Ep-125 本選4 アラド対アローン(前編)
今のところエターナルバンドクランの中で、機械を使って戦うのはアラドだけなんですよね。
仲間で言うならアラドとアスキーなんですけど。
「始め!」
合図が響き渡る。
それと同時に、俺は目の前の男..........アローンに斬りかかった。
だが、その一撃は防がれる。
「硬いな.....」
「おうよ、防御しか取り柄が無いもんでな」
そう、俺の前の前に立つ巨大な盾を持つ男が言った。
その表情は微笑みだった。
(不気味だ.......)
俺は不気味さを覚えながらも、剣を再び上へと構える。
そして振る。
だがそれは、再び弾かれた。
何故か、俺の剣の一撃は全て吸い込まれるようにあの男の両腕にある、脆そうな盾に弾かれてしまうのだ。
「チッ.....!」
「焦ることはない、ゆっくり慎重に攻めるがいい」
アローンは俺に優しく語りかける。
相当に年老いているのもあってか、まるで孫にものを教える爺のようだ。
だが、油断はできない。
「とぉ!」
「ッ!!」
アローンが放った蹴りが、俺の剣を弾き飛ばす。
そしてアローンは両手の盾を合わせて、叫んだ。
「シールドチャージ!!」
次の瞬間、アローンがまるで馬車のように走ってきた。
俺は対応できず、その攻撃をもろに受けてしまう。
「がっ..........!」
気が付くと目の前は青空だった。
地面に転がっていたのだと気付いた時、空に一点の黒点が現れた。
それが何かを瞬時に判断した俺は、腕に仕込んだ魔道具を起動させる。
「〈ウェポンコールバック〉!〈ポジションスワップ〉!」
俺の位置が事前に投げておいた魔石と入れ替わり、剣が俺のもとへと飛んで来る。
剣の柄を握り、俺が元居た場所を見る。
そこに、アローンが落下してきた。
ただの着地ではなく、激しい衝撃が巻き起こり地面が陥没した。
スキルか.........
「マグナ・シュヴェーアト!」
俺は剣に魔力を流し、アローンへと斬りかかる。
だが、それらも防がれる。
「ッ........何で防げる.....?」
「言ったじゃろう、防御だけが取り柄、じゃとなあ!シールドキャノン!」
盾が発光し、そこから魔力の弾が飛び出した。
「........仕方が無いか。マグナ・シルト!」
俺は地面に剣を突き刺して魔力を流す。
すると地面から半透明の壁が現れ、魔力の弾を弾く。
俺はそのまま剣を地面から抜かずに、魔力を流した。
「.......マグナ・シュヴェーアト...........リス!」
地面が割れ、アローンのもとへと地割れが迫る。
「無駄じゃよ。」
アローンはそれを飛んで回避しようとするが.....
「それを待っていた!リヒト・カノーネ!」
俺は素早く剣を引き抜き、まだ空中にいるアローンへと放った。
当たる!俺は剣に魔力を纏ったまま、アローンへと素早く駆ける。
「ぬぅぅ!フェーズシールド!」
「何!?」
リヒト・カノーネはいきなり空中に現れた半透明の盾で防がれた。
何だ....アレは?
ともかく、立ち止まっていては敵の思う壺だ。
俺は思い切り踏み込み、アローンへと肉薄する。
「アインス・シュヴェーアト!」
連続の魔力消費に、気分が高揚する。
だが..........
「どおおおおおおおおお!」
「ぬああああぁぁぁ!」
全力の一撃すら、
アローンの盾に吸い込まれてしまった。
「おお、若いのう......じゃが、それが命取りよ!さもなければ、儂の若い頃のようにすべてを失ったりはせんかったじゃろう!」
「お前と昔話をする気はない」
俺は斜め、横、斬り上げとアローンを攻撃するが、一向に盾を突破できない。
ならば、これしかないか。
「アインス・シュヴェーアト・ドラッヘンナーゲル!!」
「ぐぉおおおお、これは中々、腕に来るのう」
新しい技であった竜爪も弾かれた。
だが、まだ、まだだ!
「ツヴァイト・シュヴェーアト・ドラッヘンナーゲル!」
もう一段階、上げる!
バキィィィン!
俺は通常の魔物なら容易く両断できる一撃を、何度も、何度も放つ。
だが................................................
「...................ダメか」
「ま、お前さんがその程度じゃったってことじゃのう......シールドチャージ!」
「ぐあっ!」
俺は吹っ飛ばされ、また地面に転がった。
だが.....剣はまだ手に握られている。
ならば.........
「これで、終わりじゃ!」
再び空より、落下してくる爺を見つめ、俺は覚悟を決めた。
もはや小手先の強化では足りない。
一気に行く!
「大大剣形態以外での仕様は不安だが...........ゼクス・カノーネ!」
何の飾り気もない、ただの大剣。
だが.....今だけは、竜だって倒せる!
膨大な魔力が流された大剣が、眩い光と共に、全ての魔力をアローンへと放出した。
「ぬお、これは....................!」
「さらばだ」
直後、アローンにゼクス・カノーネが直撃し.....
魔力の大爆発を起こした。
結界が震え、凄まじい風圧が地上を襲った。
だが、倒れている俺には問題ない。
ビキッ
俺がふと剣を見ると、ヒビが入っていた。
「無理をさせたか」
帰ったらベルに平謝りするしかないようだ.....と内心恐れていた俺だったが、
次の瞬間、別の恐怖で震えた。
爆発で起こった粉塵の中から、何かが落下してきたのだ。
それは..........無傷、いや...多少負傷したアローンであった。
「さて............第二ラウンドかのう?」
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