Ep-37 仮面との戦い(後編)
前設定が存在した事は確かですが、無かったことにします。
よって修正前のタツミの名前は忘れてもらいます。
「霧雨鎌鼬」
「うおおおおおおおおおっ!」
無数の風の斬撃が俺に向かって飛ぶ。
俺はそれを横っ飛びに回避する。地面に風の斬撃が当たって、そこが綺麗に捲れ上がる。なんちゅう威力だ…
「鎌鼬!霧雨鎌鼬!…鎌鼬」
「ぐあっ!」
仮面の方も段々学習してきたのか、フェイントを入れるようになってきた。
俺はそれに対応しきれずに喰らってしまう。
「空転・雷動!」
「重覇撃」
「うわっ!」
仮面は徐々にタツミの真の力を引き出し始めていて、
俺の方も余裕が無くなってきた。
今はもう律儀に刀を使って戦ってはいない。
「サウザンドピアシングアローレインⅢ!」
「…霊這」
千本と見紛うような矢の雨が降り注ぐが、タツミはそれを素早い動きで避けながら、こちらへ向かってくる。
「デリートウェポン!ビルドウェポン、フォートレスシールド!スキルセットチェンジ、セットシールド!コンセントレートガードⅣ!」
「…竜喰刃」
俺が慌てて張った一点集中の盾に、タツミのスキルが突き刺さる。
暫くの拮抗の後、スキルを弾くことには成功したが…
タツミはそのまま後退し、連続で鎌鼬と朧半月を放ってきた。
「デリートウェポン!ビルドウェポン、黒漆刀!スキルセットチェンジ、セットアサシン!影遁!」
俺はそれを暗殺者の職業スキルである影遁で避けつつ、タツミに接近する。
そして彼女の前の地面で立ち止まり、
「ビルドウェポン、黒岩槍!スキルセットチェンジ、セットスピア!…パイルスピアー!」
上に向かって槍を持って飛び出す。
その一撃は確かに仮面を捉え…
キィン!
「うわっ!?」
「鎌鼬・弐ノ型」
「危ねえ!」
なんと、ゲーム時代とは違って仮面は自分に障壁を展開していた。
これは下手な武器では貫けないはずだ。防御力貫通効果のあるパイルスピアーで貫けないということは…
そして、いつの間にやら強化された鎌鼬で反撃してきた。
何らかの方法で経験値を得ている…?それとも仮面の力なのか?
「ビルドウェポン、鷹狩の弓!スキルセットチェンジ、セットボウ!ピンポイントショット!」
何度目かもわからない矢の狙い撃ちだが、これは狙った場所に必ず当たるスキルだ。しかし、矢は障壁に弾かれてしまう。
クリムゾン・スラストなら貫けるかもしれないが、それをやると仮面を貫くだけではとどまらずタツミの頭が吹き飛ぶ。
「あの技をやるか…?」
どうもあの仮面は魔力の流れではなくタツミの眼を通じて周囲を感じている節がある。なら、大きな目眩しを使えば隙を埋めるのでは…?
俺はそう感じて、自分にデバフスキルを掛ける。
「スキルセットチェンジ、シールドセット!城塞防壁!」
城塞防壁は自分の防御力を100%上げる代わりに攻撃力を80%低下させるという極端の部類に入るスキルだが、こういう時は役に立つな!
「デリートウェポン」
俺は今まで出しては捨てていた槍、弓、剣、小刀を全て消した。
魔力を全て1つの武器に集約させるためである。
「バースト・ビルドウェポン!白龍之太刀」
ユニーク上位に位置する強力な武器を取り出す。バーストを付加して今この瞬間だけの火力を出す!
「スキルセットチェンジ、セットサムライ」
そして、まずは目眩しから入るぞ!
俺は放たれた鎌鼬弐ノ型を避け、その技を放つ。
「千刃桜!」
視界が、千にも見紛う刃に包まれた。
◇◆◇
視界が白に染まる…そして全身に傷が走る。
どうやらこれは、攻撃のようだ。私はそう判断した…
しかし、余りにも弱い。無数の故郷に咲く桜の花びらのような刃が私の体を切り裂くが、大した威力ではない。
しかし、仮面の方はそうではないようだ。
何故なら、私は魔力を視れないからだろう。この桜吹雪の中ではユカリちゃんがどこにいるかがわからない。つまり、仮面への攻撃を避けれないのだ。
(ユカリちゃんはどうして、こんな強い技を使えるのに私ごと仮面を破壊しないんだろう)
また、さっきからそんな疑問も浮かぶ。
この技は本来はもっと高い威力のはず。それを何らかの方法でここまで弱くしているのだ。何のために?
仮面のことは何となく理解できる。仮面が張っている障壁は完全とまではいかないが、物理攻撃に対する高い耐性を持っているはず。
こんなことをして、何の意味がーーーーーーーー
(ッ!?)
私の思考は桜吹雪が紅く染まった事で中断された。
何?何が起こったの!?
動揺する私だったが、答えはすぐにわかった。
ユカリちゃんが桜吹雪を破って突っ込んできた。
仮面は慌てて避けようとするが、間に合わずに刀が仮面に突き刺さる。
ゴガッ!
そんな音が響く。
障壁を破って突き刺された刃は、仮面を貫き私のちょうど鼻先でうまく止まった。
そこから縦にヒビが入っていく。
そして…
ピキ…ピキピキ…
仮面が割れ、視界が開けた。
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