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【300万PV突破】不人気職の俺が貴族令嬢に転生して異世界で無双する話 ~武器使いの異世界冒険譚~  作者: 黴男
第一章 王都大会編

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Ep-103 予選2 クレル対ユーリカ

クレルのスキル

『ポジションスワップ』自分由来の物体と自分の位置を入れ替える。

『イミテートナイフ』自身の持つナイフと全く同じ切れ味、質量のナイフを作り出すがナイフは耐久力が無く損傷すると消える。

クレルは、無表情にして無言のまま、空き地の中心へと近づいた。

視線の先には、茶髪の女。

一見すると非力な少女に見えるが、肌で感じる魔力圧と、手に握る杖で熟練の魔術師と分かる。


「………武器は持たないの?」

「有っても無くても、俺が勝つ未来は決まってるからな」

「そう…」


クレルの挑発に、女はそれまで半開きだった眼をカッと見開き………


「吠え面かかせてあげるわ」

「やってみろよ」


ニヤリと笑って言った。

すかさずクレルも言葉で応酬する。

そして…


「では…始め!」


二人の視線が交錯する。

クレルは素早く懐からナイフを取り出し…投げた。

その瞬間、膨大な魔力が少女…ユーリカから膨れ上がった。


「ライズプロミネンス!」


途端、クレルは4メートルにも及ぶ火炎の柱に包まれた。

ユーリカは、それを見て安堵の息を吐いた。


「はあ、どうして世の中にはこんなに短慮で浅慮な人しか居ないのかしら…やはり、私たちハーフエルフがこの世の至高たる存在である事に間違いはなさそうね」

「へえ、お前ハーフエルフだったのか」


余裕に満ちた表情で火炎の中にいるはずのクレルに語りかけていたユーリカは、後方から聞こえた声に凍りついた。

慌てて振り向くと、そこにはナイフを構え、首筋を狙うクレルがいた。


「ッ!バリア!」


ガキィ!


ナイフはユーリカが張った障壁に阻まれ、途中で止まる。


「ハッ、あの火柱を避けたのはやるわね。でも…この障壁は魔力を持たない奴には破れないわよ!」

「へえ…じゃあ、遠慮なく」


途端、クレルのナイフに魔力が流れる。

凄まじい魔力を込められたナイフは障壁を容易に貫通し、障壁をバターのように切り裂いた。


「なッ!?…何故…?私は…私が…私は魔力を感じなかったのに!」

「そりゃ勿論、魔力を隠蔽してたに決まってるだろ」


クレルは至近距離から放たれた純粋魔力の弾を軽々と避け、言った。

ユーリカはその言葉に激昂した。


「隠蔽…?人間如きが隠蔽ですって!?どうせ魔道具なんでしょう!?隠蔽というのは私のような高貴なハーフエルフにしか許されぬ…」

「ほら、ちょっと見せてやるよ」


クレルが少し力を抜くと、

かつての師にして、愛する人から修行をしてもらい、エルフにも及ぶくらいの総量を身につけた自らの魔力を。

ただ、クレルは元々魔力の素質が無いため武器や身体に流すことしか出来ないのだが、その膨大な魔力を見たユーリカには致命傷であった。


「ぎゃあああああああああっ!?」

「そろそろ眠れ」

「だまれえ!人間の癖にっ!どんなに修行してもそんなに増えないぃぃ!」


ユーリカから距離を取ったクレルは、杖から放たれる魔弾をひょいひょいと避け、

次々にナイフを投げる。


「はあはあ、六大精霊よ我に守りの加護を!エレメントバリアァァ!」


一瞬凄まじい魔力が結集し、ユーリカが虹色の壁に包まれる。

ナイフはそれにサクッと突き刺さった。


「落ち着け…落ち着くのよユーリカ…あの人族は何か卑怯な手を使っている…それを見破り、正面から笑ってあげるわ…!」


ユーリカは呼吸を整え、精神を安定させた。

今度こそ、今度こそあの人族に致命傷を負わせてやろう。

そう思って周囲を見渡したが…


「え?」


クレルはどこにも居なかった。

これは、私を恐れて逃げた?

ユーリカはそう予想し、静かに喜びの声を上げようとして………


「落ち着いたか?美しい人よ…なんて」


頭上から聞こえた声に飛び上がった。

触れたものを殺傷する六大精霊守護結界の上に、ナイフを刺してその上に立つことで立っている。

その非常識な光景に、ユーリカは意識を失いそうになる。

だがすぐに我に返り、クレルに素早く杖を向けた。


「ブレイジングバースト!」


杖から光線と見紛う密度の炎が直線上に放射され、雲を吹っ飛ばして上空まで噴き上がる。ただ、そこで結界の高度限界にぶつかりそこで止まる。

上空で大爆発が起こり、火の粉が駆け出したクレルとユーリカに降り注ぐ。


「ライジングラバ!」

「おおっと、ほっと、そりゃ!」


ユーリカが魔術を使うと、地面から溶岩が噴き出してきた。

ナイフを投げつつ、それらを避けるクレル。


「しっかし、エルフは自然魔法とかが得意って聞くけど、火魔法ばっかり使ってくるな、もしかして自然魔法の素養が無くて村を追われたとか…?」

「お前…何故それをっ!」


図星だったらしく、更に魔力が膨れ上がる。

既に地面は足の踏み場の無いほどの溶岩地帯と化していて、空からはユーリカの放った火山弾が降り注いでいる。

だが、クレルには問題ない。

エアーフロートという初級の風魔術を使い、溶岩の上を平原を走るように駆ける。

そして、大量のナイフを投げる。

クレルを観察していたユーリカは、その異常性に気が付いた。


「あなた…懐に魔法の袋を!?」

「おっ、気付いたか…まあ、ちょっと違うんだけどな。スレッドコネクト!」


クレルが指を鳴らすと、ユーリカの周囲に突き刺さっていたナイフが一斉に光を放ち、ユーリカに魔力の糸を伸ばした。


「くぅっ!?」

「予想外だったろ?」


あまりの糸の伸びる速度に障壁を展開する暇もなく、既に六大精霊守護結界を解いていたユーリカは成す術もなく糸に絡め取られた。

両腕を強く縛られたせいで、杖を取り落としてしまう。

杖は自身が放った魔法によってできた溶岩に落ち、燃え上がる。


「杖が!」

「要らないだろ?…右腕は貰うぜ」

「えっ………」


いつの間にか背後に回ったクレルが、ユーリカの左腕を切り裂いた。

左腕はまるで最初からくっ付いていなかったかのようにスルッと落ち、地面に落ちてボトンと重い音を響かせた。

ユーリカはクレルの方、ナイフ、綺麗に切断された腕を見て…


「いぎゃああああああっ!?」

「この感じだと、怪我したこともない箱入り娘って感じかな?悪いことしちまったなぁ…」


ナイフを宙に放り投げ、ボリボリと頭を掻くクレル。

だが、ユーリカは右手をクレルに向けて言った。


「娘と思って侮ったな!ファイアレイ!」

「放出系って、どーにも相手に読まれやすいんだよな」


クレルは、至近距離からの火魔法を、ポジションスワップで素早くかわす。

入れ替えでクレルの代わりに出現したナイフが、炎に焼かれて消える。


「フロック・フェニックスズ!」


またもや距離を取ったクレルのもとに、何十羽もの炎で出来た鳥が襲いかかる。

だが…


「よっ、おっ、やっと!せぇ!ああもう面倒臭い、ブリーズウォール!」


避けられ、避けられ、避けられ。ナイフで斬られ、受け止められ。

挙げ句の果てに普通の魔法で防がれた。

それはユーリカの傲慢を砕くのに充分であった。

ハーフエルフ族長の娘として持て囃されてきた自分の傲慢を砕かれたユーリカは、一瞬信じるもの、縋るものを失った。だが、目の前に迫ってきている恐怖の化身を倒すには、前を向くしかない。


「………最後の勝負よ」

「受けて立つ!」

「マグマスワンプ!」


途端、ユーリカの立つ地面以外の全てが溶岩の海へと変わる。

そして、ユーリカは両手に紅い光を纏わせ叫ぶ。


「ファイアスネイク!」


エアーフロートで溶岩の上を駆けるクレルは、足元から噴き出してきた炎の蛇を軽く避ける。だが、その数が一つでないことを知ると驚いた顔をする。


「複数の魔術を同時に操るか…ということは最初の詠唱以外は無詠唱だな?流石は予選出場者」

「ええ、お陰様で面目丸潰れよ」


クレルと炎蛇の激しい攻防が始まる。

クレルはナイフで幾らでも再生する炎蛇を斬り、炎蛇はクレルに襲いかかって避けられる。

この戦いの中に魔術を放たれれば、両者ともに動けないので避けられないが、

そもそもそんな事をする人間も意味も無い。

そして…


「ッ、これは…最初からこれを!」


クレルが炎蛇に囲まれていた。

蛇たちが壁のように丸くクレルを囲み、一気に飲み込む。

そして、上から逃げようとしたクレルに別の魔術が迫った。


「これは………ラバスネイク!よく、こんなものを…」

「死ねえええええぇぇぇぇっ!」

「させるかぁああ!」


クレルはナイフを投げて逃げようとするが、別の蛇がそれに噛みつき燃やした。

驚くクレルを、溶岩の蛇と炎の蛇たちが呑み込んだ。

溶岩の波が溶岩の沼に巻き起こり、辺りを熱気が包む。


「はぁ、はぁ、はぁ………終わった。これで私は、予選に…」


ユーリカの言葉が止まった。

消え去りそうな炎を破って、ナイフが飛んできた。

ナイフはユーリカの少し右を逸れて飛び…


「ああ、私の負けか…」

「ごめんな、こっちも負ける訳にはいかないんだ」


入れ替えで出現したクレルが、ユーリカの首にナイフを突き付けた。

それだけでユーリカは諦めたような表情をとり………


「私の負けよ」

「そうか」

「ユーリカ・エステラン敗北宣言!勝者、クレル・アーサー!」


歓声が上がり、ユーリカが項垂れる。

だがクレルは敗者を嘲笑う者では無い。むしろ…


「久しぶりにいい戦いができた。ユーリカ、もっと修練を積んで欲しい。またいつか、俺と戦おう。…いいだろ?」


その言葉に、ユーリカは顔を真っ赤にして頷いた。


「…わ、分かったわ」

「じゃそういう事で」


ユーリカが意識したのか、周囲のマグマは消え去りただの地面へと戻っていく。

クレルはユーリカの首からナイフを離し、美麗な動きでナイフを懐に仕舞った。

そして、颯爽と観客席へど戻っていった。

後には左腕から血が噴き出たままのユーリカが残った。


「救護班!急いで…出血が多い!まずは止血に回復魔法を!」


そんな慌てたアナウンスの声を聞きながら、ユーリカは意識を手放した。

クレルは勝利した。


ユーリカさん登場するかな…この先?




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