side-10 バレンタイン
前回書いたほうが知能低下主人公みたいで酷すぎたので改良版です。
ちょっとした考察要素も含んでいます。
ガタッ、ドサドサドサ————
俺の隣の友人にして最高の相棒である■■■が下駄箱を開けると、そこから大量のチョコレートが音を立てて流れ落ちた。
「.......凄いな」
俺は思わず、そう呟いてしまう。
すると■■■は、くすっと笑って、
「君ほどじゃ無いだろ?」
俺が下駄箱を開けると、同じように大量のチョコレートが音を立てて流れ出した。
たっぷりの溜息を俺は吐き出す。
「全く、何で俺なんかに?」
「君には、顔や身長以上のもの、人としての魅力があるからじゃないかな?」
そう言って、■■■は微笑んだ。
「俺に魅力なんかあるかよ」
「そうやって決めつける、君はどれだけ自分が残酷なのか分かってないね」
「...........行こうぜ」
「そうだね、行こう」
俺と■■■は、肩を並べて歩き出した。
◇◆◇
教室につくと、俺はいつも通りの恐ろしい光景を目にした。
「..........なあ■■■、これってイジメだよな?」
「そう思われても仕方のない光景だよね......毎回」
机の上に大量のチョコレート、引き出しの隙間に大量のチョコレートがある。
これが恐怖を抱かずにいられるのなら、きっとそいつは本物のモテ男だろう。
「.........やっぱり俺が人間的な魅力云々は、嘘だろ?」
「君が他人を惹き付ける人間なのは間違いないよ、僕だって元々は君に興味なんてなかったのに、君が傘に入れてくれたその日から、君を気にせずにはいられないようになったし?」
「おいよせ、男同士だろ」
「やだなあ、ただの友情だよ、これは」
俺たちは笑い合いながら、教室へと入る。
すると、気付いた女子数人が俺に向かってくる。
何かを察したのか、■■■は俺から離れていく。..........裏切ったな!
「あっ、恭介君」
「これ、直接渡したかったの!」
お前らよくよく考えたら別クラスだろ。
だが、無表情で受け取るのも悪いので、俺は微笑んでそれを受け取る。
「ありがとう」
「だっ大丈夫.......」
「□□■さん!? 誰か、手伝って!□□■さんが死んじゃったわ!」
やべ、悪い事をしてしまった。
俺の笑顔が気持ち悪すぎて、何かあるとすぐ倒れてしまう□□■さんには耐えられなかったか。
慣れないことはするべきじゃない。
俺は席に着き、中に大量に入っているチョコレートを取り出し一個一個誰のものか見ていく。
流石に純粋に俺が好きだからと渡す人間はいないだろうし、思わせぶりな態度を取って俺を弄びたいだけだろう。....けれど、お返しをしないとホワイトデーでつるし上げを喰らいそうなので、俺は仕方なくチョコレートの送り主をノートの端にメモっていく。
「〇〇〇さん........毎年くれるな...これは▽▽▼さんからか。全員に用意するの、大変じゃ無いのかな.....」
俺は何とか数十個にも及ぶチョコレートを捌き、鞄に纏めて放り込む。
授業の準備をしていると、後頭部に何かが押し付けられる。
「ねえ~、そんなゴミ捨てちゃって、私の気持ちを貰ってよ~」
「勘弁してくれ.......」
俺の後ろにいるのは×××さん、クラスの中心であるギャルの女子だ。
絡みが怠すぎな上に恣意的なのが見え見えで、いっそ清々しい。
俺は適当に×××を振り払う。
×××は残念そうな顔をして俺から離れる。
「□□□、お前はいいよな...........」
「どうしてだい、恭介?」
□□□は心底不思議そうな顔で訊き返す。
お前、本気で言ってるのか.........?
「向けられた好意が、全て本物のお前が羨ましいって事だよ」
「またまた、冗談を————君の方こそ、羨ましい限りだよ。」
「俺が羨ましい? どうして?」
別に俺は平凡非才で、この完璧人間に羨ましがられる要素なんてないが......
「その程度のことも分からない、そんな恵まれた環境が羨ましい、僕はそう思うけどねえ」
「うむむ.......」
マジでわからん。
俺が羨ましく思える事なんて、こいつには無いだろう。
放課後、俺は□□□と共に教室の掃除をしていた。
俺が掃除をするなんてとんでもないから代わろうかなどと冗談を飛ばす輩を無視して、俺は古めかしい箒を手に取った。
□□□はモップだ。
そもそも、こいつは今日掃除当番ではないような気がするんだが.......
それについて尋ねると、
「そりゃ、君を————いや、君を手伝ってやれば少しは早く終わるだろ? 僕は一人で帰るのは嫌だよ」
「子供かよ」
「はは、言うじゃないか」
俺はゴミを一か所に集め、掃除機でまとめて駆逐する。
綺麗になった床の上を、□□□がモップで綺麗にする。
そうして、他のメンバーと一緒に机を元の位置に戻せば終わりだ。
俺は掃除機を片付けつつ、前から気になっていたことを尋ねる。
「そういえば□□□、オークストーリーオンライン、って知ってるか?」
「え?! ああ、知ってるよ? それがどうかしたのかい?」
唐突に俺が訊いたので戸惑ったのか、一瞬柄にもなく大きな声を出して□□□が答える。
「お前、そのゲームやってたりする?」
「す、するけど?」
「プレイヤー名教えてくれよ」
クランの枠が余っているので、フリーのプレイヤーは大歓迎だ。
「えっと、デ、デュー.......そもそも、何でプレイヤー名? 待ち合わせをすればいいじゃ ないか」
「いやさ、クランメンバー勧誘したいんだ」
「あー、じゃあ他を当たって。僕は既にクランに所属してるから」
「そうなのか?」
「うん、レベル800の人で凄く謙虚なクランマスターがいるんだ」
「そっかー..........」
新規メンバーを迎えられないのは残念だが、充実したクランにいるらしい親友に物事を強いるわけにもいかない。
俺は諦めて、話を打ち切ることにした。
「じゃあしょうがないか。.........っと、終わったな、帰るか?」
「そうだね、帰ろう」
俺たちは鞄を背負って、教室を出ていくのであった。
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