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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都大会編

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Ep-116 本選1 ユカリ対セシル(前編)

自分的禁忌、本編を前後編分け!

しかし禁忌を犯しても描きたい物語がそこにある。

本選は、当然ながられっきとした興行だ。

王都はかなり大きいが、本戦まで進める冒険者はほんの一握りしかいない。

なので............


ワァアアアアアアアアアアアアアアア!


俺とセシルが部隊に進み出ると、360°から吹っ飛ばされそうなほどの歓声が放たれた。

俺たちの戦いは映像魔石に記録されて各地で放映されたので、本選開始までの一週間でかなりの数の人間が王都に集結した。

というわけで、無言の執行者として俺はアイドル的人気を獲得した。

だがそれは向こうも一緒で.......


「早く始めないか?俺は騒がしいのが苦手なんだ」

「.....戦いが始まれば、もっとうるさくなるけど?」

「戦いに集中していれば周囲の騒音など気にならん」


オイオイ、騒音呼ばわりかよ。

一応、あの一万くらいを優に超える観客はお前を応援——————


「ユカリちゃーん頑張って!!!!」

「ユカリたああああああん!こっち向いてえええええ!!!」

「ユカリお姉さまあああああ!踏んで!踏んで下さああああああああああい!」

「バカかお前、踏まれるより御御足をお舐めさせていただくのだ!ユカリ姫様あああああああ!御御足を!私めに御御足をお舐めさせていただきたいのです!!!!」


してないな、360°からこんな声が聞こえるってことは8割くらい俺のファンだわ。

しかし、こんなに人気なのは”俺”じゃなくて”ユカリ”というね.......


《ふふん》

(何がふふんだよ何が)


意識の中でムスビがふふんと胸を張った。

胸、無いのに.......


俺はふと、懐から時計を出して見た。

多分だが試合開始まで、あと.........


《10、9、8、7、6、5、4、3、2、1...........》

「始め!」

「邪神の千織万手(せんしょくばんしゅ)よ、我が意に応え顕現せよ!」


始めの合図とともに、セシルが何かを叫んだ。

騒音で聞き取れなかったが、何かの詠唱だろう。

そう気づいた時にはもう遅く......

禍々しい手が俺を襲った。


バキィイイイン!


何が飛んできたのかを理解する前に、俺は腰に差した刀を抜いた。

そして、仄暗く輝く刀身で、飛んできた何かを受け止めた。

ギギギギギ、と刀と飛んできた........拳か?が激しく拮抗する。

それを見て、セシルが驚いた顔をする。


「バカな、あらゆる盾を貫く邪術八十七階位邪神の千手だぞ!?何故、何故受け止められる!?」


それさ、盾で受け止めることを想定しているだけじゃないか?

剣で受け止める膂力は普通の人間にはないし........


「まさか、その刀.......聖遺物(アーティファクト)の類か!?」


聖遺物......ってなんですか?

この刀のことかな?

そう言えば、父さんからもらったけど.......父さんの過去はまだ全部聞いてないんだよな。

特にこの刀は。


「あああああああぁぁぁぁっ!」


俺は雄叫びを上げ、禍々しい手を弾き飛ばした。

すぐに次の一撃が俺に迫る。


「邪なる雷よ、収束し、天を裂き、地を震わせよ!」


空が急激に曇り、複数の紫電が俺に向かって放たれる。

だが..........


「空転・雷動」


雷には雷で。

俺は落下地点を素早く予想し、後方に跳んだ。

そして、


「空転・跳躍!」


後方に翔んだ俺は地面を蹴って飛び上がる。

何百もの視線が、空中へと飛びあがった俺に向かう。

セシルが再び、空に飛んだ俺に雷を収束させるが.......


「空転・滑走」


俺はいつだったかやったローラースケートのように、俺は空中を優雅に滑る。


「み、見え.........」


おい、今叫んだ奴の顔を記録しとけ。

絶対許さないからな。


そして.........


「空転・略撃!」


俺は、一瞬にしてセシルの前に立つ。

意表を突かれたセシルの隙を突くように.........


「脈裁ち」

「【邪なる護り】」


俺の、タツミから教わっておいた刀術がセシルの右腕を確実に斬り飛ばし.....はせず、右手に纏われた邪な何かに弾き飛ばされた。

俺でも理解できない言語だったし、恐らく..........短縮詠唱とかそんな類だろうな。


「無間の深淵より来たりし禍ツ星よ、我が意に応え顕現せよ!」

不斬撃(ふらずぎり)!」


俺は慌てて距離を取ったが、距離を充分に取れていない位置でセシルが、禍々しく輝く隕石のようなものをぶっ飛ばしてきた。あわてて不斬撃で真っ二つに斬り飛ばす。


「空転・水月(すいげつ)!」


俺は波に乗るように地面を滑り、セシルに再接近を試みる。

だが..........


「邪神よ、再び世界の王に君臨する王よ、彼の穢れし沼を我が脚元へ生み出し、我を穢れより護り給え」


セシルがそう詠唱した瞬間、セシルの周囲が毒々しい沼へと変貌する。

あの上を通ったら、俺にもなんか起こりそうだな。


《あの沼の上を通った場合、99%の確率で何らかの汚染を受けます》

「クリエイトウェポン、ルミナイトボウ!スキルセットチェンジ、セットボウ!」


俺は素早く沼から遠ざかり、俺は素早く引き撃ちを行う。

セシルは平然と沼の上を歩き、中心点であるセシルを追うように沼が移動していく。

俺は水月を解除せず、滑りながら弓を放つ。


「ラピッドアロー!」

「邪なる力よ、我の離れし前に集い、壁となれ」


俺の光の矢は、セシルが作った壁を容易に貫通する。

セシルは驚いた表情でそれをかわす。


「なるほど、聖なる矢か......ならば!邪神の封地に在りし封石(ほうせき)よ、我の意思に応え.....顕現し、我が周囲を巡れ、星のように!」


セシルの周囲を普通の岩が周遊し始めた。

まずいな、ルミナイトボウの矢だと邪悪なものではない物質は貫けない。

何発か当てれば砕けるだろうけど、矢を放てばMPを消費する。

使えるMPが限られている状況で、それをすべきではないな。

俺は水月を解除し、空へと飛び上がる。

だがそれは........最大の過ちだった。

何でもないただの飛び上がりだったはずのソレは、地獄の門を開くこととなった。

セシルの口元が歪んだ。

しまったと思った時には、もう遅かった。


「広がれ!」

「ッ!しまった.....」


穢れの沼が大きく拡大し、舞台全体を覆った。

これで俺が降りれる場所はなくなったな。

........まずいな、邪力って尽きるのかな....


《不明なリソースから常に供給されているので、尽きない可能性が98%です》

「.......」


空転術も、エアー系もMPを消費する。

このまま持久戦に持ち込まれれば、俺は負ける。

そして俺が迷っている間にも、地面が段々と近づいてきて....................


次回、ユカリ死す!

デュ○ルスタンバイ!




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