Ep-17 ベル
ストックが切れました
頑張って書きます
(2022.3.26)ちょこっと書き直し
俺とフーは、アルマージ魔法学院の東棟生活エリア…いわゆる寮に来ていた。
本来は生徒全員を教官が引率するらしいが、オフシーズンの招待客にはこういう処置がなされるようだ。
「ボクはここまでかな。これ以上離れるとリンクが切れちゃうからね。君の部屋は…102号室の相部屋だね」
「相部屋…」
フーが意味深なことを言って帰って言ったが、俺はその言葉に疑問を抱いた。
おかしいな、魔法学院に相部屋なんてあったかな…?
まあ問題ない。異性同士は相部屋になることはないので、間違ってもあのいけすかない斥候職野郎に出くわす事もないだろう。
そう思って俺は寮のロビーに入るが…そこに奴はいた。
「やぁ!また会ったな」
「どちら様ですか?」
「チッ、面倒臭いなお前…」
クレルが話しかけてきたので軽くいなす。
クレルは俺が突き放すとサッと立ち去っていった。
そのあっけなさに俺は驚いてしまった。
ゲーム時代もここまで冷徹なやつじゃなかったが…
「クレル!」
「なんだ?今更思い出したのか?」
「お…私は、あなたの事嫌いじゃないから…」
咄嗟に言葉が出てしまった。
だが、俺は何故かその言葉を言ったことに後悔は無かった。
だがクレルは、顔を紅潮させて、
「へ…へへっ、そんなに言うなら今日のところは引き下がってやるぜ...イリス」
と叫ぶように言い、猛スピードで廊下を走っていった。
最後何かを言っていたが、聞き取ることができなかった。
なんなんだ…
◇◆◇
そして、俺は102号室まで辿り着いたが…
なんか部屋からオーラが出てるんだが…
ずもももももという効果音が聞こえてくるようだ。
しかし、こんなオーラを放てる脅威が学院にはいたかな…?
学院イベントは最後までやってないのでこういうところで苦労する。
「し、失礼しまーす…ひっ!」
ドアを開けた瞬間、ブワッとオーラが強まった。
全身の毛が逆立ち、瞳孔も開いたような気がした。
冷や汗が噴き出し、生命の危機をバリバリに感じた。
俺、ここで死ぬのか...?
「………だれ?」
「ひっ!…ど、同室のユカリと申します…」
ドアを開いた先はリビングになっていて、奥に扉が2つある。
そのうちの1つから地獄の底から響くような声がした。
慌てて答える。
すると、ドアが開き、不機嫌そうなツインテールの少女が出てくる。
片手には古びた魔術書がある。
そして、ドアが開いた瞬間、オーラがふっと収まった。
「怖がらせてごめん。ちょっと実験をしてたの」
「いえいえ、謝らなくとも」
「そう、わかったわ。」
少女はリビングのシックなソファに魔術書を放り投げ、
煩わしそうに前髪を仰いだ。
「私の名前はベル。古代魔術専攻よ。」
「古代魔術って、再生魔術とか源流魔法のことですか?」
「よく知ってるじゃない、現代の魔術師どもが軽視する重要な魔術ね。」
古代魔法はほとんどが現存しておらず、眉唾なので現代魔術師からは軽視されている。だがその効果は強力で、再生魔術は治癒魔法の上位魔法、源流魔術はあらゆる魔法の上位魔法と相当に強い。こういう人に土産にするなら、こういうものがいいだろう。
「ビルドウェポン、古代剣」
俺の手に、文様が刻まれた古びた剣が出現する。
その剣を見た瞬間、ベルの顔が驚愕に塗り替えられる。
「そっ、その剣は何?いきなり現れたようだけど...これも古代魔術なのかしら」
「私は武器を自由に作り出し操れる。そのうちの一本がこの剣。古代魔術を秘めているはず」
研究材料に、と言う前にベルは剣をひったくり、奥の部屋へと消えた。
どうしようかな...と思うが、武器の詳細はステータスメニューから確認可能なので、見てみる。
古代剣 ☆0 Lv.350 特殊級
武器耐久:300/300
武器魔力:100/100
〈武器スキル〉
エンシェントスラッシュ:Lv1
まだ耐久は減ってないようだ。だが、しばらく経つと耐久が減少し始め、同時に武器魔力もじりじりと減り始めた。そして、武器魔力が先に尽きる。
「ちっ、魔力が尽きた...魔力充填!」
そんな声が聞こえた後、武器魔力が少し回復する。
しかし武器耐久は減ったままなので、いずれは...と思っていると武器耐久が急激に減り始めて0になり、バキン!と音が扉の向こうから鳴った。
直後、ドアがバンと音を立てて開き、出てきたベルに俺は掴みかかられた。
「ちょっと!壊れたじゃない!また作って!」
「ダメですよ、短期間じゃそんなに沢山作れません!それにこんなに早く壊れるって一体何したんですか!?」
「ちょっと...耐久負荷実験を...その...」
「貴重な古代の遺物に何してるんですか?」
「だって...いくらでも作れるって...」
「一応タダじゃないんですよ?なんてことを...」
「だって...だってぇ...」
問い詰めると、ベルは嗚咽を漏らし、ついには泣き出してしまった。
まずい、贈り物で懐柔しようとしたら問い詰めすぎてしまった...
ここは別の武器で誤魔化そう。
「ビルドウェポン、古代弓!」
俺の手に古びてはいるが美しい彫刻の残る材質不明の白い弓が出現する。
それを俺はベルの前にかざした。
「...どうして?」
「あなたが悲しむのが、お...私にとってはとても辛いから」
「え...」
最近咄嗟にイイこと言っちゃうのが黒歴史確定だな...
だが、ベルにはそれはクリティカルだったようだ。
「う...うん!私、頑張るから!次は壊さない!」
と叫びながらドアの向こうに走り去った。
なんなんだ...
とりあえず俺は、自分の部屋へと向かおうと足を踏み出した。
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