Ep-133 本選7 アスキー対アヴァロン(中編)
きょ、今日中だぁ......
誰が何と言おうと今日中に投稿したんだぁ.......
「ハァアアア!」
アヴァロンが全身から魔力の波を放って、迫る爆筒を誤爆させる。
(いつまで、こんな事を続ける気だ?)
アヴァロンは、先程から何発も何発も、尽きずに飛んで来る爆筒を眺めていた。
ここで感情的になっては、未知の事態に発展する。
そう思ってはいるが........ずっと抑えて来た自分の、”竜”の感情が叫ぶ。
こんな地味な小競り合いなどやめて、本能の赴くままに奴へと掴みかかり、殺せと。
だが..........
(リンドヴルム..........!)
こちらを冷静に見つめているだろう、竜族の帝王。
彼のことを考えれば考えるほど、それは賢くない選択だと思ってしまう。
今だって、そうだ。
——————竜帝。
それは、決して自分が考えていたほど易しい地位ではないのだと、
アヴァロンは考えた。
リンドヴルムなら、きっとこの状況を素早く打開して見せただろう。
少なくとも、自身の上位の存在に気を遣うなどせずに。
一方、アスクレイ側では。
アスキーは目の前の計器を見て、厳しい顔をしていた。
(魔力残量が心もとありませんな.........こちらから持ちかけた勝負とはいえ、予備の魔力タンクを使うのも............仕方ありませんな、魔導砲を切り、短期決戦に持ち込むとしますかな)
アスキーは少し考えた後、そう決めた。
先程とは逆の手順を取って発射装置を収納し、
魔導砲のスイッチを.....切る。
そして同時に、向こうからのブレスも消え去った。
両者の思考は一致し、激しく激突する。
「オオオオオオォォォォ!」
「おおおおおおおおおおっ!」
アヴァロンが腕を竜の物に戻して、駆ける。
それを避けるように、素早くアスクレイがその巨体に似合わない回避を取る。
そして、両肩から魔力の砲弾が放たれアヴァロンを撃つ。
だが.....
「それが効かないって、見てれば分るだろう!?」
「無駄、そう無駄ですな.....」
アスクレイの残った右腕、それが前へと突き出されそこから魔力の矢が飛び出る。
だが、アヴァロンは連射されたそれらを易々と振り払って、アスキーへと肉薄する。
「ちっ、やりますな.......」
「終わりだ」
アヴァロンが、口腔を大きく開ける。
眩いばかりの光が、喉奥からアスクレイを照らし...........
キュイン!
その光に照らされるように、アスクレイが水色の光に包まれる。
アヴァロンの顔が驚きに包まれ、アスクレイがその場より消失する。
ブレスは空を切り、アヴァロンは周囲を見渡す。
「転移......やられた、どこに.........!」
周囲を見渡すアヴァロンに、影が差す。
「上か!」
アヴァロンは上へと顔を上げ、ブレスを放つ。
だが..........
「アスクレイ、緊急防御結界起動!」
アスクレイの全身を、今度は緑色の光が覆う。
それらはすぐに透明な膜となってアスクレイの周囲を覆い、ブレスを完全に受け止めた。
下向きになっていた発射装置が炎を噴き、アスクレイは勢いを完全に無くして、重々しく地面へと降り立った。
アヴァロンがそこに、再びブレスを放とうとするが.............
パシュ
アスクレイから、円筒のようなものが射出され地面へと転がった。
「なんだ、これは......」
アヴァロンは一瞬疑問の声を上げたが、
即座に爆筒を思い出し身を引いた。
直後、円筒状の物体は爆発し、ねっとりとした爆炎...........ではなく、
白く濃い、霧のような気体を噴き出させた。
「..........煙幕か!」
直後、アスクレイのいた場所から水色の発光。
これで、アヴァロンはアスクレイの場所を把握できない。
アヴァロンは気の使い手でもあるので、空間把握には長けているはずだ。
なのだが.......
(どういう訳か、この煙幕は気を通さないのか.......)
煙幕はただの目くらましという訳では無いようだ。
どうすればいいと思案していると、空気の揺らぎを感じた。
「そこか!」
素早く振り返ると.........
そこには、煙幕を突き破って飛んできた、鋼の拳があった。
「ぐ!ぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
アヴァロンは避ける事も出来ず、全身を激しく殴打する。
だが、何とか受け身を取って地面に着地し、自分の受けた傷を確認する。
(............骨を幾つかやられた。鱗は........魔術には強いが、流石に無理か)
アスクレイの右拳は純粋アダマンタイトでコーティングされているため、
あらゆる魔法の武具を貫く性能を持っている。
成金武器と侮るなかれ。成金武器も、使い手が巧ければ強くなるものだ。
アヴァロンの眼前で、腕が素早く引き戻されていく。
(腕が使えないのは今だけだ、行くしかない!)
アヴァロンは傷だらけの身体を見渡し、素早く判断を下して前へと走り出す。
腕を追い抜き..........煙幕を抜ける。
そして................
「届けぇぇぇぇええええええ!」
竜の腕が、アスクレイの腕に向かって振り抜かれ.....
ズズゥン.....
アスクレイの右腕が切り落とされ、地面へと落下する。
もう、残るは両脚だけである。
だが.......
「爆筒発射装置、発射準備完了、高出力魔力砲発射準備、完了!」
再び、発射装置が前を向き、左肩の魔力砲が(右肩の魔力砲は爪撃を受けた時、壊れたのか動かなくなった)アヴァロンを捉える。
ドドォン!
爆筒が勢いよく放たれ、アヴァロンの至近距離で爆発する。
アヴァロンの鱗が剥がれた肉体を炎が焼き焦がし、アヴァロンは苦痛の声を上げる。
だが.................
「負け、るかぁ!」
アヴァロンのズボンから、竜の尾が飛び出し、スイングを披露する。
途端にアスクレイはバランスを崩し、膝をつく。
竜の尾の一撃を受け、アスクレイの左脚が切断されたのだ。
「なんと!」
「今度こそ.......終わりだぁ!」
アヴァロンが、全力でブレスを放った。
何の油断も無く、完璧で、完全で.......確実に仕留めるための吐息だった。
そして、もはや動くすべのないアスクレイは、何の抵抗も無くブレスに呑み込まれ————————
前中後編にしたのは、引き延ばしではなくアスクレイの魅力を十分に表現できていないと感じたからです。
アスキーの本気度も知ってもらいたいので。
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