Ep-123 本選4 ベル対アイ(前編)
小説では!や?の間に半角スペースを入れるそうですね。
なるべく修正していきたいと思います。
手枷がなくなった少年がベルと対峙する。
「あれ?手枷はどうしたの?」
「...........プロメテウスがキレてご主人様を殺した。今の僕は主人なき奴隷だ」
「あっそう」
『随分と淡白な反応であるな』
「奴隷がこっそり貯めたお金で主人を殺してもらうとか、割とよくあるわよ」
溜息をつくベル。
それに呆れたような声を上げる杖だった。
「........僕は引っ込むことにするよ。これは....プロメテウスと君との戦いなんでしょ?」
「まあそうね」
「じゃ................」
少年の姿が変化し、紅い髪を持った姿へと変化する。
身長が変わらず、威圧感は変化しないが....
その華奢に見える身体に鎧が纏われていく。
「さて........ダンタリアァァァァン! 説明してもらうぞッ! あの誇り高いお前が何故人間ごときに力を貸してるのかをなああ!」
「始め!」
アナウンスの声が鳴り響き、
アイ.........いや、プロメテウスが猛然と飛び出す。
「来ォォォい! 我が剣よ!」
プロメテウスが叫ぶと、その手に巨大な大剣が現れる。
プロメテウスはそれをベルに向かって無造作に振り下ろした。
ギィィィン!
ダンタリアンの魔杖が輝き、大剣を弾く。
それにプロメテウスは顔を顰める。
「喋らねえつもりかァァァ? なら、喋らせてやろう!」
プロメテウスは力任せに剣を振り回し、ダンタリアンの張った結界にぶつける。
だが........結界はびくともしない。
「んがあああああああ! 舐めやがって、こんな結界...........こうだああァァァァ!!」
プロメテウスは剣を地面に叩きつけた。
そこから爆炎が噴き出し、ベルに向かって突き進む。
『ベルよ、避けるぞ』
「どうして?」
『アレはちとまずい。我でも防ぎきれるか分からぬ』
「そう......」
ベルは、急いで爆炎を避ける。
ベルに当たらず直進した爆炎は、結界に衝突し爆発する。
それだけで結界が震撼したが、消えない。
前回の反省を生かし、より強化されたものを展開しているのだ。
「どうした、ダンタリアンンンンン! 怖気づいたか!」
遠くでプロメテウスが地団駄を踏んでいる。
その度地面から炎が噴き出し、周囲の気温を上げていた。
「ねえ.......」
『何だ?』
「プロメテウス.......さんって、凄く......その........」
『面倒臭い奴だな。それは我も重々承知よ』
勝手に激昂し周囲を破壊するプロメテウスに、ダンタリアンが呆れた声を出す。
「今度はこちらから行くわ!〈千雷万彩〉!」
『黒王招雷!』
空から黒い雷が落ち、プロメテウスを穿つ。
そして、そこに複数の雷球が発生する。
それらの雷球は一瞬で結界を形成し、プロメテウスを縛る。
「ガアア!?何だこれはァァァ!」
縛られて身動きが取れないプロメテウスに、結界の閉鎖空間内での雷の爆発が起こる。
バァァァンと軽い爆発音がして、周囲が閃光に包まれる。
「やった!?」
『ベルよ、そういうことを言うと…』
閃光を破って、赤い何かがベルに飛んできた。
だが、ベルは咄嗟のことに避けることができない。
『…仕方あるまい』
結界でも防げない。
そう察したダンタリアンは、力を解き放った。
ズガアァァァァァン!
ベルは衝撃で吹き飛ばされ、地面へと転がった。
だが、杖が無くなっていることに気が付いた。
「ダンタリアン?…嘘でしょ?」
しかし、返答はない。
「嘘って言ってよ! ダンタリアン!」
そして、辺りの土煙が晴れると…
そこには、ダンタリアンの魔杖で、プロメテウスの剣を受け止める、長身の男が居た。
『嘘だ。…これで満足か?』
「びっくりさせないでよ!」
以前はダンタリアンは魔法体を構成するとき雷の残滓が残ってしまっていたが、
完全な体を構築することに成功したのだ。
それはつまり…
ベルに杖として使って貰わなくとも完全な力を振るえるということでもある。
『すまぬが、ベル。見守っていてくれ。これは魔王の戦いであるから、愛するベルを巻き込みたくは————』
「嫌よ」
『なに?』
戦力外通告を、ベルは当然のように蹴った。
困惑するダンタリアン。
「死ぬような戦いじゃないなら、私はいつでも歓迎よ。私だって魔力の徒の端くれ!」
『変わらぬな、アムドゥスキア…』
「アムドゥスキアだと! まさか、 そこの娘…転生体か!」
プロメテウスが反応し、
剣を構え直す。
それに対してダンタリアンは........
『お主のような知性のかけらも無いバカに語る真実は無い』
と辛辣に言い放った。
プロメテウスはその言葉を聞いた瞬間絶句し、すぐに劣化の如く怒り始めた。
「ガアアアアアアア! 俺がバカだと!? ぶっ殺してやる!」
プロメテウスは、怒りに肩を震わせダンタリアンへと向かおうとする。
だが…
ジャラリ
「これはッ...鎖!? ダンタリアン、謀ったなァァァ!」
『目の前ばかり見て、引っかかる方が悪い』
鎖に足を取られ、転倒するプロメテウス。
それをダンタリアンは冷ややかな目で見下した。
『さて.........プロメテウス。これは.....我と貴様の戦いだ。』
「何を当たり前のことを!!」
鎖によって地面に縛り付けられたプロメテウスに、
ダンタリアンはスッと笑う。
『ベルよ、これから渡す陣の制御を頼む』
「分かった.........うわっ、これ難しいわね」
『我が大いなる雷の権能よ、荒れ狂え、恐怖を呼び覚ませ、原初の恐怖を—————〈雷帝之魔道書〉』
ダンタリアンは詠唱する。
すると、紫の魔法陣が幾つも重なり、ダンタリアンの手に集う。
そしてそこから、辞典のように大きく、豪奢な飾りつけのされた本が現れた。
『さあ、頭の足りぬ貴様には頭がよく冷える一撃をくれてやろう』
「何だか知らんが、来ォォォい!」
『後悔するなよ!〈黒王星雷砲〉!』
ダンタリアンを起点に巨大な魔法陣が現れ、その周囲に無数の魔法陣が展開されていく。
それらは全てプロメテウスの方を向いていく。
「ンガアアアア! この鎖さえなければ今すぐ奴の頭蓋を叩き割ってやるというのに! ダンタリアン! 速く詠唱を終わらせろ!」
『大した威力ではないと高をくくっているのか?.........見せてやろう。我が魔術の真髄を!』
ダンタリアンがそう言った途端、全ての魔法陣から、一斉に黒い雷が放たれ
プロメテウスに直撃した。
明日は本編以外でできる限り2話上げます。
↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。




