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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都学院編

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Ep-27 リンドヴルム

前の話で竜帝の名前を出さなかったのはまだ考え付いてなかったからです

翌朝、俺はベルが作った朝食を食べていた。

朝食と言っても普通に目玉焼きとフランスパンのようなもの、ベーコンもどき、オレンジジュース(自前)のモーニングセットである。


「へえ、このオレンジジュースって美味しいのね...どこで売ってるのかしら」

「もぐもぐ...多分フルールの方でよく獲れるから、市場に行けば果物は手に入るかも...」


俺は会話をしながら朝飯を片付けるが、

ベルはなにやら分厚い本と、俺が今朝作った古代槍(エンシェントスピア)を傍らに置き、それらを睨みつけながら食事を口に入れ、俺と喋っている。

3つのことを同時にこなせる辺り、授業にでなくてもいい天才なんだな、と思う。


「んー...ダメね。この槍、掛かってる魔法や術式形態は分かるけど、製作年代は全然分からないわ。どこで最初に見つけたか分かる?」

「えーっと、こいつは確か越界の神殿っていう場所で崩れた女神の像に突き刺さっていたんだけど...」

「ちょっと待って、もう1回言って!」


実はこれ、俺が入手したわけではなく武器の説明にそう書いてあるだけである。

オークストーリーではレジェンダリー以下の武器はすべてモンスタードロップであり、合成して強化していくのだ。つまり、レジェンダリー以下は出自不明の武器ばっかである。

古代槍なら崩れた女神の像の左胸に突き刺さっていて、古代剣なら神殿の奥に残っている神の残骸に突き刺さっている。それもそのはず、古代シリーズは古代の英雄たちが人々を苦しめる狂神に集結して立ち向かい、見事討ち取った伝説の武器なのだ。それでもレジェンダリーには届かないんだけどな。古代の英雄は武器に頼らない戦いをしていたみたいだし、この槍も元は普通の槍だったんだろう。ただ、長い時間と討たれた神の魔力を吸ってエピック上位にまでパワーアップしたんだな。


「ユカリさん、片づけは私がやっておきますから食べ終わったら出かけていいですわよ。あ、ただし武器への魔力供給は断たないでいただけると嬉しいですわ」

「わかったよ、じゃあ行ってくるね」


俺はささっと飯を食べ終わって立ち上がった。

ベルは授業に出る必要がないので、まだまだ料理は半分以上残している。

どうせすべて食べなくても、お昼にサルベージできるから良いらしい。


◇◆◇


俺が教室につくと、既に教室は騒がしくなっていた。

何が起こったのかと聞くと、


「あ、ユカリさん。おはよう!」

「おはよう。ところで、この騒がしさは?」

「確かにいつもは静かですからねー...今日は、なんと新入生が来るようで!」

「ふーん、新入生ねえ...」


俺はニヤリと邪悪な笑みを浮かべた。

俺の拙いが成功すれば多大な利益をもたらす計画の一手目が今動き出した。


「あ!正門前に来るってさ!」

「いこいこ!」


男子女子が入り混じって正門前の広場へと向かう。

俺もそれに追従する。

走りながら正門を見据えて、俺は誰かに話しかけた。


『周囲に被害をなるべく及ぼさずに、かっこよくな!』


そしてそれに、面倒臭そうに返事が返ってきた。


『また難しいことを...まあ、貴様の思い付きはとても屈辱的だが...面白い』


俺が正門前に付くと、そこには人が集まっていた。

そして、人々が見守る中、門が閉まった。

当然周囲は、まだ新入生が入ってくるはずなのに、何で閉めるんだと驚く。

しかしこれは、校長の決定だ。校長は誰が来るか知っているからな。

集まっていた生徒らが残念そうに教室へ帰ろうとした時、


「お、おい!あれ!」

「なっ!?ドラゴン!?」


空に点のようなものが見えていた。晴天だったので誰も見間違えなかった。

それはだんだんと大きくなっていき、誰しもその正体に気づいた。

そしてそれは目に見えて大きくなっていき....


ドゴオオオオォォンン!!


流星と見紛うような速度で地面に激突する。

俺が咄嗟に貼った範囲シールドも破けて、学校の広場側の窓ガラスが全て砕け散る。

庭園の木々が風圧で薙ぎ倒され、生徒は猛烈な土埃に襲われる。

そして、土埃が収まった時...


「あ、ああああ...」

「こんな...こんなっ...」


そこには、竜がいた。

ただの竜ではない。竜帝。それは見るものを圧倒し、同時に尊厳さえ感じさせる厳格な姿。そんな姿をした竜は闇に包まれ...

1人の竜人へと姿を変えた。


「誇り高き万物の王、竜帝リンドヴルム。招待に応じ参じた!」

「「「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」


滅茶苦茶になった庭園で、リンドヴルムが咆哮し、

それに恐れながらも生徒たちが一斉に歓声を上げた。




竜帝は校長室へと呼ばれていた。

俺も呼ばれたので隠密術でこっそり付いて来ていた。

そして現在俺は、校長に問い詰められていた。


「ユカリさん、リンドヴルムさんとはいったいどういう関係で?」

「聞かれて私が簡単に喋るとでも?」

「はあ、そうですよね...フー、リンドヴルムさんを教室に案内してください」

「了解だよー。ボクもまさか伝説の竜帝とユカリが知り合いだとは知らなかった」


校長とフーは呆れながらも、俺と竜帝の関係については聞かなかった。

あと、残った俺は割れた窓ガラスと、吹っ飛んだ庭園の賠償について怒られた。

俺のインベントリからミスリル製の剣が3個くらい消えたということだけは言っておこう。


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ばかげた登場の理由がイミフ
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