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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都大会編

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side-9 激戦!節分イベントバトル

節分回です。

ここいる?(素)

「えっ?」

「だから、豆まきだよ」


俺は疑問の声を上げるヘルメスにそう言った。

ヘルメスは心底残念そうな顔をして、呟いた。


「二人きりで何のお話かと思ったら......豆まき?」

「そう、豆まきだ」


俺は今日だけ開催される、毎年恒例のイベント、豆まきイベントレイドボスを倒すイベントの話をした。

豆はプレイヤーの通常攻撃のダメージを反映し、豆をぶつけることでボスのオーガにダメージを与えることができるのだ。

そして、与えたダメージの総計でオルクが貰える。

ダメージ数で1位になれば、それこそ最近フリーマーケットで見た、最高品質の武器だって...........ああ、ウェポンマスターがフリマに並んでる商品も記憶できたらいいのに。

俺は何故か嫌そうな顔をするヘルメスの手を引いて、カーラマイア中心部へと向かう。

中心部近くの大公園で、メンバーを募集するためだ。


「..........なるべく総合戦闘力の低いフレンドも招待しよう」


〈超越者〉の面々などに来られてしまえば1位など夢のまた夢。

俺は適当に100人ほどいるフレンド欄をざっと見て、オンラインのメンバーの中から

なるべく戦闘力の低いプレイヤーを招待する。


「最低ですね」

「うん、最低だな。」


しかしあの莫大なオルクを手に入れるにはこれしか——————


「ようユカリ!豆まきのパーティ募集か?俺も入れてくれ!」

「ぎぃやあああああああ!」

「どうした?そんなモンスターの断末魔みたいな声出して」


全てが無駄になった。

〈超越者〉であるロイがいきなり現れ、俺が何をしているかまで当てて来たのだ。

こうなると断りづらい。

しょうがないので招待を飛ばし、パーティに入れる。


(ロイだけなら2位だし、いいか........)


俺はそう自分を納得させたが......


「マリエルとミーシアも呼ぶか!お、丁度オンラインじゃねーか!」

(やめてぇぇぇぇぇ!)


大魔導士(グランドメイジ)〉のマリエルと〈双弓使い(クロスシューター)〉のミーシア。

どちらもレベル1000を越えた〈超越者〉だ。

〈大魔導士〉マリエルは通常攻撃に魔法攻撃力が乗る。

〈双弓使い〉のミーシアは通常攻撃の威力がスキルよりも高めだ。

この二人が来れば........2位など不可能だ。

俺は落胆しつつも、この程度で済んでよかったと思った。


◇◆◇


数分後、メンバーがそろった。

10人のパーティメンバーが勢ぞろいし、その手には豆がたっぷり入った升を持っている。


『3』

『2』

『1』


カウントダウンがゼロになり、皆が一斉に豆を掴む。

俺も豆を掴み......


「いけぇぇぇぇぇ!」

「おらぁぁぁぁあ!」


全員が全員豆を投げつけ始める。

豆が鬼に当たるたび、凄まじい数値のダメージ表示が出る。

中でも、ミーシア.......俺は初めて会うのだが、色の薄い美人アバターかと思いきや中身は中々に苛烈だった。

怖いくらいの勢いで豆を投げている。

だが.................

俺も負けてらんねぇ!

俺も豆を投げて投げて投げまくる。

そして.................


『GUGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!』


鬼が激昂モードに入り、全身から紅い光を出してこちらに攻撃を加えてくる。

俺たちは振り下ろされた腕を素早く回避し、

腕の関節に光る.......弱点を狙い撃ちにする。

しばらく戦い続けていると、弱点の光が消え失せる。

俺たちはすぐに次の弱点.......背中を狙い撃ちにしようとするが、


ズドォォォォン!ズドォォォォン!


鬼が足踏みし、衝撃波と共に地面が隆起、陥没する。


「足元に気を付けろ!俺が誘導する、その隙に背中を狙え!」


ロイがそう叫ぶ。

流石は超越者、指示も手慣れてるな。

ロイは大きく飛び、鬼を殴りつける。

あれでダメージは発生しないが、ヘイトは確実にロイが取ったな。


「ダッシュアタック!」

「ルーンブラスト!」

「エアーダッシュ!」


パーティメンバーたちが一斉にスキルで移動していく。

俺も遅れてはいけないな。


「空転・影月!空転・天突!」


俺は空へと小刀をぶん投げ、その位置まで一気に跳ぶ。

そこから上に落ち、弱点の背中の前へと移動する。


「おおおおおおおおおおっ!」


俺は出来る限りの速度で、豆をぶつけ、ぶつけ、ぶつけまくった。

そして弱点が移動する。

最後は.........頭か。


『GAAAAAAAAAAAAAAAA!』


鬼が全身から真っ赤な光を噴き出させながら、滅茶苦茶に暴れる。

頭を狙うのは困難だ。

だが........


「俺は行くぞ!」

「よくぞ言った、俺も行く!」

「僕も行きますよ」

「1位を狙うわ」

「..........ユカリさん、ごめんなさい」


俺が暴れる鬼へと突っ込む時、ロイ、マリエル、ミーシア、ヘルメスが追随してきた。

負けるか!


「空転・雷動!」


俺は迫ってきた拳を素早く空転・雷動で躱し、

更に俺を吹っ飛ばそうと振るわれたのであろう片方の手を見る。


「空転.......瞬突ッ!」


俺の姿はその場から消え、拳が空を切る。

次の瞬間俺は、鬼の足元へと転移していた。


「行くぞ!空転・跳躍!」


俺は鬼の脚、胴体を一気に跳躍で駆けあがり、

弱点である鬼の顔の前へと躍り出た。


「これで.........」

「終わらせない」

「残念だがユカリ.......お前にばっかり美味しい思いはさせないぜ!」


ミーシアとロイだけが、あの攻撃を掻い潜って、俺の後ろへと近づいてきていた。

今この瞬間、豆を投げても.........彼らの基本攻撃力には及ばない。

なら..........


「ええい、ままよっ!」


俺は升をぶん投げ、中に入っていた豆を全て鬼へと食らわせた。


—WIN—


俺の投げた豆は確実に鬼の最後の弱点を潰し、鬼を大地へと倒れさせた。

この勝負.......俺の勝ちだ!

そして、リザルトが出る。

..............................は?

俺は思わず、心の中でそんな声を上げた。


1位:ヘルメス


何故かヘルが最高順位で勝利を収めていたのだ。

同じく画面を見て疑問符を浮かべる〈超越者〉の面々。

だが俺は、直ぐに正解にたどり着いた。


「そうか、勇者ってスキルが殆ど使えないから、通常攻撃が..........」

「強力な上に熟練度ボーナスが溜まりやすいってわけか..........」


このゲーム、通常攻撃は「武器の性能」「基本攻撃力/魔法力」「熟練度」で決まり、

勇者(ブレイバー)〉はパッシブスキルによって強力な通常攻撃バフが掛かる。

よって、この戦いにおいて「武器の性能」は関係せず、〈超越者〉が〈勇者〉に負けたのだ。


「なるほどねえ.....」

「してやられたぜ!」


愕然とする面々。


「あ、あの.....ユカリさん、2位が嫌なんでしたら、獲得したお金は全額........」


ヘルメスが俺を気遣ってそんなことを言ってくるが、

俺はそれをやんわり断る。


「いいさ、たかが500億オルクなんて稼ぐ手段はいくらでもある」

「で、でも私がこんな大金、手にしても........」

「俺みたいな中級者(ミドル)より、初級者(ビギナー)の方が色々と入用だぜ?それで武器でも買えばいい」

「そ、そうですか.......」


良い事したなー、と立つ

俺の肩をロイがつつく。


「何だよ」

「お前、中級者か?立派に上級者(エキスパート)だろ」

「黙れよ超越者(グランドマスター)。アケミさんに比べたら俺はまだまだ中級者だ」

「はぁ.....若いっていいねえ」


ロイはそのまま戦場から離脱していった。

他のPTメンバーも、〈超越者〉の面々も挨拶と共に消えていった。


「ユカリさんは帰らないんですか?」

「俺はちょっとここを見ておきたいから、先に帰ってて」

「は、はい!」


ヘルメスが帰ったので、俺は誰もいなくなった戦場を俯瞰する。

......................お、あったあった。

俺は鬼の死体の陰にある宝箱を開ける。

するとそこには、1000億オルクと、その他超貴重品が入っていた。


「だあれも気が付かないんだよな、これ。運営はこういう事するから油断できない」


俺はそう呟き、金とアイテムをインベントリに放り込んでその場を後にした。


なんか新しい要素としていいね機能が出来たそうなので、

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