Ep-20 言語チート(セルフ)
この先王都編で獣人、エルフ、魔族、ドワーフ、海人語が出てくることはほぼないです!
でも、言語チートは主人公にはないと言いたかっただけです!
ルビが正しく適用されてなかったので修正しました
「それでは、語学の授業を始める」
そうして、語学の授業が始まったが...
「獣人語で最重要拠点のことをなんというか言ってみなさい」
「王獅子の尾です、先生」
そう、ストーリーで出た言語があれば余裕なのだ。
攻略サイトなどもろくにないため、オークストーリーでは全ての謎解きは自分でやらなければいけない。その中に獣人語やエルフ語、魔族語の長文はいくつも出てきた。
改めて考えると本当に精巧なゲームだよなオークストーリーって...
何でオリジナル言語まで設定で存在してるんだよ!
まあ、それはいい。
「では、魔族語で古びた剣のことを何というかわかるか?」
「えっと、朽ちた相棒です」
「よろしい。君は語学に関しては何も言うことはなさそうだな...」
正直各言語の特徴さえ押さえておけば覚えるのは簡単なんだよね。
獣人語はすべての要素を自分たちの尊敬する種族に例える事が多く、
エルフ語は誇張無しの表現を好み、
魔族語は全ての事柄を戦い基準で表現する。
それさえ分かっていれば単語や文法を覚えるのは簡単だ。
例えば、獣人語でご飯を食べる、と言う場合
「獣神のように食らう」
と表現する。
さらに、エルフ語で同じ言葉を言う場合、
「適量の食事を摂取する」
と言う。
最後に、同じ言葉を魔族語で話すと、
「奪いし命を喰らう」
となるわけだ。
単語は基本的には英語が元となっているので覚えやすい。
しかし、当時これを覚えられたプレイヤーは何人いたのだろうか...
俺はネタバレ嫌いだったので聞かなかったが、ギルドとかで質問すると答えを教えてもらえることはあった。そうやって攻略した人もいるんだろうな、多分。
そして、俺が淀みなく答えたことに、教室中から視線が集まる。
「ユカリ、何で答えられるんだ?これ、一応5年生でも苦戦する問題だぞ...?」
「先生はあなたを試そうとしたみたいね。正解を当てられてしまったみたいだけど...」
え、もしかして上級生の問題を出した!?
これってもしかし...無くてもアレじゃないか。
昔、俺の学校に数学が得意な奴がいて、先生の前で何でも答えられると宣言した。
しかし、先生が出した問題は大学でも習わないような専門的なもので、彼は答えられず大恥をかいたことがある。そういうことなのだろうな、多分...
やっちまった感はあるが、問題ない。
「たまたま当たっただけだよ」
俺はそう言ってごまかそうとしたら、クラス中が口をそろえて叫んだ。
「「「たまたまで答えられるわけないだろ!!」」」
そうかなあ...
獣人語はともかく魔族語は感覚で答えられる気がするんだけどなぁ...
その後、俺は先生に前に立たされて助手みたいなことをやらされた。
先生は獣人語や魔族語に精通している俺に生徒ではなく友人のように接してくれた。
アスキーやら語学の先生(後で知ったがアベルという名前らしい)とかに好かれやすいって、俺結構な魔性じゃね?
◇◆◇
「で、本当のところはどうなんだ?教えろよ」
「どんなずるをしたの?別に怒らないから教えて、ね?」
俺は廊下で怖い顔をした男女に掴みかかられていた。
そして助けてくれそうな未来の英雄たちはそれを見守っていた。
クレルに目を合わせようとすると、クレルは肩をすくめた。味方はいなかった。
「あの~、そもそもあなたたちは誰でしょうか...」
多分こいつらは...モブだな。
学園イベは最後までやってないのでNPC類は把握してないがストーリーに関わるキャラなら知らないはずがない。現実化の影響で現れた人間なのかもしれないが...
「俺はサム。学年次席だ」
「私はアリス。学年主席よ」
凄い奴らだった...
逆に何で俺は知らないんだ。
最重要人物じゃないか。
「で、一体どんな魔術を使ってたんだ?「翻訳」とかか?アレは学舎内では使えないはずだが、謎の新入生のお前なら使えるのかもな」
「ああ、魔術の警戒リストから逃れたのね。なんて卑怯な」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってよ!ちゃんと実力だって!」
なんか勝手に俺が不正をしてる説が濃厚になってきているので慌てて弁解する。
てかこいつら仲良すぎだろ。次席と主席なんて成績争いしてるのがテンプレじゃないか。
「そんなわけがあるか!獣人語は俺でも滅茶苦茶苦戦したんだぞ!」
「そうよそうよ!魔族語だって1年勉強してまだわからないところがあるのに!あなたみたいな小娘に負けるなんて!何か不正をしているにきまってるわ!」
2人は俺が反論した瞬間に大声でまくし立てた。
言いがかりもいいところだが、これが悪役令嬢や悪役貴族の台詞ならともかく、正当な実力を持つ学年主席の台詞なので、本当に悔しいのだろう。
「だったら、私を試してください」
そう言うと共に俺は自分にかけていた全てのパッシブスキルを解除する。
これで疑われる可能性は大きく減った。
「お、魔力が消えた。これで本来の実力がわかるな」
「そうね。さあ、答えてみなさい!魔族語で...えっと、金装飾の大剣って言ってみなさい!」
「わかりました。えっと、輝く岩砕き」
俺がそう答えると、2人は飛び上がらんばかりに驚いた。
「なっ!?『えっと』まで翻訳するだと!?」
「なんてきれいな発音...!翻訳の魔術だけではこんなに綺麗に発音できない!本物だわ...」
ね?言ったでしょ?
と言って胸を張りたいが張る胸もないし、なによりキャラが崩壊してしまう。
俺のキャラじゃないしなあ。
そして、後ろでクレルが仲間に自慢していた。
「な?言ったとおりだろ?あいつはスゲー奴なんだよ」
「何であんたが偉そうにしてるのよ!」
どうしてクレルはあんなに俺に興味があるんだろう。
ゲームの時から疑問だった。
「クレル、どうして私に関して誇らしげに話すの?」
「ああ、それはな———」
クレルが懐かしそうな眼をして話し出そうとするところをシュナが槍で後頭部をブッ叩いて止めた。
「やめときなさい。どうせこいつのことだから目を付けた女が自分のように誇らしいと思ってるだけよ。理解しようとすると発狂するから」
まあクレルの性格じゃあそうなんだろうな。
ストーリーでは後々いいところも見せるが、基本的にはチャラ男だしな。
喉が渇いたので、どこかで水が飲めないかと立ち上がったところで鐘が鳴り、魔法学の授業が始まってしまった。喉が渇いてるんだけどな...
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