表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都学院編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/1053

Ep-38 呪王の仮面について

呪王の仮面が真ん中からひび割れ、真っ二つになる。

その瞬間、タツミの構えが解かれて地面に倒れた。

髪の色が翡翠色から元の黒へと戻り、放っていたオーラが消え去る。


「タツミ先輩!大丈夫ですか?」


俺はタツミ先輩に駆け寄る。

ちゃんと生きてはいる様だが、目の焦点が合っていない。


「あ……ゆ、ユカリちゃ…」

「タツミ先輩」

「逃げて…!」


いきなり先輩が逃げてと言った。

なんだ?

そう思っていると、背後から気配がした。


「うわっと!」

「あ…アレはまだ、諦めてなんか…いないっ!」


俺を攻撃したのは無理矢理合わせられた仮面の残骸だ。

宙に浮き、俺に向かって麻痺の呪文を放った様だ。

多分、俺を乗っ取ろうとしたんだろうなあ…


「まあ、タツミ先輩は助けたし…死ね。クリムゾン・スラスト!」


手に持っていた刀を突き出して仮面を完全に破壊する。

この刀は多分この先一生使わないだろうから、壊れてもいいだろ。

するとそれを見たタツミが俺に向けて畏怖の視線を送る。


「ユカリ…ちゃん」

「今のは無かったことに…」

「なるわけ…ないでしょ」


デスヨネー。

まあ忘れて貰わないと困るんだが…

ただでさえ謎の冒険者と王宮に眼をつけられているんだ、ここでタツミが俺のことを喧伝してしまえば、たちまち俺と下級翼竜を倒した謎の冒険者はたちまち結びつけられてしまう。


「それはともかく先輩、今日のことは忘れて貰わないと困るんですよね」

「ひっ…何をするの?」


俺が手に光を灯して近づくと、タツミは後ずさった。

物事を完全に忘れさせる魔法はないが、眠らせて回復して寮の部屋に叩き込めば夢オチで済むだろう。多分…


「勿論、先輩に今日のことを忘れさせるんですよ」

「ひっ、やめて…」

「どうして?」

「ユカリちゃんのカッコいい姿…忘れたく無いから」


くっ…こいつ惚れてやがるぜ。

俺が男のままだったら最高のシチュエーションなんだけどな。

だが、とっっても残念なことに今の俺は立派な女性だ。百合展開に興味は無い。

けれど…その熱意に免じて今回は見逃してやるか。

俺は、先輩に今日のことを誰にも言わないことを厳しく言いつけて、徒歩で帰った。戦闘中にインベントリに放り込んだお陰で百紅草は無事だったが、量が足りずまた後日取りに行くことになった…


◇◆◇


「それで?何があったのよ」

「え?これは魔物との戦闘で」

「お前が魔物と戦ったくらいで服がそんなに汚れるか!」


俺は仲間達に今日何があったのか問い詰められていた。

傷は治したが服の汚れや傷みは直せずに、結局バレてしまった。


「はあ…生徒傷害事件の犯人は操られたタツミだった。襲ってきた、返り討ちにした。終わり」

「「「はあああああああああ!?」」」


簡潔にまとめて説明したが、全員が一斉に驚愕の声を上げた。

まあ、そりゃタツミが生徒傷害事件の犯人で、俺がそれを返り討ちにしたと言うのだから驚きだろう。


「ユカリに傷を負わせるなんて…タツミ先輩は強いのね」

「一応俺公認の強さを持つユカリを…恐ろしい」


しかし、シュナとアレックスは別のことに驚いていた。

たしかに今回は苦戦した。ゲームの時は問答無用でタツミのHPを0にすれば勝ちだったが、この先もこう言う殺さずに終わらせなければいけない場面は沢山あるだろうな…


「それで、これが私が壊した仮面の残骸なんだけど」

「おお、呪王の仮面では無いか」

「やっぱり知ってたか」


俺が呪王の仮面の残骸を取り出すと、真っ先にリンドが反応を示した。

リンドは直接的にこの仮面とは関わりがないはずだが、数百年前の大災害を経験したことがあるはずなので知っているはずだ。

『呪王の仮面』とは、約6000年前に存在した呪王と呼ばれる大呪術師が、寿命で死んだ際に全ての呪力を注ぎ込んで作ったとされる仮面だ。この仮面は最初はなんの力も無いが、ある程度魔力を持つ人間に寄生することで成長し、本来の力を最大まで引き出し魔法災害にまでなり得る存在へと昇華する…といった設定だ。

しかし、この仮面は超強力な兵器で、使い勝手は悪いが使えないこともないと言うことで隣国であるアルトリア帝国に接収され保管されていたはず。

何故、学院にあるのか…?


「さて、この仮面は本来アルトリア帝国にあるはずなんだ。けれど、タツミ先輩は校舎1階の無いはずの部屋に安置されていた…と言うんだ。」

「それはおかしいわね。帝国の物品が学院に入り込むのはまずないはず...とすれば、帝国関連での陰謀かも?」

「おいおい、帝国の重要な物品の取り扱いは皇族にしか許されてないんだぜ?しかも、その仮面は話によると常に起動状態ってわけだ。ここまで持ってくるのは不可能に近いぜ」

「では、どこから来たのだろうか?」

「我にもわからぬな...一応こやつに言われて情報を集めてはいたが、そう言った情報は得られなかった」


現時点では情報が少なすぎるな。

まあ、ここはゲームの世界ではない。イベントという強制力がなくなった今、人の動きやその心など読めるものではない。アルマージ魔法学院でテロを起こして王国を混乱させ、それに乗じて一気に攻め込むなどということを考えていてもおかしくないからな...


面白いと感じたら、レビューや感想をお願いします。

もしよろしければ、ブックマークや評価もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
主人公は色々な危機管理が必要な展開ですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ