Ep-132 本選7 アスキー対アヴァロン(前編)
すいません、告知なしで投稿をお休みする日が増えてくるかもしれません。
次からは出来る限り活動報告でお休みをお伝えしていきたいと思います。
ドォオオオン........
そんな擬音が聞こえてきそうな仁王立ちで、アスキーが構えている。
そして、その反対でも、竜族の男アヴァロンが腕を組んで立っていた。
「さて..........」
「..................」
アスキーが話しかけるが、アヴァロンは無言だ。
「始めますかな?」
ドゴオオオオオォォォン!
そんな音を立てて、遥か高空からアスクレイが落下してきて、綺麗に着地する。
凄いな、自動で姿勢を安定する機能付きか。
「................」
アヴァロンは黙ったままだ。
アスキーがアスクレイに乗り込む。
そして.........
「始め!」
始めの合図と共に、アヴァロンの姿がその場より消え去った。
後には、地面を強く蹴ったような足跡と、砂煙が残っていた。
俺はアヴァロンを見失ったが、どういう訳かアスキーはアヴァロンを補足していたようだ。
ドドドドドド!
アスクレイが右腕を構え、そこから魔力の矢が連続で放たれる。
それは、全く別の方向へと飛んでいき.........
「フゥ、中々やるじゃん」
そこに、突如アヴァロンが現れた。
高速で移動したように見えるが、それにしてはなんかおかしい。
魔法で姿を隠して移動したのかな?
「新装備、魔導大砲発射準備!」
左腕の、少し盛り上がった部分が開いて銀に煌めく大砲が姿を現す。
そして、そこに膨大な魔力が収束した。
「発射ァ!」
大砲が巨大な光をぶっ放し、それがアヴァロンへと飛んでいく。
だが..........
バキィイン!
光線はアヴァロンの右手で容易く弾かれた。
「悪いね。発想はいいんだけど........僕も負けるわけにはいかないから」
直後、アヴァロンは轟音と共にアスクレイへと急接近する。
だが、アスクレイもその動きに素早く対応した。
「何.....?」
「アスクレイキック!」
アスクレイが綺麗な蹴りを披露し、アヴァロンは咄嗟に手を十字に組んで防御する。
翼を大きく広げ、吹っ飛ばされた状態から素早く復帰する。
「金竜爪!」
「アスクレイシールド!」
アヴァロンが爪を振り、アスクレイが素早く左腕の盾を構え防御するが......
ガギィィイイイ!
アスクレイの左腕が、根元から切断された。
盾に放った後に、素早く斬り飛ばしたのかな?
けど、アスクレイの関節部分はオリハルコン製のはずなんだけどな........
「くっ.......魔力砲、キャノピーオープン!照準よし、発射!」
アスキーが素早く操作を終わらせ、両肩の大砲が火を噴く。
だが、どんなに強い大砲でも当たらなければ意味がない。
アヴァロンはそれらを、舞うように避けながら再びアスクレイへと接近する。
だが、放たれた魔力弾の内の一つが、アヴァロンへと命中する。
だが、それは軽い音を立てて消滅した。
「なっ..!?」
「僕はこれでも竜なんだ、そんなものは通用しない」
そして、アヴァロンがアスクレイの脚に向けて爪を振るい......
「ブロウフィールド!」
アスクレイから、瞬間的に物凄い勢いを持った風が放たれ、アヴァロンの身体を易々と吹っ飛ばす。
だが、その代償は大きかったようだ。
アスクレイに感じられた魔力がごそっと減ったのだ。
だが、まだ致命的という訳ではない。
アスキー、何をする気だ.......?
「バックパック、装甲解除!」
アスキーがそう呟きながら、コントロール・パネルの下にある、パネルで隠されたスイッチを押した。
すると、背中のバックパックが、まるで虫が羽を開くように二つに分かれて、ガランガランと音を立てて地面へと落下する。
装甲が剥がれ落ち、そこにあったのは.........
「爆筒発射装置、回転!」
砲口が下向きになった、何かの発射装置があった。
アスキーがコントロール・パネルのハンドルを回すと、連動するように発射装置が回転し、自動で上昇して肩に乗っかるようにして鎮座する。
「照準固定、発射!」
次の瞬間、発射装置から武骨な円柱形の何かが飛び出す。
アヴァロンはそれをちらりと見た後、
面倒臭そうに片手でそれを受け止めようとして.........
ドガアアアァァァッ!
ねっとりとした爆炎が、アヴァロンを包み込んだ。
つまり、アヴァロンが受け止めたそれが大爆発を起こしたのだ。
だが、それらは黄昏色の鱗に難なく弾かれて.............
「ぐっ、やる、ね...............」
弾かれはせず、爆炎は確かに鱗に傷をつけ、所々の隙間から雨水のように浸透しアヴァロンの肉を焼いたようだ。
アヴァロンは身体を押さえつつ、後退する。
その隙を見計らったように、アスクレイが膝をつく。
そして、コックピット下部分が変形し、大きな砲身が姿を現す。
「なんだ、アレは.........?」
アヴァロンが疑問の声を上げる。
アヴァロンは「アスキーマナブレイク」を知らないのか。
「魔導砲、発射!」
10秒かけて膨大な魔力が収束し、一瞬視界が真っ白に染まる。
それと同時に、砲身から極太の光線が放たれる。
安直な武装だが、この限られた空間なら、傷を負い動きの遅いアヴァロン相手なら.....
当たる!
「仕方、ないのか............ゥゥゥァァアアアア、ガアアアァァァアアア!」
アヴァロンの理知的で静謐な雰囲気が消え、その頭部が竜のもとへと変質する。
いや、元に戻ったという風が正しいか。
そして、その口からブレスが放たれた。
カッ
耳を劈くようなけたたましい音とともに、リンドの破壊的で威圧的なブレスとは違う、
細く、鋭いブレスがアヴァロンの口から放たれる。
大質量の『魔導砲』が、アヴァロンのブレスと相対し.......
激しくぶつかり合う。
ガガガガガガガガガガガガ!
二つの光線は、互いに噛みあって拮抗する。
巨大だが、その分全体の密度が薄い魔導光線、
細く、中心の密度が高いが、勢いが魔導砲に比べて弱い吐息。
ガガガガガガガガガ!
数十秒と経ったが、両者の形勢は全く変化しない。
だが、いずれ限界は訪れる。
一撃必殺の決戦兵器、『魔導砲』
自身の魔力を変換し放つ竜の必殺技、『吐息』
両者は有限であり、何時か終わりは来る。
誰もがそう思っていたのだが.........
ブレスを吐き続けるアヴァロン。
そこに、魔導光線に隠れるようにして見覚えのある何かが飛んで来る。
「チッ、爆筒か」
ブレスを吐きながら、アヴァロンはそれを瞬時に認識した。
だが、今ブレスを中断すれば、あの極光は自分を貫く。
逃げても、結界に衝突して自分も巻き込まれるだろう。
アヴァロンは諦め、前だけを見る。
ドガァン!ドドォン!
アヴァロンの至近距離で、爆筒が爆発を起こしアヴァロンの鱗を傷つけ、吹き飛ばし、焼く。苦痛に耐えながら、アヴァロンは徐々にブレスの出力を上げていく。
だが..........
「まだ、来るのか......!」
次々と、爆筒が飛んで来る。
それに耐えることが出来るのか。
アヴァロンはつい呻いた。
その頃、アスクレイの側では......
「第四空間格納、換装!」
カシュッという音が発射装置の中で鳴り響き、
アスキーの眼前に映るコントロール・パネルの計器のうちの一つ、[MISSILE HANGAR]と横に書かれたランプが全点灯する。
「発射!」
ランプが一つ消え、両肩の発射装置から爆筒が放たれる。
「俺も......負けるわけにはいかないのですよ、竜族!」
アスキーは再び、スイッチを押した。
発射装置が、爆筒を放つ。
アスキーは、自身の少し先でブレスを吐く竜族を想像し、睨みつけた。
メカVS怪獣大決戦です。
アスクレイはずっと設定固めてたので、この先も多分出てくると思います。
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