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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都大会編

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Ep-111 二次予選4 アラド対バジル

大会出場者は後々のストーリーに出てくる可能性があるので、

突然現れて深掘りも無しに消えるわけではなかったり。

り、リサイクルじゃないし!

「へぇ、あんたがアラドかい?」

「そうだが.........そういうお前は、〈魔物女王(モンスタークイーン)〉のバジルか?」


二人が対峙する。

剣を斜めに構えるアラドとは対称に、バジルは何も武器を持ってはいない。

バジルはアラドの問いに目付きを鋭くした。


「.....その名を知っているという事は、あんたは南の.....」

「詮索は無用だ。始めるぞ」


アラドが構えていた剣を振り上げ、回転させて切っ先を上に向けた。

バジルも両手に、髪と同じ色の緑の魔法陣を展開した。


「始め!」

「マグナ・シュヴェーアト!」

「ッ!!」


合図とともにアラドは風の如く駆け出し、素早くバジルに接近する。

そして......一閃するが何かに弾かれる。

バジルの腰に付いていた魔石が光を失う。


「護りの魔道具か。無駄なことを......」

「無駄じゃないね。アタシら召喚士は—————時間さえ稼げればいいのさ!」


バジルの展開した魔法陣が光を帯びる。

そして、魔法陣は三つに分かれてバジルの少し前の空中で静止する。

魔法陣が輝くと、それぞれの陣から黒い毛を持つ狼が出て来た。


「グレーターブラッドファングウルフの群れのボス級個体さね。さあ.....内臓を散らかしな!」


狼が高速で迫ってくる。

それにアラドは.............


「遅い」


真っ先に迫ってきていた狼の首を斬り飛ばし、素早く柄で弾き飛ばす。

そして、


「愚かだ」


二匹目の咢を飛んで躱し、空いた腹に蹴りを入れる。

その蹴りは何のダメージも与えない。

だが、その蹴りは攻撃ではなく......


「距離を取られた!追え!」


アラドは素早く距離を取り、

反対側へと駆けだした。


「行くぞ!我が秘奥..........アインス・シュヴェーアトォ!」


アラドの剣が輝き、これまでとは段違いの圧力を放った。

そして、剣が振るわれる。


「一薙ぎ」


地面を蹴り、アラドへと跳躍していた最中だった二匹目は先程より速く振られた剣に対応できず、真二つに切断される。

そして、二匹目の影に隠れていた三匹目がアラドに爪を振るうが......


「どこを見ている?」


そこにアラドはいない。

アラドは素早く三匹目の影に回り込み、叩き落とすようにその首に剣を叩き込む。

三匹目はしばらくのたうち回った後、動きを止めた。


「終わりか?」

「あんたがノロノロ倒してる間に.....終わったよ!」


陣が地面に開き、そこから大量の蟲が沸き出て来た。


「一匹一匹丁寧に始末する........だが、あんたの弱点はタイマン特化だ!数に押し潰されろぉ!」

「婦人のお誘いを蹴るのは信条に反するが.....断る」


アラドは剣を水平に持ち..........構える。


「........マグナ・カノーネ!」


剣が光り輝き、剣先から魔力の砲弾が放たれる。

それは蟲の軍勢をいとも容易く貫き、死骸へと変えた。


「おおおおおおおお!」


アラドが剣を横へと動かし、魔力の極光を避けようとしている生き残りに向けて射線が移動する。そして、まるで凄まじく長い剣を振るようにアラドは蟲の軍勢を片づけた。


「な.........速すぎる!?」

「終わりだ」


そして、射線上に残る残光に紛れるようにして近づいたアラドが剣を振る。


ギイイイイィィィン!


剣とまたもや何かが激しく衝突し、バジルの交えた手の上で激しく火花を散らす。

だが.......一瞬の拮抗ののち、護りの魔道具は光を失い、

剣はバジルの腕を少し切り裂いて地面に激突した。

軽い金属音が反響する。


「んぎぃっ!?....そんな、護りの魔道具が相殺される....いや、破られるなんて.......」

「今度こそ終わりだな」


アラドが剣を肩まで持ち上げ、振り上げる。

しかし、アラドは剣を持ったまま素早く後退した。


「まだまだあぁぁああ!」


バジルの周囲に数百もの魔法陣が姿を現す。

それらは一斉に光を放ち、多種多様な魔物を呼び出す。


「決死の召喚士を舐めるんじゃないよ.....!地獄を見ろ」


狼、大鬼、翼竜、触手、スライム、スケルトン、死霊........

様々な魔物は一斉にアラドに接近する。


「これは.......厳しいな」


アラドは向かってくる魔物を睥睨し考える。

そして、眼を閉じる。

そこに狼の咢が迫り.......


「だが、俺とて力に胡坐を搔いていたわけではない....エアースライド!」


アラドは直立の姿勢のまま横に素早く移動し.......剣を腰に隠すように構えた。


「ユカリより授かった失われし剣術........ツヴァイト・シュヴェーアトッ!」


居合い、まさにそのように、後ろに構えた剣を振り払った。

それで斬れるのは一番近い狼だけのはずだった。

事実バジルはそう予想し、フッと笑った。


(〈黒牙〉のアラドもこの程度かい。やはり、あの女の言う通り、私は........)


直後、アラドに群がっていた魔物たちは何の抵抗も許されず、死骸へと成り果てた。

鮮血、粘液......様々なものがトマトをつぶした時のように飛び散った。


「あ.............?有り得ない....や、やれ!ヤツを殺せ!」


半狂乱になったバジルの指示でアラドに向けて、巻き込まれなかった魔物が決死の形相でアラドへと向かう。

だが..........


「次のチャンスを渡しはしない。ツヴァイト・カノーネ......ドラッヘンシュトラールッッ!」


剣先から放たれた膨大な魔力が膨れ上がり、形を成す。

巨大な光の竜に。

光の竜は地面を削りながら魔物たちに接近し..............

一撃で残骸すら残さず焼き滅ぼした。


「これが.........〈黒牙〉のアラド..........か」


バジルの全身に仕込まれた魔石、魔道具、魔宝が一斉に輝き、

光の竜を弾き飛ばそうとするが.......

一瞬ののちに全てが光を失い、バジルは光に吞まれた。

光の竜はバジルを吹き飛ばしたところで勢いを失わず、そのまま魔力の障壁に激突した。

そして、直視すれば視力を失ってもおかしくないほどの光の爆発が巻き起こった。

一瞬魔力の障壁に罅が入り、直ぐに修復された。

それほどの一撃だったのだ。


「ば、バジル選手.......生死不明...暫定的に戦闘不能とさせて頂きます.....勝者、アラド選手!」


後に残ったのは、剣を地面に突き刺し地べたに座るアラドと、無数の魔物の死骸だけだった。





バジルはのちに救出され、必死の救命の末生き返ったが......


「あんなのが王都には沢山いるんだね、アタシは里でもっと研鑽を積ませてもらうよ」


などと疲れ果てた顔で言い、とぼとぼと南に歩いて帰って行ったという。

だがそれは、また別のお話である。


アラドの剣変形はまだ調整中。

三十だけどまだまだ修行を積んで頑張るアラドおじさん。




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