EX-3 幹部飲み会
本当に短いですが、一応EXです。
読んでおくと今後分かりやすいかも?
「いやぁ、姐御は強かったねえ!」
ジョッキがカウンターに叩きつけられる。
それを行ったのは、口に泡をこれでもかとくっ付けたイルマであった。
「強かった、ではねぇな、ユカリの姐御は最強なんだぜ」
その隣で何の酒かも分からない液体を口にしているのは、ハンス。
解放団の直営であるこの酒場オリジナルの、「解放のカクテル」である。
ハンスの好みの塊で、他人には決して理解されない味だ。
酒場のマスターも、中途半端にシェイクの知識を学んだ荒くれ者である。
毎回味の変わるこのカクテルを、まともに飲める者もそうそういない。
「まさか分身までしやがるとはな」
「.......あっしも、あそこまで強い分身を相手にしたのは初めてですね」
魔術師が分身を作り出し戦わせることはあるが、大体制御が上手く行かずに本人が直接戦う方がマシだったりする。
それ故に、フィアスとルドルフの眼には異常に映る。
「.........そんなにも強かったのか、ユカリとやらは?」
「へえ.........興味があるな」
酒場の端から声がした。
そこに居るのは、子供が見れば泣きわめき、一生のトラウマになるであろう顔をした男と、子供のように見える男が向かい合って果実酒を呑んでいた。
「そういえばお前らは居なかったな、カイ、ノーラ」
「ああ、ワシも戦ってみたかった........この力を存分に振るえる相手と」
「ボクの領域に入って、まともに戦えるなら、戦ってみたいものだよ」
二人が殺気を纏うのを見て、ハンスは笑う。
「やめておけ、お前らが戦うと解放団本部が瓦礫の山になっちまう」
「違いないのう」
「ボクなら壊さず戦えるけどね」
カイの放った言葉に、ノーラは顔を歪める。
「ハンスはお主には聞いておらんと思うぞ」
「カイ、いい加減水浸しにするのはやめろよ、片づけが面倒癖えからな!」
「うるせえぞイルマ!」
カイがイルマに怒鳴る。
ハンスはそれを横目に一口呑む。
「...........なぁ、ハンスよ」
「どうした?」
「あの姐御とかいう女に、かつての女を見ているな?」
「それがどうした?」
「やめておけと言っておるのじゃ、そのような関係は長続きせん」
「だったらなんだ? 俺はハンス、解放団のハンス・イセフ・セーリクだぜ?」
ハンスはニヤリと笑った。
ノーラはつける薬なしと判断し、グラスを煽った。
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