Ep-28 即バレ
寝てました
俺の作戦通り、俺と同じ土俵、つまりは謎の転入生として入ってきたリンドヴルムは、俺とは違いその力を出し惜しむことなく発揮した。
「人間の剣技とは、数百年のうちにここまで退化したのか…剣聖エルヴィンが泣くぞ」
「あ、あああ…なんて、速い…!」
1時間目の武術の時間には凄まじい剣技で相手の剣を叩き斬り、
「古き術式の方が効果があろう。オールドマジックファイア」
「す、凄い…威力が桁違いだ」
「それより、凄い魔力…」
2時間目の魔法学では古代魔術を披露し、
「魔法薬?ならば我の鱗で全てが事足りる」
「えっ!?どうして鱗で回復薬が作れるの…?」
3時間目には薬学の常識をぶち壊した。
気がつけばリンドヴルムが注目され、俺への注意は綺麗に逸れた。
計画通り!俺はリンドヴルムを新入生として入れて、自分への注意を逸らすという見事な計画を立てたのである。
これならば、俺が多少おかしなことをしてもリンドヴルムがやれるんだからできて当たり前という評価を受けられるはずだ。
「いやー、リンドヴルムは凄いな…」
「嘘おっしゃい!」
「ひぇっ!?」
俺がわざと感慨深げに呟くと、隣から声が聞こえた。
シュナである。
「あのリンドヴルムって奴、絶対あなたと関係あるでしょ?」
「ないないない、無いって!」
「言いたくないなら言わなくていいのよ」
やばいバレている…!
何故だ!?リンドヴルムと俺に直接的な結び付けはできないはず…
そのためにリンドを起用したのに!
「ユカリ、バレバレだぜ?」
「その通り。昨日の今日でこれをやるとは正直言って馬鹿にされすぎだと思うね」
クレルとアレックスが交互に言う。
しまった、期間を空けなきゃいけなかったのか…
これじゃあ俺とリンドヴルムを結びつけるのも当たり前か…
「わかったよ…たしかに竜帝は私が呼んだ」
「やっぱりな。つくづくお前ってやつは規格外だな…自分が目立たないために仮にも王を呼びつけるとはね」
「感心しないが、伝説の竜帝を間近で見れるのは嬉しいな」
そんなことを言っていると、リンドがこちらへ近づいてきて、言った。
「すまない、人間。人付き合いの仕方が分からぬ。教えてくれ」
俺も分からんよそんなこと…
と思っていたが、ユイナが立ち上がってリンドに近づいた。
「私がお教えしましょう」
「助かる」
2人はその後話し込み、数分でユイナが戻ってきた。
そしてリンドは先ほどの集団に戻り、気さくそうに話していた。
俺のところに念話も飛んでくる。
『人間というのは面白いな!価値観も、文化も哲学も面白い!定命の者だからこそ出来る発想がまた面白い!永き時を生きる竜には無い考え方だ!実に刹那的で儚い…それでいて美しい』
どうやら気に入ってもらえたようで何よりです。
屈辱的だなんだとうるさかったけれども、結局楽しんでいるのね。
◇◆◇
今日も普通に授業が終わった。
リンドは女子たちに乗せられて教室で談笑している。
結構ちょろいなあの竜帝…
と思って俺が、
「リンドくーん、あ・た・しとお喋りしなーい?」
って胸元を開きながら言ったら、リンドは凄い変な顔をして、
「意外だな、人間。そういう事はしないと思っていたのだが」
「冗談だよ」
「ふははは、だろうな。似合わんよ」
とカウンターをぶっ放してきた。結構ショックだった…
俺の振る舞いってそんなに女子っぽく無いかな?
そう思って仲間に聞いてみたが、
「ぶふっ…あははははは!あなたってそういうキャラだったの!?」
「あー、リンドが似合わないって言うわけだな」
「いや、お前は流石にそんな事はしないだろう…?」
「ユカリさん、そう言うことはそれだけの色香がある女性がすることですわよ!あなたには…少し似合いませんわ」
笑われたし遠回しに馬鹿にされた…
くそう、なんかイライラする。
そして今日も普通に寮へと戻った。
しかし、ベルに今日あったことを話すと、同じく大笑いされた。
失礼な…こっちは本気でやったんだけどなあ
やっぱり女子のように振る舞うのは無理だな。
ああ、さっさと元の世界に帰りたいなあ…
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