Ep-23 食堂飯
やる気が起きません
でも欠かすと消した過去の小説みたいに永遠に更新しなくなるので書き続けます
俺たちは食堂に向かって歩いていた。
タツミが凄い絡んでくる。誰か助けて...
「ここの食堂は何でもおいしいわよ~。でも、ユカリちゃんの口に合うかは分からないのよね...そうだ、今日はお姉さんが奢ってあげる」
「いいんですか?」
「おい、先輩に手伝わせた挙句奢らせるってお前な」
「ユカリ、そういうのは感心しないぞ」
「そうよそうよ!むしろ先輩と私たちに奢りなさいよ」
「シュナさん、タツミさんにだけなら奢る理由がありますけど、私たちに奢る理由は無いですわ...ユカリさんもお金に余裕があるわけではないのですから...」
そして、タツミが奢ってくれるというので乗ろうとしたら、
後ろから容赦のない追撃が襲ってくる。特にシュナ、お前自分が無料で飯食いたいだけだろ。そしてユイナが言うことは間違っていて、俺はゲーム時代の所持金を引き継いでいるのでこの世界の王族より資産家だぞ。まあ使う気は無いんだけど。
「別に奢ってもいいよ?」
「「「喜んで!!」」」
笑顔でそう言うと、クレル、シュナ、ユイナが叫んだ。
やっぱりお前らそういう腹積もりだったな?
まあいいけどよ。
「ユカリちゃんは優しいのね...でもお金の使い過ぎはよくないわ。せめてユカリちゃんの分だけは私が奢ってあげるわ」
「え、いいですって!そういうわけにもいきませんから!」
昔、先輩に同じことを言われた気がする。
でも、その後滅茶苦茶重い荷物を持たせられた想い出がある。
人間何も利益がないのに施しをしたりはしない。
タツミも何か考えてやがるに違いない...のかなあ?
「そうだぞ、偉いな」
「ユカリ、見直したわ」
アレックスとシュナが勝手なことを言う。
こいつら普段はカップルの片割れ同士めっちゃ仲悪いのに、こういう時だけ連携発揮するのはなんなんだ。まあ、こういう連携がしっかりと出来るからこそ、パーティを組めるんだけどな。
◇◆◇
食堂にたどり着くと、そこは人でごった返していた。
凄い列ができていたが、タツミが通ると列がぱっくり割れていく。
どうやら先輩特権みたいなものらしい。
「おい、待て」
俺がそれに続こうとすると、列の横から手が伸びてきて、俺の手首を引っ掴んだ。
「なに?」
「通っていいのはタツミだけだ。後輩が便乗するな」
そこにいたのは、茶髪の可愛い系男子だった。
整った顔が、こちらを睨みつけている。
こいつは...誰だっけ?
「あら、ごめんなさい。ユカリさん、気にしないで。彼はちょっと、敏感なだけだから」
「どうして?」
「理由は言えないわ。とりあえず、ユカリちゃんとクレル、アレク、シュナ、ユイナ。私と一緒に通っていいわよ」
「わかりました!みんな、付いていこう」
「俺らは普通に並ぶぜ」
「私も。一応ユカリさんだけは行ってください」
俺は皆と一緒に行こうとしたのだが、皆はこういう反則的なことが好きではないようで、先に行ってくれと促した。
「分かった。ここで私が並ぶって言ってもタツミさんは良しとしないだろうしね」
タツミは粘着力が強いので一度目を付けた人間からは中々離れようとはしない。
もっとも、それには理由があるが...
俺たちは人の波を割って一番前まで進み、そこに並ぶ。
「おい、タツミさんの後ろにいるのは誰だ?」
「わからんが、フウカ姉貴が眼を掛けるんだ、凄い奴なんだろ」
ああ、注目されている...
俺の知るイベントフラグが...流れが...乱れていく...
ま、タツミに捕捉された時点でこうなることは自明の理。
諦めてお人形さんのように連れまわされるしかない。
「ね、ユカリちゃん!サンドイッチとお握りどっちがいいと思う?」
「お握りがいいかな...」
お握りが何故ファンタジー世界にあるのかは分からないが、この世界では普通に米とパンが共存している。殆どの要素がファンタジーと現代日本との矛盾を無視した融合なので、こういった謎の要素も存在するのだ。まあ、俺は朝飯はパンよりご飯派なので、ありがたくお握りを頂くとしよう。ちゃんとサンドイッチと同じく中身が入っているタイプだったのだが...
「で、でかい...」
「そう?これくらいが普通じゃないの?」
おにぎりがデカすぎる。俺の頭の半分くらいあるぞこれ...
おかしいな、ゲームでは...アイコンだけだから原寸大ではなかったな。
どうしようこれ...
と思っていると、とある看板が目に入った。
『おにぎりに合うおかず』
中身が入ってるお握りしかないのにおかずがいるのか?と思ってその場で齧ってみると、
含有量が極めて少なかった。お握り全体の体積を9として、中身の量1とすると9:1くらいの量しかない。なるほど、これはしてやられた。ここは魔法学院なので、様々な国籍の人間が集う。当然米も揃えなければ多国籍校の食堂とは言えない。だが、米はトーホウ地方でしか作られていないので、輸入にしか頼れずお金がかかる。なので、こういう形で稼いでいるというわけだ。お握りより高いおかずもあるしな。
ということで俺はまんまと罠に引っかかった(昼飯だけにまんま)。
「すみません!おかずのローストチキンもください!」
次はサンドイッチにしてやる!
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