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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都大会編

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Ep-131 本選6 タツミ対ベラ

非常に遅くなりました。

こんなに遅れていても待っていてくださる皆様に感謝です。

「では...........行きます」

「ああ、どうぞ?」


両者が向かい合い、互いの武器......刀と杖に手を掛ける。


「始め!」


そして両者は、衝突する................

実況は、私ユカリ・フォールがお送りします。


「まずはアタシからだ!グランドクラック!」


地面が割れ、足場が悪くなる。

恐らく、タツミの試合を見ていて剣士であるタツミの弱点は足場を崩されることだと考えたのだろう。

だが.........


「.....行く」

「なっ.......速い!?」


タツミは凸凹の地面など知りはしないとばかりに、高速で移動し始める。


「ちっ、これでも結構考えてたんだけどねぇ!グランドスパイク!グランドスパイク!」


地面からタツミに向かって無数の杭が飛び出す。

勿論それらは攻撃の為ではなく、姿勢を崩し足を止めさせるためだ。

タツミはそれらを悉く躱していくが、そのうちの一つに蹴躓いた。


「もらった!ニュークリアフレイム!」

「................」


無言で動かないタツミに、爆風が向かい...........


(ことわり)返し」


それらはまるで、タツミに命令されたかのようにくるりと返ってベラを襲う。


「チッ、フレイムバリア!」


ベラは返された爆風を魔法で防ぐ。

そして、直ぐに魔法を多重起動した。

アレは........


「オーシャンコール!」


ベラを中心に地面が変化し、地面全体が水面に変化していく。

セシル戦でもやられた戦法だ。

俺だから何とかなったが、足場を奪われるのは剣士にとっては致命的————


「つまらない」

「ああん?負け惜しみか?ま、聞いてやるよ」

水鏡力走(すいきょうりきそう)!」

「「なにぃっ!?」」


ベラと俺の声が被った。

水に落ちるはずのタツミが、水面に立っているのだ。

しかも..........


「魔術じゃ、ないだとぉ.....?アンタ、やるねぇ!」


そう、魔術ではないのだ。

普通に、”気力”か”呪力”のどちらかなんだろうが.......

多分、気法....とかそんな感じかな?

水面をまるで地面の上に立っているかのように走りながら、タツミは水上を進む。

そして、ベラへと肉薄し........


「調子に乗るんじゃあないよ!ウォーターテンタクルス!」


オリジナル魔術だろうか、俺が聞いたことのない詠唱と共に水面からいくつもの触手が姿を現す。


不斬撃(ふらずきり)


即座にタツミは触手を切り落とそうとするが....


「ハッハ、無駄無駄ァ!水の触手は水の上だから意味があるのさ!」


触手はすぐに再生してしまう。

タツミ、どうする.....?

すると、タツミは刀を素早く逆手に構えた。

タツミは後ろを向いているが、別席の分身からはタツミが目を閉じている事が分かった。


「竜脈断ち」


そして、絶技が放たれる。

タツミが逆手に構えた刀を素早く元に戻す瞬間、不可解な斬撃が一瞬巻き起こり.....


「なっ......水の触手が!?」


全ての水の触手がたった一刀のもとに力を失い、ただの水となって崩れ落ちた。

それだけではなく.......


「くっ、大海生成術が........アンタ、この術式まで知っていたのか!」

「............」


タツミ、凄え.....

何しろ、ここまで呪王の力を一切借りていない。

これが、トーホウ刀術の最高峰って....ことか。

タツミは何も言わず、ベラに向かって刀を振るい...............


バキィイイ!


「っつぅ!?」


タツミの刀が突如魔力を帯び、手から弾き飛ばされた。

それを見て、ベラがほくそ笑む。


「ハッハァァ、大成功だな!アンタら剣士が一番嫌がる、武器を奪う魔術!これで何もできないだろう!」

「くっ......油断した!」


あ、なるほど..........タツミが油断した隙をついて刀に魔術をかけて奪い取ったのか。

刀が奪われたタツミに、再び生み出された水の触手が迫る。

更に.......


「おまけつきだよ!」


水の触手は雷を纏っていた。

本来なら純粋な水は電気を通さな....って、科学の知識をファンタジー世界で語ってもしょうがないか。

とにかく、タツミがあの大量の雷を内包した触手を受ければ、まず間違いなくショック死するか、一生まともに動けなくなるかの二択だ。


「フウカ、頑張れ!」


俺は声を上げ、タツミを応援した。

最近気付いたけど、タツミはフウカが名前で、それは殆ど呼ばれない。

なら.............


「ふふ.......呪王、お借りするわよ」

『心得た』


タツミが仮面を身に着け、剣士に似合わぬローブを身に纏う。

そして.........

風が目に見えるように収束し、一振りの刀となる。

タツミはそれを、撫でるように振った。

風を交えた斬撃が、水の触手を斬り、吹き散らす。


「多少姿が変わったくらいで、粋がるなよ!」


ベラから爆炎が放たれ、タツミを襲うが.......


「無駄だ!おおおおおおお!」


タツミが爆炎を全身に纏い、自分の気力と融合させる。

あれは魔気統合術という技術らしい。

だが、タツミは多分自然にやってるので、体系化はされてないんだろうな。


「なっ、アタシの炎を纏っただと!?」

「そうだ!これこそが........爆炎だ!風と炎は交わり強まる!死ねぇ!」


豹変したタツミが刀を振るう。

轟音と共に、数倍にも膨れ上がった爆炎がベラを襲った。


「チッ、フレイムバリア!..........なっ、きゃぁあああああ!」


しかし、フレイムバリアでは防げなかったようで、障壁は一瞬で砕け、ベラは吹っ飛ばされて地面に転がる。


「わ、アタシは.........〈魔導王〉....!こんな、こんな剣士なんかに...............負けるか!」


ベラを中心に、超巨大な魔法陣が展開される。

これは..........!


「エレメントフィナーレ!」


隕石のように降り注ぐ、無数の炎弾。

津波のようにゆっくりではなく、濁流のように襲い来る魔の水。

ダンタリアンほど激しくはないが、数百数万と数を成して襲い来る雷。

そして、肉眼に見えるほどの暴風。

中級、いや上級魔法使いですら怯える、魔力の真髄がタツミに迫った。

だが.........


「未熟.....だ」

「なんだって?アタシの全力が未熟だって?なら........受けてから言ってみやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっ!」


それらが、一斉にタツミへと襲い掛かる。


「こういうものは、初めに出すべきだと思うが?」


タツミは、まず炎弾に目を向けた。

そして一振り。

それだけで魔力を吹き散らされ、炎弾の雨は消し飛ばされた。


「水、か.............もっとも簡単で、愚かな魔術だ」


二振り。

水はタツミを避けるように二手に分かれて、流れ去る。


「美しくない。あの魔王のように、雷は奇麗で、幻想的でなくてはいけない」


雷は全て、タツミの前に撃ち落された。

そして..............


「風は最も高貴たる存在、それを穢すのは......万死に値する」


タツミは、残った風すら無慈悲に薙ぎ払った。

そして、呆然とするベラに、刀を叩き込んだ。


「がはっ.......」

「終わりだ」


タツミは残心の後納刀し、仮面を脱いだ。

ローブもまるでそれが幻想であったかのように消え去った。


「勝者、タツミ!タツミ・フウカ選手!」


観客は、一斉に歓声を上げた。

それに、タツミは応えず.....

ただ、俺の方を向いて手を振った。




後日、タツミの戦いの様子が広まり、『爆風の剣士』と名が付いて、教えを請いに沢山の人がタツミのいる学生寮へと押しかけたというが、それはまた別の話。























「巽風華...........何故巽の者が王都へ。まさか........?」


思わせぶりな表現を出しましたが、タツミの過去は結構先に明かされることとなります。




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