Ep-30 クランを作ろう
クラン名は今はまだ適当な名前です。いいのが決まらなかったので....
(11/03)何故かDランクがなかったので追加しました。
「おお~...」
扉を開くと、そこはゲーム時代に見慣れた、しかし現実化したことで年季の重みと質感を増したギルドの内装が現れた。
ギルマスが何回か引退してクランが潰れ、クランを転々とした俺はギルドを見慣れている。
晩年は自分でギルドを経営していたが、宣伝不足と身内(53人)しかいなかったせいで殆ど大きくならなかった。上位ギルドは600人位普通に所属してるもんなあ...
「おい、依頼はどこで受けられるんだ?」
「入って右奥のカウンター…横の掲示板だね」
俺たちはぞろぞろと依頼掲示板へと向かう。
ゲーム時代はわざわざ掲示板を見なくとも受注できる依頼をメニューから見れたので、
ここを使うのは新鮮だな。
「これは...どうやって見るんだ?」
「えっと、無地が一般、青色がGランク、赤色がFランク、緑色がEランク、紫色がDランク、銀色がCランク、金色がBランク、ベージュがAランクですね」
「あれ?Sランクはないの?」
「Sランクは指名依頼以外ないそうですよ」
「へえ」
まあそりゃ、Sランク依頼が掲示されてるのもおかしな話だしな。
ここで依頼を受注してもいいが、それだと一般しか受けられない。
「依頼を見る前にクランを作るよ」
「いいのか?クランって人生のターニングポイントとも聞くが...」
「抜けるも入るも自由だから適当でいいでしょ」
「はあ...もう突っ込み疲れたよ」
「アレックス、突っ込むだけ無駄ですわ...」
クランは正直金さえあれば幾らでも作れるからね。
クラン作成には3000オルクあればいいかな。
あ、オルクというのはオークストーリーのゲーム内通貨の単位だな
最近まで確認していなかったが、この世界でもそれは同じのようだ。
受付にクラン作成申請を出し、3000オルクを渡す。
「えっ...ユカリって3000オルクもポンと出せる金持ちだったのか...」
「まあ、今までの振る舞いから何となくわかってたけどね」
俺が金貨を3枚出して受付に置くのを見てクレルとシュナが呟く。
あ、実家はそんなにお金持ちじゃありません。自前でございます。
正直オークストーリーやってると金銭感覚狂うね。金貨3枚が安いんだから…
◇◆◇
「はい、クラン樹立申請が通りました。メンバーはこちらにお越しの皆さんでよろしいでしょうか?」
申請をしてからしばらく経つと、受付奥に消えていった受付の人が戻ってきて、
俺たちに言った。
俺は当然、それにもちろんと答えようとしーーーー
「待った!ちょーーーーっと待った!このベル様もクランメンバーよ!」
「あー…ベル、これには深いわけが…」
「知ってるわよ!私の事忘れてたんでしょ!」
「すいません…忘れてました」
「間に合ったから水に流してあげるわ!」
乱入してきたベルもメンバーに加わった。
そして、クランが成立し…
「クラン名はどうする?リンドが決めてもいいよ」
「何故我が…そうだな、シューリアンドではどうかな?」
「なにそれ…?」
「我の200年前の恋人だな。もっとも、片思いで終わってしまったが…」
「はあ…却下。アレックスが決めて」
「え!?俺!?俺かあ…そうだな、トリニティオブアカデミアとかどうだ?」
「長い。意味不明。却下」
「じゃあどうするんだよ!!!!」
碌なネーミングセンスの奴がいなかったので、仕方なくギルド員に頼んで名前を決めてもらった。クラン名はセブンスとなった。ザ・普通だな。
他にもありそうな名前だがこの名前のクランは存在してないようだ。
アレックスとリンドには可哀想だがどうせ適当に作ったクランなのでまた作り直せば問題ないだろう。
「よし、クランもできたし依頼を受けるか」
「やっとか...まあ金を稼げるなら文句はないけどな」
クランもできたので早速依頼を物色する。
しかし、午前だというのに大した依頼がない...
「とりあえずゴブリン討伐でも行く?」
「ありきたりだけどしょうがないか...」
ゴブリン討伐は危険ではないのか?という問いに対しては否と答えよう。
正直このメンバーなら危険はないし、むしろ討伐証明部位(ゲーム時代はドロップアイテム)が残るかを心配するべきだ。
「どうする?受ける?」
「受けようか...報酬もそこそこだし」
「いや、私は反対だね」
俺は断った。こんな報酬がいいだけの依頼受ける価値無い。
時間の無駄だ。
「なんで!?報酬もよくて楽じゃない」
「そうですわ!貴方まさか...恐れているのですか?」
「いや違う」
何を言っているんだこいつらは...
金なんてテレポートアローで高レベルエリアに行って狩ればドロップアイテムでいくらでも稼げる。ならばここは、CPが効率よくたまる依頼を優先して受けるべきだ!!!
その旨を仲間に説明すると、
「はあ...またこれだ」
「いい加減にしてほしいといったところかな」
「我は戦いたいのだが...」
「ユカリ...いい加減にしてよね、突くわよ」
「シュナさん、お金欲しさに少しおかしくなっていませんか...?」
と一斉に敵意と呆れをぶつけられた。
だが俺は自分の意志を曲げないぞ。
「よし!これだな!」
俺はCPが高めに設定されているクエストを見つけ、取る。
◇下等翼竜の死体処理 一般
平原に突然落下してきた下等翼竜の死骸の処理の協力
CP:300
うーん、マッチポンプだ。
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