故か男に戻れるアイテムはこの世界だと全滅してるし…


◇◆◇


「あ、ユカリ帰ってきたの...可愛いわねその服」

「やめてくれないかなぁ...」


帰ってくると、ベルが出てきて俺を見て目を見開き、

上から下まで舐めるように見てから言った。


「鎧はどーしたの?」

「鎧よりドレスアーマーの方がいいって鍛冶屋が」

「それ本当に鍛冶屋かしら...どこの店?」

「メルティングアダマンていう店だが...」

「あーやっぱりね。あの変態オヤジ」


あれ?何でベルがメルティングアダマンを知っているんだろう

あの店は隠れた名店という設定だったはずなんだけど...


「だって今アレックスが使ってる白鱗(ホワイトメイル)飛竜の剣(ワイヴァーンソード)って、あの変態オヤジの店で作ってもらったらしいわよ」

「えっ」


アレックスは一回武器を替えたと聞いたが、まさかメルティングアダマンで作ってもらったものとは...


「あの変態オヤジは鍛冶スキルと生産系スキルを全部Lv10にした変態なのよ...だから服だろうと鎧だろうと何でも作れるってわけ。」


なるほど、ゲーム時代一番強化ツリーのバリエーションがあったりしたのは鍛冶スキルと生産系スキルのカンストのせいだったのか...


「じゃあ、家にも着いたしこれは脱いでっと...」

「駄目よ!」


俺がドレスアーマーを脱ごうとすると、

ベルが断固反対!といった風に俺の手を弾き飛ばした。


「何するの!?」

「いやいや、そんな可愛い服着たあんたを他の奴らに見せずにどうするの!」

「絶対嫌だ!」


しかし俺の必死の抵抗も虚しく、

俺は急遽ベルの一声により集まったみんなの前に放り出された。


「へぇ〜、ユカリってそういう服好きなんだ…クレル、見惚れてんじゃないわよ!」

「み、見惚れて無ぇ!」

「バレバレですわよクレルさん…まあ、気持ちは分からないでも無いですよね。ユカリさんがこんな服着るとは思ってなかった所がありましたわ…」

「服じゃない!防具だ!」

「でも、ベルが言うところではメルティングアダマンの変態オヤジの言いなりだったって聞いたぞ、実はこういう服好きなんじゃないのか?」


違う!

断じて違うぞ!

俺は優秀な防具としてこれを選んだだけだ!


「違うって!魔法付与が優秀で軽くて済むから…」

「ふ〜ん…じゃあそういうことにしといてあげるわ」


俺は決死の表情で否定したが、

全く信じて貰えなかった。


「ふむ…何でであろうか…貴様がこのような服を着ると、不思議な違和感が…むむむむ、まあ、しかし似合っているぞ…うぉっ!?痛いではないか!何故殴る!」


竜帝さんも何の役にも立たなかった。

くそ、1人は否定する人がいても良いじゃないか…!

そうだ、タツミなら…


「あらっ!?ユカリちゃん…可愛いわね〜そういう服着る気になったのかしら?なら私がコーディネートしてあげる…」

「ただの王の仮面!」

「………ユカリ、素晴らしい服だな!防御と自分の可憐さを引き出し相手を魅了する完璧な服だ…これがまさに防御こそ最大の攻撃…!」


ダメだ、誰一人味方はいない。

俺は諦めて、正式に装備をこの服に固定することにしたのだった…

最後の抵抗としてスカートの下にはズボン履くけどな!


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