Ep-118 予選1 ユカリ対セシル(後編)
はい、セシル戦終わりです。
大きな動きをする戦闘が多いのは著者が妄想してるからです。
空転術では逃げられない。
この黒い光はそういう類のものだと俺は一目で分かった。
それに、逃げたところで..........
この黒い光は結界内の全てを埋め尽くすまで止まらないだろう。
それなら..........
「リミットオーバー!ロングディフェンシブエンチャント!ダンジョンパワー、80%!」
《角度、射角特定!クリムゾンシールド!》
俺はあらん限りの強化を自分に掛け、ムスビがクリムゾンシールドを発動させる。
これで防げるかは分からないが.......
「デリートウェポン!クリエイトウェポン、ホーリーソード!スキルセットチェンジ、セットパラディン!」
俺は武器を変え、聖騎士にスキルセットを変更した。
そして、徐々に勢いを強める黒光の中を進む。
紅く輝く盾が無ければ、圧力に押されて全身すらままならなかっただろう。
前では、巨大な力が収縮していく。
あれが一点に集中すれば、俺でも対抗できない何かが起きる。
だから、抵抗できる今のうちに..........
「届けぇ!ホーリーストライク!」
俺の振るった剣が光の斬撃を生み出す。
光の斬撃は黒い光を突っ切るようにして進み、中心部の黒いエネルギーに直撃した。
やったか!?
と思った瞬間、大爆発が起きて俺は吹っ飛ばされた。
「ぐあっ!?かは!」
気付けば俺は、仰向けに倒れていた。
慌てて起き上がると.........そこには
「ウははハハ!こレが邪神様のオ力.......!」
形容しがたく、そして巨大な怪物がいた。マンションの3階くらいの大きさだ。
まさか、最後の奴は攻撃じゃ無くて自身の強化!?
なんでそこまでする必要がある?
「おい!」
「なンだ...?」
「その姿、元に戻せるのか?」
「無理ニ決まっテおロう....」
「はあ?」
なんで大会の本選で命を懸ける必要があるんだ?
疑問に思う俺に、触手が伸びて来た。俺はそれらを全て斬り払う。
「邪神様ハ脅威とナる敵が居ナかッたばかリにお力ヲ分けテはくレなかッた......こンなニも尽くしテいるといウのに!だガ、俺ハ天啓を得タ!この大会で俺ハ邪神の力ヲ受け取るに値すル相手に出会うだろうト!さあ、ユカリ!掛かってコイ!お前ヲ殺した後は王都をこの力で蹂躙しテくれヨう!」
「はあ、やれやれ..........」
オークストーリーの世界って、マジでどうなってるんだ?
こんな天災級の人間がその辺にいるってさあ......
王都を蹂躙する、かあ......
「そんなこと言われたら、やるしかないよな!ソウルバーニング!」
俺は最後の切り札を切って、力と肉体を増大させつつある、セシル...いや、魔物を見上げた。
「行くぞ!」
「来イ!」
俺は地面を蹴って、飛び上がった。
俺に先程より速い拳が飛ぶ。
今度は喰らってやるかよ。
「空転・短跳!」
俺は新しく覚えた空転術で拳をギリギリで躱す。
大きく避けなかった理由は、黒い矢やら鉄球がガンガン飛んできていたからだ。
俺は拳の陰に隠れるように空転・滑走で移動する。
そして、顔の前に躍り出た。
セシルの顔はもはや人間....というかダークエルフというには巨大すぎて、悍ましく醜悪だ。
「ホーリーストライク!」
「なんの!」
俺の斬撃は伸びてきた触手が受けた。
そして、セシルの目から光線が放たれた。
冗談キツイぜ!
「空転・重突!」
俺は強制落下で光線をギリギリ回避した。
怪獣映画の怪獣みたいな攻撃しやがって.....
OSOに居なかったことも無いが、正面から見たのはこれが初めてだな......
「避けルなああアアァァ!」
うわ、ブレスも吐けるのか。
俺は慌てて盾でブレスを弾く。
だが、ブレスに隠れるようにして拳が飛んできた。
《危険》
「っとぉ、空転・跳躍!」
俺は空へと飛び上がった。
だが、ブレスは俺を追随するように追ってくる。
しょうがない。
「魔龍翼!」
俺は盾を宙に放り投げ、
翼を開いて滑空する。
目指すはセシルの足元.......というか根元部分だ。
「ユカリィィィ、逃げルなあぁァァァ!」
俺が消えていることに気付いたセシルがブレスを吐くのをやめた。
即座に目の光線が俺の数秒前にいた場所を貫く。
俺は光線に追われるようにして、根元へと向かう。
「ホーリーストライク!ホーリーストライク!ホーリーストライク!!」
俺は剣を何度も振り、根元にダメージを与える。
いくら姿が変貌しようとも、回復を行ってはいけないというルールくらいは.........
「なっ.......?」
「どうシた?その程度のダメージなド............」
「審査員さーーーーーーーーーーん、今治癒しましたよね!」
「はい、治癒行為を確認しました、セシル選手、失格!」
これで、セシルは失格だ。
まあ、苦戦したけど俺の勝ちでいいよね。
《マスター、セシルの内部魔力がおかしいです》
「なに?」
セシルは震えながら、審査員の方を向き、咆哮した。
「オれが失格だト!?許サん!」
セシルがブレスを吐き、それが結界を叩いた。
ビリビリと結界が震え、観客席にざわめきが広がる。
失格なのにまだやるのか........
よし、じゃあお望み........かどうかは知らないが、
全力で終わらせよう。
俺はソウルバーニングを解除し、翼を開いて一気に上昇する。
あいつの力の集まる核はすでに見つけてあるうえに、俺の放ったホーリーストライクで少し傷ついている。
俺はセシルの額にある核まで上昇する。
「ユカリ..........よクも、謀っタな........!」
「えへへ、騙された?」
あんなもの引っかかるほうが悪い。
強さを手に入れて厨二心に浸るのはいいけど、自分の身体の管理くらいしっかりしような。
まあ、俺も女の子なのにアレの日とか無いし、自分の身体を管理できてるかは怪しいもんだけど.........
「終わらせる!」
「終わルのハお前ダ!!」
目からビームと口からブレスが俺を襲う。
「ホーリー......ブレード!」
俺はホーリーソードを放り捨て、刀を抜いて〈聖騎士〉の四次スキルである、ホーリーブレードを発動させ、
刀に聖なる光を纏った。
そして........
「不斬撃!!」
「グ...................グオオオオオオオォォォォォォ!!!!」
俺は、聖なる一閃にて額の核を守る皮膚を切り裂き、既に傷ついていた核にとどめを刺した。
頭から黒い煙を出しながら、セシルがぶっ倒れる。
そして、大爆発を起こした。
煙の後には、気絶したセシル(両手と脚が変異、後尻尾が生えてる)が倒れていた。
あ、その再構成する奴、自動発動なのね...........
「セシル選手、戦闘不能!ユカリ・A・フォール選手の勝利!」
最初に聞こえた歓声より凄まじい歓声が俺を襲った。
俺はその音圧に耐えきれず........
「うっ............」
意識を手放した。
また、これか........
次回以降は前後編2話に分けたいなあ......
セシルさんも後々サルベージされるかも。
邪神関連はあんまり出ませんが。
RPGみたいに裏ボス扱いだったりはしないので、そこはよろしく。
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